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領主編

107 領主編1 領地

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 第13皇子ケインプリンスとの決戦が帝国の都合により決闘扱いとなり、勝利を収めた僕に第13皇子ケインプリンスの領地が丸ごと与えられた。
本人が生きていて領地を占領もされていない状態でこうなるのは普通ではないそうだが、第13皇子ケインプリンスが汚い手で僕を始末しようとしていたことが、帝国皇子としての矜持を汚すこととなり、その発覚でこのような結果となった。
僕の負け=僕が殺されていたということで、僕の領地が第13皇子ケインプリンスの物になっていたらしいが、僕に領地なんか元々無かったから、まさに命を掛け金にして手に入れたという感じだ。
もっとも、第13皇子ケインプリンスが、なぜこんなリスクを背負ってまで僕を狙っていたのかは良くわかっていない。
僕の皇位継承順位に不満を持っていたようだけど、果たしてそれだけだったのだろうか?

 そんな棚ぼた気味に手に入れた領地だが、今後は僕の裁量で統治して行かなければならない。
領地の内訳は以下。

 アノイ星系。
帝国の直轄領。
ここの星系領主の権利はこれを機会に僕に委譲された。第13皇子ケインプリンスの迷惑料? 
惑星アノイはテラフォーミングすれば人が住めるようになるハビタブルゾーンに入っているが、若干太陽から遠く寒冷な惑星らしい。
その改造予算は莫大で改造計画は調査段階で予算不足となり頓挫していた。
星系としての価値はハブ次元跳躍門ゲートであるということだけのようだ。
それを守るために帝国からステーション型要塞艦であるアノイ要塞が配備されている。
ここはアノイ要塞をコマンダー・サンダースに任せれば問題ない。
これを機会に1階級昇進を打診しようかと思ったが、帝国軍士官の昇進任命権とかよく分かっていないので保留中だ。
細かく調べれば星系内の他惑星も資源の宝庫だろうが、手が回っていないというのが現状だ。

 グラウル星系。
第13皇子ケインプリンスが星系領主だったところ。
犬族のグラウル男爵が統治するグラウルαとグラウルβの2衛星以外は僕の物になった。
グラウルの惑星領主も第13皇子ケインプリンスだったため犬族のグラウル男爵は2衛星の衛星領主となる。
犬族のファミリーネームであるグラウルは、この衛星を賜った以降に名乗るようになっただけで、グラウル星系全てが犬族の物であるわけではない。
主な資源はガス惑星の惑星グラウルで採取される重水素だ。
犬族は重水素の採取労働が主産業だが、その重水素利権のほとんどは第13皇子ケインプリンスが握っていたということだ。
ここは重水素利権の半分を譲渡してグラウル男爵を代官にしよう。
ちなみに猫族のカプリース領と小領地混成軍の領地は第13皇子ケインプリンスの物ではなかったそうだ。
両者が帝国の命令でアノイ星系の防衛任務についたために第13皇子ケインプリンスの支配下に入っていたらしい。

 アクア星系。
帝国直轄領。
ここも帝国から星系領主の権利が僕に委譲された。
惑星アクア3が唯一の居住可能惑星で子爵領となっている。
惑星領主としてアクア子爵が統治している。
子爵家の命名理由が惑星アクア由来なので当然と言えば当然の名前だ。
ここはリゾート惑星だ。陸海比が1:9でほとんど海の星だ。
観光と魚介類の食料資源が主な産業になっている。
貴重な食料庫といえる。
その惑星アクア3も陸地は子爵領だが、ほとんどの海洋資源の利権は第13皇子ケインプリンスが独占しており、今後はそのまま僕の物らしい。
惑星がいくつあるか、どんな資源を持っているのか、開発状況がどうなっているのかは不明だ。
本来ならサポートAIの有機端末である愛さんに聞けば直ぐなのだが、第13皇子ケインプリンスの怠慢か意図的かデータがアップデートされていないそうだ。
帝国直轄領の開発は帝国への報告義務があるが、それを怠っていた模様だ。
その秘密主義なところが不安視され、アクア子爵の出方次第では揉める可能性が高い。

