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家出編
031 カナタ、奴隷を引き取る
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「カルロスさん、いるかい?」
奴隷商の店舗に到着するやいなや、レグザスは馬車を降りると勝手知ったるが如く奴隷商の建物にズカズカと入って行った。
カナタたちもまたニクに抱えられて馬車を降りた。
奴隷2人は、ここで自分たちの運命が決まると察して震えていた。
「大丈夫。売ったりしないから」
その様子を見ていたカナタは、ついつい情が湧いてしまって売らないと言ってしまった。
カナタとニクの2人は、現在いくばくかのお金を持っているが、奴隷2人を抱えてその生活費まで面倒を見る余裕があるかと言えば、全くないと言ってもいい金銭状況だった。
でも、カナタには金策の自信があった。
それは目の前に表示しっぱなしにしていたステータスが原因だった。
グラスヒルに到着したころ、急にステータスが上昇していたのだ。
呪いの影響は距離によってジワジワと弱まっていく所謂アナログだったのだが、ステータスの表示はかっちり変わるデジタルだったため、ある一定のレベルを下回った瞬間に一気に表示が変わったのだ。
これならグラスヒルでガチャ屋をやっていける。その自信が奴隷たちの運命に影響を与えた。
このような甘い考えに至ったのも、この世界のカナタ自身が持つ感覚というよりも、カナタの身体に刻まれた多田野信の日本人としての感覚が前に出て来たからだろう。
「カルロスさん、この2人をこちらの坊ちゃんの奴隷として契約を書き換えて欲しいんだが」
「なんじゃ、レグザスか。その2人はどうしたんじゃ?」
でっぷりとお腹の出た商人らしい体格で髪の薄い初老の人物が店の奥から出て来た。
人当たりの良さそうな雰囲気を纏ったその男はレグザスに気付いて話かけて来た。
「盗賊に奪われた奴隷を助けたんだよ。持ち主だった者たちはおそらく……」
レグザスの言葉にカルロスが【契約鑑定】の魔法を使った。
奴隷商は、奴隷の持ち主や契約形態など奴隷契約に関する情報を鑑定することが出来るのだ。
奴隷商は【無属性魔法】という特殊なスキルを持っていて、そこから【奴隷契約魔法】を覚えることで奴隷商となれる。
もちろん、違法に奴隷を扱わないように奴隷商は免許制であり、奴隷商となるには国による厳しい認可手続きが必要となる。
「ふむ。確かに契約者死亡で所有者不明になっておるな。
これなら、所有権の書き換えは合法じゃわい」
そう言うと、カルロスはその鑑定結果を【自動書記】の魔法で紙に書き写した。
2人分できっちり2枚ある。
この書類が他人の奴隷を勝手に奪ったのではないという立派な証拠となるためだ。
ラノベなどでよく、主人公が隷属魔法を覚えて勝手に契約を書き換える場面があるが、あれはこの世界では違法行為となる。
「所有権はお前じゃなく、こっちの坊ちゃんで良いのじゃな?」
カルロスが意味深な視線をレグザスに向けるが、レグザスは渋い顔をすると我関せずと掌をカナタの方にヒラヒラと振って答えた。
「それでは隷属契約を結ぶ。其方たちは此方へ、坊ちゃんは其方へ」
カルロスは奴隷女性2人とカナタを対面するように立たせた。
カルロスが【奴隷契約魔法】の詠唱に入る。
するとカルロスの左手から淡い光の球が2つ出て来てふわりと漂うと、奴隷女性2人の右首筋にある奴隷紋に触れた。
その光の球が奴隷紋に輝きを与える。
カルルスが右手をすっとカナタの方に向けると、その2つの光の球がカナタの方に向かい胸の中心に溶けるように沈んでいった。
「ふう。これで奴隷の所有権登録は完了ですじゃ」
カルロスがまた【契約鑑定】と【自動書記】で契約内容を書面に書き写す。
そこには前の持ち主から引き継がれたちょっとヤバイ内容が書かれていたのだが、カナタは気付いていなかった。
カルロスが前の持ち主の契約内容をそのまま引き継いだのは、奴隷の価値を下げないためだった。
今のところ、カナタはカルロスに奴隷の処遇を表明していない。
このままカナタが売るかもしれないのに、条件を悪くする選択肢はないのだ。
カルロスも条件の良い契約内容で引き取りたいところだからだ。
「さて、こういった盗賊から手に入れた奴隷の場合、お売りになるという選択肢もあるのじゃが……。
坊ちゃんはどうなさるおつもりで?」
カナタは日本人である多田野信の知識に引き摺られて奴隷に情が移ってしまった。
カナタが手放せばこの女性たちは不幸になるかもしれないと危惧してしまったのだ。
そう思ってしまったらもう手放すという選択肢を選べなかった。
「このまま従業員として雇うつもりだよ。
