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南部辺境遠征編
077 カナタ、またやってしまう
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襲って来た盗賊10人が即死、6人が片足を失うという大惨事が発生していた。
オレンジタウンまではまだ徒歩で1時間30分ぐらいかかる距離である。
しかし、片足を失った盗賊を街まで連行するとなるととんでもない時間がかかるのは明らかだった。
それこそサキが言っているように、スイーツのお店が閉まってしまうだろう。
「困ったね。盗賊の存在が足手纏いになってしまう」
カナタの一言に、サキが状況を察して即答する。
「殺っちゃいましょう。店が閉まる前に」
とことんスイーツに甘いサキだった。スイーツだけに。
カナタは運良く馬車でも通らないかと【魔力探知】で周辺を探ってみた。
自分の周囲を探知できるのは半径300mの円周内ぐらいだが、街道に添って帯状に探知するなら、魔力を絞ることで幅200mで1kmは探知可能だった。
「誰も通りそうもないな」
しかし、街道を通っている馬車どころか、歩いている人すら居なかった。
カナタは【魔力探知】と【MAP】なら人物分布地図が作れて馬車なりが見つかると思ったのだが……。
馬車が見つかれば盗賊を運んでもらうなり、街まで行って衛兵を呼んでもらうなり出来た。
しかし、あてが外れたと言って良い。
だが、予定外の人物たちを見つけるのには役に立ってしまった。
「あれ? これは?」
街道の端にある大岩の上に1人の人物を発見した。色は赤、敵対者だ。
カナタはもう一度、今度は自分の周辺300mの円内を探知してみた。
「そうか。僕たちが襲われたのは、ここを通ったからなんだ……」
街道沿いの大岩の裏に1つの集団が存在していることが人物分布地図には描かれていた。
大岩の上は見張りだろう。その見張りにカナタたちは見つかったのだ。
これらの人物たちこそ、カナタたちを襲った盗賊団の主力だった。
「悪意のある人物である赤マークがついている。
あ、おそらくこっちの青は捕まってる被害者かな?
そしてこっちの緑は……馬か。馬車ならば丁度良いな」
人物分布地図の緑に指を当てると『馬』という表示が出た。
もしかすると馬車があるのかもしれない。
これはまた盗賊団のアジトを襲撃しに行くパターンだろう。
「ニクとサキは戦闘準備。ルルは……ここで盗賊の見張りで大丈夫かな?」
カナタはルルが心配なので、盗賊たちの周囲に【土壁】で囲いを作って隔離した。
これで盗賊たちはルルに手出しできないはずだ。
【魔力探知】の反応で、ここらへん一帯に存在するのはカナタたちと盗賊団だけだとわかっている。
そこには魔物の不在も含まれている。
「さあ、ボーナスステージだ。あの大岩の裏が盗賊団のアジトだ。
盗賊団を殲滅して馬車を手に入れよう」
カナタは片足を失った盗賊たちを運ぶために盗賊の主力から馬車を奪おうと計画した。
しかもまた知らないはずの知識がボーナスステージという翻訳不能の台詞を吐かせる。
ニクとサキは、カナタの言っていることが良く判らなかったが、とりあえず盗賊を殲滅して良いのだと理解した。
ニクとサキが並んで先頭を走り、カナタがその後ろに付いていく。
カナタたちが大岩に迫ると、大岩の上の見張りが大きく手を振って大声で盗賊団に警告を発する。
「襲げぐぁーー!」
その見張りに向けてニクの荷電粒子砲が光の線となり当たる。
「敵襲!」
盗賊団のアジトが騒がしくなる。
そこへカナタの【火球】が複数飛んで来て炸裂する。
その煙が晴れ始めると、そこにはサキが切り込んでいて、盗賊が即座に2人斬り捨てられる。
盗賊たちの阿鼻叫喚を他所に、ニクが荷電粒子砲で盗賊たちの武器ごと腕を飛ばしていく。
そして完全に煙が晴れた時、そこには人質しか生きている者はいなかった。
「人質がいなければ、生かすという方向性もあったのに……」
カナタは非情な決断をしていた。
もし、カナタが手加減を命じたせいで、人質に危害が加えられてはならなかった。
追い詰められた犯罪者は、自暴自棄で人質に手を出す確率が高かった。
それならば、一気に盗賊を殲滅し、人質に危害を加える暇を与えない。
それが、今回の殲滅の容認理由だった。
「【魔力探知】、敵性存在未確認。ニク、サキ作戦終了」
人質となっていたのは商人だった。
カナタは彼を救助すると盗賊のアジトからお宝を回収した。
そして馬車を2台と獣車を1台手に入れた。
馬車2台は商人の馬車らしい。
1台はまだ荷でいっぱいだったが、もう1台は空だった。