 ファム星系。
第13皇子ケインプリンスが星系領主だったので、そのまま僕が星系領主に。
2つの惑星がテラフォーミングされていて牧畜を行っている。
惑星の1つの惑星ファム5が伯爵領で、もう1つの惑星ファム4が第13皇子ケインプリンス領だったので、そこが今は僕の領地。
両惑星とも畜産物を生産する重要な食料庫である。
しかし統治している伯爵とは、捕虜から話の出た、アノイ星系に攻めて来たあのダグラス伯爵だ。
ダグラス伯爵は敗走し、そのままファム星系に逃げ帰っている。揉めること確実だ。

 タタラ星系。
第13皇子ケインプリンスが星系領主だった。
鉱物資源を産出するタタラ3からタタラ5が開発されていて、第13皇子ケインプリンス指名の代官が収めている。
タタラ4の衛星軌道上に工業衛星があり、各種工業製品が生産されている。
第13皇子ケインプリンス軍の兵器工場でもある。
こここそが第13皇子ケインプリンスの軍事拠点だ。
おそらくここも第13皇子ケインプリンスに与する抵抗勢力だろう。

 その他穀物を生産する星系が4つ。これらも第13皇子ケインプリンスが星系領主で代官がいるらしい。
代官が帝国から派遣された者なのか、第13皇子ケインプリンスが直接雇ったのかで差が出るだろうが、とりあえずは会ってみないことにはわからない。

 そしてビギニ星系。
地球を含む太陽系へと繋がる超ハブ次元跳躍門ゲートが存在する星系。
帝国最重要の銀河間転移が出来る超ハブ次元跳躍門ゲートなのに、なぜ第13皇子ケインプリンス領だったのかが謎だ。
今は僕の所有物になっているが、僕は地球への超ハブ次元跳躍門ゲートを今後どう扱うべきか頭が痛い。
第13皇子ケインプリンスが行っていた超ハブ次元跳躍門ゲートの使用制限が、本当なのか嘘なのかでも扱いが変わる。
今後自由に地球と行き来して良い物か悩むところだ。
またゲームとしてのSFOを維持する必要があるのか?
SFOに参加させるために3年の契約期間で縛るべきなのか、超ハブ次元跳躍門ゲートの秘密を知るまでは判断がつかない。
地球に名深く浸透しているSFO事業は、地球にも恩恵を与えているようで、それがSFOの資金源だったとは後から知ったことだ。
SFOは地球経済の一部となっていて今や切っても切れないものになっていた。
超ハブ次元跳躍門ゲートがビギニ星系に存在する限り、野良宇宙艦や他の勢力からの攻撃に晒される事になるので、ステーションとSFOの戦力はあてにせざるを得ない。

 これが現在、僕《あきら》の領地となった。
これらの領地はアノイ星系を中心にハブ次元跳躍門ゲートで2週間以内の距離にある。
星系領主や惑星領主、代官らをアノイ要塞に呼ぶのには10日もあれば十分だろう。
一番遠いビギニ星系はステーションと超ハブ次元跳躍門ゲートぐらいしか施設がないので、居住可能惑星の惑星ビギニ2には代官もいない。

 星系領主や惑星領主、代官らの行動次第でまた戦争になるだろう。
ダグラス伯爵のファム星系と軍事拠点タタラ星系はどう出て来るだろうか?
そういえばギルバート伯爵の領地は出て来なかったな。
伯爵本人は捕まったはずだけど、第13皇子ケインプリンスの領地の人ではなかったんだな。
ギルバート伯爵は帝国正規軍を使っていたから、何らかの協力関係者だったのかな?
となるとこの件は他にも関係者がいるってことだよな。
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