僕はお店を開く予定だからね」
カナタは奴隷女性2人を本気で従業員にするつもりだった。
その前にお店を持たなければならないのだが……。
「わかり申した。もしお売りになるのならば当商会にお売り下され。
えーと、これは失礼を。坊ちゃんのお名前をお訊ねしておりませなんだ」
カルロスはカナタの名を訊いていなかったことに今更ながら気付いた。
レグザスの信用だけで奴隷契約を結んでしまっていたのだ。
それだけレグザスとカルロスの関係が深いということなのだろう。
「あ、カナタです。カナタ=ミル=ファーランドです」
「これはこれは、貴族の御子息様じゃったか。大変失礼申したのじゃ」
カナタの返事にカルロスは驚いた様子を見せた。
しかし、内心は服装などからカナタが貴族であることは察しがついていたのだが……。
「大変失礼じゃが、手数料を銀貨40枚いただけると……」
「ああ、当然手数料がかかるよね」
正式な書類も作成してもらっているし、奴隷契約にお金がかかるのは当然だった。
奴隷1人で銀貨20枚、つまり2人で4万DGかかった。
まあ、奴隷を買ったならそんな金額では済まない。
レグザスに奴隷の分け前として金貨2枚=20万DG払っている。
それでさえ奴隷の価値を3等分した結果、つまり2人で60万DG相当になる。
つまり奴隷1人が30万DGと見積もったということだ。
こうしてレグザスが奴隷商と交渉し話をつけることで、奴隷2人の所有権は無事にカナタへと移すことが出来た。
「さて、次は冒険者ギルドに盗賊討伐の報告と褒賞金をもらいに行くぞ」
全員で荷馬車に乗り込み、カナタたちは冒険者ギルドに向かった。
奴隷女性2人はカナタに売られなかったことで安堵の表情を浮かべるのだった。
ただし、ある決意を胸に秘めて。
「ルル、御付きの女性はお名前からご主人様の肉奴隷のようです。
私たちも覚悟を決めなければなりません」
「ララ、元々そういう契約で売られたから、もう覚悟は出来てるよ。
ああ、でも肉奴隷を街中で堂々とニクと呼ぶなんて、ご主人様はどんなプレイを望まれるのか……」
「でも、ルル、ご主人様はお優しいようなので、前のご主人様よりは当たりですよ?」
「そうだね、ララ。あいつは鬼畜だったね。
私たちは順番が来る前に捕まってある意味盗賊に感謝だね」
「ええ、ルル。盗賊は私たちを高く売るために手を出さなかったしね」
「他の子は悲惨だったものね……」
「それにご主人様はまだ子供。あちらの方はまだ勃たない可能性も……」
何やらカナタの知らないところで、奴隷女性2人の内緒話に花が咲いていた。
奴隷商の店舗に到着するやいなや、レグザスは馬車を降りると勝手知ったるが如く奴隷商の建物にズカズカと入って行った。
カナタたちもまたニクに抱えられて馬車を降りた。
奴隷2人は、ここで自分たちの運命が決まると察して震えていた。
「大丈夫。売ったりしないから」
その様子を見ていたカナタは、ついつい情が湧いてしまって売らないと言ってしまった。
カナタとニクの2人は、現在いくばくかのお金を持っているが、奴隷2人を抱えてその生活費まで面倒を見る余裕があるかと言えば、全くないと言ってもいい金銭状況だった。
でも、カナタには金策の自信があった。
それは目の前に表示しっぱなしにしていたステータスが原因だった。
グラスヒルに到着したころ、急にステータスが上昇していたのだ。
呪いの影響は距離によってジワジワと弱まっていく所謂アナログだったのだが、ステータスの表示はかっちり変わるデジタルだったため、ある一定のレベルを下回った瞬間に一気に表示が変わったのだ。
これならグラスヒルでガチャ屋をやっていける。その自信が奴隷たちの運命に影響を与えた。
このような甘い考えに至ったのも、この世界のカナタ自身が持つ感覚というよりも、カナタの身体に刻まれた多田野信の日本人としての感覚が前に出て来たからだろう。
「カルロスさん、この2人をこちらの坊ちゃんの奴隷として契約を書き換えて欲しいんだが」
「なんじゃ、レグザスか。その2人はどうしたんじゃ?」
でっぷりとお腹の出た商人らしい体格で髪の薄い初老の人物が店の奥から出て来た。
人当たりの良さそうな雰囲気を纏ったその男はレグザスに気付いて話かけて来た。
「盗賊に奪われた奴隷を助けたんだよ。持ち主だった者たちはおそらく……」
レグザスの言葉にカルロスが【契約鑑定】の魔法を使った。
奴隷商は、奴隷の持ち主や契約形態など奴隷契約に関する情報を鑑定することが出来るのだ。
奴隷商は【無属性魔法】という特殊なスキルを持っていて、そこから【奴隷契約魔法】を覚えることで奴隷商となれる。
もちろん、違法に奴隷を扱わないように奴隷商は免許制であり、奴隷商となるには国による厳しい認可手続きが必要となる。