カナタは生きている盗賊6人はそちらに乗せて運んでもらうことにした。
そして獣車1台はカナタたちの貴重な足となるのだった。
オレンジタウンまではまだ徒歩で1時間30分ぐらいかかる距離である。
しかし、片足を失った盗賊を街まで連行するとなるととんでもない時間がかかるのは明らかだった。
それこそサキが言っているように、スイーツのお店が閉まってしまうだろう。
「困ったね。盗賊の存在が足手纏いになってしまう」
カナタの一言に、サキが状況を察して即答する。
「殺っちゃいましょう。店が閉まる前に」
とことんスイーツに甘いサキだった。スイーツだけに。
カナタは運良く馬車でも通らないかと【魔力探知】で周辺を探ってみた。
自分の周囲を探知できるのは半径300mの円周内ぐらいだが、街道に添って帯状に探知するなら、魔力を絞ることで幅200mで1kmは探知可能だった。
「誰も通りそうもないな」
しかし、街道を通っている馬車どころか、歩いている人すら居なかった。
カナタは【魔力探知】と【MAP】なら人物分布地図が作れて馬車なりが見つかると思ったのだが……。
馬車が見つかれば盗賊を運んでもらうなり、街まで行って衛兵を呼んでもらうなり出来た。
しかし、あてが外れたと言って良い。
だが、予定外の人物たちを見つけるのには役に立ってしまった。
「あれ? これは?」
街道の端にある大岩の上に1人の人物を発見した。色は赤、敵対者だ。
カナタはもう一度、今度は自分の周辺300mの円内を探知してみた。
「そうか。僕たちが襲われたのは、ここを通ったからなんだ……」
街道沿いの大岩の裏に1つの集団が存在していることが人物分布地図には描かれていた。
大岩の上は見張りだろう。その見張りにカナタたちは見つかったのだ。
これらの人物たちこそ、カナタたちを襲った盗賊団の主力だった。
「悪意のある人物である赤マークがついている。
あ、おそらくこっちの青は捕まってる被害者かな?
そしてこっちの緑は……馬か。馬車ならば丁度良いな」
人物分布地図の緑に指を当てると『馬』という表示が出た。
もしかすると馬車があるのかもしれない。
これはまた盗賊団のアジトを襲撃しに行くパターンだろう。
「ニクとサキは戦闘準備。ルルは……ここで盗賊の見張りで大丈夫かな?」
カナタはルルが心配なので、盗賊たちの周囲に【土壁】で囲いを作って隔離した。
これで盗賊たちはルルに手出しできないはずだ。
【魔力探知】の反応で、ここらへん一帯に存在するのはカナタたちと盗賊団だけだとわかっている。
そこには魔物の不在も含まれている。
「さあ、ボーナスステージだ。あの大岩の裏が盗賊団のアジトだ。
盗賊団を殲滅して馬車を手に入れよう」
カナタは片足を失った盗賊たちを運ぶために盗賊の主力から馬車を奪おうと計画した。
しかもまた知らないはずの知識がボーナスステージという翻訳不能の台詞を吐かせる。
ニクとサキは、カナタの言っていることが良く判らなかったが、とりあえず盗賊を殲滅して良いのだと理解した。
ニクとサキが並んで先頭を走り、カナタがその後ろに付いていく。
カナタたちが大岩に迫ると、大岩の上の見張りが大きく手を振って大声で盗賊団に警告を発する。
「襲げぐぁーー!」
その見張りに向けてニクの荷電粒子砲が光の線となり当たる。
「敵襲!」
盗賊団のアジトが騒がしくなる。
そこへカナタの【火球】が複数飛んで来て炸裂する。
その煙が晴れ始めると、そこにはサキが切り込んでいて、盗賊が即座に2人斬り捨てられる。
盗賊たちの阿鼻叫喚を他所に、ニクが荷電粒子砲で盗賊たちの武器ごと腕を飛ばしていく。
そして完全に煙が晴れた時、そこには人質しか生きている者はいなかった。
「人質がいなければ、生かすという方向性もあったのに……」
カナタは非情な決断をしていた。
もし、カナタが手加減を命じたせいで、人質に危害が加えられてはならなかった。
追い詰められた犯罪者は、自暴自棄で人質に手を出す確率が高かった。
それならば、一気に盗賊を殲滅し、人質に危害を加える暇を与えない。
それが、今回の殲滅の容認理由だった。
「【魔力探知】、敵性存在未確認。ニク、サキ作戦終了」
人質となっていたのは商人だった。
カナタは彼を救助すると盗賊のアジトからお宝を回収した。
そして馬車を2台と獣車を1台手に入れた。
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1台はまだ荷でいっぱいだったが、もう1台は空だった。
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