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ウルティア国戦役編

188 謎の組織、気付く

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 ウルティア国の某所に黒いローブに身を包んだ者たちが集まっていた。
例の謎の組織を構成する幹部連中だ。
ここは彼ら本人も所在の判らない秘密のアジトであり、供給されている通信機に召集がかかると、この場の座標指定がしてある転移の魔道具で集まって来るのだ。
誰もが知らない場所であるため、誰かが捕まったとしても魔道具さえ破棄していれば、所在が露見することはないはずだった。

カルカイムの迷宮にある隠し部屋が暴かれた」

 ついにカナタたちが隠し部屋に侵入したことが組織の知るところとなっていた。
しかし、誰が侵入したのか、中の備品がどこへ行ったのかまでは把握されていなかった。

「なんだと? あそこでは制御核の回収作業をしていたのではないのか?」

「そうだ。残念なことに回復型の人形イータ壊れた自殺したので、任務で損傷した防御型の人形ゼータ5と共に処分させたところだった」

「なぜ直ぐに制御核を回収しなかった?」

カルカイム常駐の人形が任務中で、それも壊れたなら制御核を一緒に回収する予定だったのだ」

 組織は、ガンマ1とラムダ3のどちらかが壊れても構わないという前提で任務を与えていたのだ。

「ナンバー8に預けた2体の人形のことか」

「あの任務は成功したとの報告が入っていただろう?」

「ああ、その報告と前後して隠し部屋が暴かれたのだ」

「最悪のタイミングではないか!」

 組織には黒「め」の97番から遅めの報告が上がっていたのだが、仕事が遅いために回収を命じる前に隠し部屋が暴かれていたのだ。
その隠し部屋の件の報告が遅れたのも黒「め」の97番のせいなのだ。

「まあ、迷宮内のことだ。何があっても不思議ではない。
起こってしまったことは仕方がない。
偶然冒険者に隠し部屋が発見されるなど良くあることだ」

「管理者の連絡員がしっかり管理出来ていないのが悪い。
連絡員はどいつだ」

「黒「め」の97番だな」

 報告書の綴りを捲り、連絡員の署名を確認したメンバーが答える。

「め組か。め組はどうも能力に欠ける者が多くないか?」

 この組織の中でめ組はあまり評判が良くなかった。

「となると、この任務成功の報告もあてにならんな」

「ナンバー8、この件はお主の任務絡みでもある。
お主が調べて報告せよ」

 そう言われたナンバー8は顔を顰める。
その任務を押し付けられたのも貧乏くじだと思っていたからだ。
その貧乏くじが貧乏神になったようなものだった。

「面倒な……。ならば任務に助手を付けてくれ。
冒険者が持ち去ったなら制御核が売りに出ているだろう。
俺は冒険者ギルドには入れない・・・・
助手にやってもらうしかない」

「現地連絡員は……。無能だったな。
よし誰かつけてやろう」

「わかった。ならばなんとかしよう」

 ナンバー8は嫌々ながら転移の魔道具で去って行った。
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