「ふむ。確かに契約者死亡で所有者不明になっておるな。
これなら、所有権の書き換えは合法じゃわい」
そう言うと、カルロスはその鑑定結果を【自動書記】の魔法で紙に書き写した。
2人分できっちり2枚ある。
この書類が他人の奴隷を勝手に奪ったのではないという立派な証拠となるためだ。
ラノベなどでよく、主人公が隷属魔法を覚えて勝手に契約を書き換える場面があるが、あれはこの世界では違法行為となる。
「所有権はお前じゃなく、こっちの坊ちゃんで良いのじゃな?」
カルロスが意味深な視線をレグザスに向けるが、レグザスは渋い顔をすると我関せずと掌をカナタの方にヒラヒラと振って答えた。
「それでは隷属契約を結ぶ。其方たちは此方へ、坊ちゃんは其方へ」
カルロスは奴隷女性2人とカナタを対面するように立たせた。
カルロスが【奴隷契約魔法】の詠唱に入る。
するとカルロスの左手から淡い光の球が2つ出て来てふわりと漂うと、奴隷女性2人の右首筋にある奴隷紋に触れた。
その光の球が奴隷紋に輝きを与える。
カルルスが右手をすっとカナタの方に向けると、その2つの光の球がカナタの方に向かい胸の中心に溶けるように沈んでいった。
「ふう。これで奴隷の所有権登録は完了ですじゃ」
カルロスがまた【契約鑑定】と【自動書記】で契約内容を書面に書き写す。
そこには前の持ち主から引き継がれたちょっとヤバイ内容が書かれていたのだが、カナタは気付いていなかった。
カルロスが前の持ち主の契約内容をそのまま引き継いだのは、奴隷の価値を下げないためだった。
今のところ、カナタはカルロスに奴隷の処遇を表明していない。
このままカナタが売るかもしれないのに、条件を悪くする選択肢はないのだ。
カルロスも条件の良い契約内容で引き取りたいところだからだ。
「さて、こういった盗賊から手に入れた奴隷の場合、お売りになるという選択肢もあるのじゃが……。
坊ちゃんはどうなさるおつもりで?」
カナタは日本人である多田野信の知識に引き摺られて奴隷に情が移ってしまった。
カナタが手放せばこの女性たちは不幸になるかもしれないと危惧してしまったのだ。
そう思ってしまったらもう手放すという選択肢を選べなかった。
「このまま従業員として雇うつもりだよ。
僕はお店を開く予定だからね」
カナタは奴隷女性2人を本気で従業員にするつもりだった。
その前にお店を持たなければならないのだが……。
「わかり申した。もしお売りになるのならば当商会にお売り下され。
えーと、これは失礼を。坊ちゃんのお名前をお訊ねしておりませなんだ」
カルロスはカナタの名を訊いていなかったことに今更ながら気付いた。
レグザスの信用だけで奴隷契約を結んでしまっていたのだ。
それだけレグザスとカルロスの関係が深いということなのだろう。
「あ、カナタです。カナタ=ミル=ファーランドです」
「これはこれは、貴族の御子息様じゃったか。大変失礼申したのじゃ」
カナタの返事にカルロスは驚いた様子を見せた。
しかし、内心は服装などからカナタが貴族であることは察しがついていたのだが……。
「大変失礼じゃが、手数料を銀貨40枚いただけると……」
「ああ、当然手数料がかかるよね」
正式な書類も作成してもらっているし、奴隷契約にお金がかかるのは当然だった。
奴隷1人で銀貨20枚、つまり2人で4万DGかかった。
まあ、奴隷を買ったならそんな金額では済まない。
レグザスに奴隷の分け前として金貨2枚=20万DG払っている。
それでさえ奴隷の価値を3等分した結果、つまり2人で60万DG相当になる。
つまり奴隷1人が30万DGと見積もったということだ。
こうしてレグザスが奴隷商と交渉し話をつけることで、奴隷2人の所有権は無事にカナタへと移すことが出来た。
「さて、次は冒険者ギルドに盗賊討伐の報告と褒賞金をもらいに行くぞ」
全員で荷馬車に乗り込み、カナタたちは冒険者ギルドに向かった。
奴隷女性2人はカナタに売られなかったことで安堵の表情を浮かべるのだった。
ただし、ある決意を胸に秘めて。
「ルル、御付きの女性はお名前からご主人様の肉奴隷のようです。
私たちも覚悟を決めなければなりません」
「ララ、元々そういう契約で売られたから、もう覚悟は出来てるよ。
ああ、でも肉奴隷を街中で堂々とニクと呼ぶなんて、ご主人様はどんなプレイを望まれるのか……」
「でも、ルル、ご主人様はお優しいようなので、前のご主人様よりは当たりですよ?」
「そうだね、ララ。あいつは鬼畜だったね。
私たちは順番が来る前に捕まってある意味盗賊に感謝だね」
「ええ、ルル。盗賊は私たちを高く売るために手を出さなかったしね」
「他の子は悲惨だったものね……」
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