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アイドル編

067 アイドル編43 紗綾艦

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 紗綾さーやの専用艦の融合が終了した。
融合した戦艦は1000m級で戦艦としては小型戦艦に分類される。
主機は熱核反応炉A型、推進器は高速推進器B型だったので、そのまま使うことにした。
追加武装には40cm粒子ビーム砲連装砲塔を別途用意。
紗綾さーやの専用艦はシューティングドリーム戦と同じ多重盾仕様のままだ。
この状態で紗綾さーやが融合をかけた。
その結果、紗綾さーや艦は以下のようになった、


SAYAさーや
艦種 防宙戦艦
艦体 全長1200m 戦艦型 16腕(簡易型)
主機 熱核反応炉A型(12) 高速推進機B型
補機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身36cmレールガン1基1門 通常弾 80残弾80最大
      40cm粒子ビーム砲連装1基2門
   副砲 15cm粒子ビーム砲連装2基4門
   対宙砲 10cmレーザー連装8基16門
   ミサイル発射管 F型防宙8基8門 最大弾数20×8 ミサイル残弾 160
防御 耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板(盾B型相当)
   ビームキャンセラー(対ビームバリヤー)
   耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲盾S型 16
   停滞フィールド(バリヤー)C型
電子兵装 電脳E型 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 1
状態 良好


 紗綾さーやの高速機動で盾を合わせて弾を滑らすという戦闘スタイルに合わせるためか、排除されると思われていた元の反応炉と推進器が補機として搭載されていた。
更に、シューティングドリーム戦の多重盾を自由に動かせるように簡易腕が16本生えていた。
その腕の全てが耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板製の盾を持っている。
この盾が艦全体を覆うように配置されていて、いわば装甲板が二重にあるかのような出で立ちとなっていた。
防宙装備も対宙ミサイル発射管と対宙レーザーが倍増していた。
ここまでは紗綾さーやのDNAがもたらす特徴である防宙能力強化の方向への進化だった。
が、1つだけ予想外の装備があった。
長砲身36cmレールガン。
これは元にした戦艦の主砲だったものだが、鹵獲時に破壊されていたため融合からは除外されていた。
それが生えていたのだ。まあ融合時にはたまにある現象らしいけど。

「なんで36cmレールガンが生えてるの?」

「それはね~。もっと強くなりたいって思ったからかな?」

 そういえば、誰の艦を融合で強化するのか話し合った時に、攻撃力を上げたいという要望をしていたんだった。
そのための40cm粒子ビーム砲の追加だったんだけど、紗綾さーやの気持ち的には足りないと思っていたのか。
その気持ちが融合に影響を与えて、戦艦のDNAから情報を得て36cmレールガンが生えたということだろう。
しかし、せっかくのレールガンも高性能レーダーに付随する装備である射撃補正装置がないと宝の持ち腐れだな。

「次はB型以上の対艦レーダーを手に入れないとならないな」

 そうなると菜穂なほさんの狙撃艦と任務が被るな。
次は菜穂なほさんの艦も強化するべきだな。

「なかなか使えそうね。じゃあ、実地試験でCランクVPに参加申し込みしとくわよ」

「ん」「はい」「まかせて~」

 皆、紗綾さーやの専用艦の強化には納得いったようだ。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


 CランクVP1回戦。
紗綾さーやの防宙戦艦の能力を試すための試合。
こちらとしては同じ戦術でどれだけ勝ちやすくなったのかという検証をすることになる。
僕がステルスで隠れて指示を出しつつ、紗綾さーやが敵の攻撃をいなして菜穂なほさん綾姫あやめが敵の戦力を削る。
敵の動きを見据え、味方を誘導し敵を撃破する。
また僕もステルスでこっそり好位置を取り敵を撃破する。美優みゆも艦載機で奇襲をかける。
紗綾さーやの攻撃力強化と鉄壁の防御力で今までより楽に勝てた。
さらに僕の専用艦の次元格納庫からミサイル弾薬の補給も試みる。
ダメージコントロールに補給、今までのブラッシュリップス艦隊の弱点が補われ、一段強くなれた気がする。

 CランクVP2回戦。
敵艦隊に戦艦が2艦もいた。バトル宙域が通常空間だったために隠れる場所が全くない。
こちらは紗綾さーやが防宙戦艦で菜穂なほさんが所謂ポケット戦艦だが、敵戦艦は紛れもない本物。圧倒的に戦闘力が高い。
紗綾さーやの防宙戦艦の防御力でしのぎ、僕の専用艦がステルス機能により奇襲をかけ勝つことが出来た。

 CランクVP3回戦。
ブラッシュリップス艦隊お得意の岩礁宙域での戦闘。
僕がステルスで隠れて敵情を把握し、味方を誘導して危なげなく勝った。

 CランクVP4回戦。
重力異常宙域が戦場だった。
射撃補正装置による長距離戦。
こちらは射撃補正装置を僕と菜穂なほさんしか持っていない。
せっかくの紗綾さーやの36cmレールガンが使えないのは痛い。
しかし、その回避方法は以前見つけてしまった。
戦術兵器統合制御システムで僕の専用艦と紗綾さーやの艦を繋ぎ射撃補正装置のデータを渡して狙撃させる。
敵艦隊が射撃補正装置を持っていなかったため、近づいて来たところを各個撃破して終了。

 CランクVP準決勝。
紗綾さーやの艦を強化したおかげで、以前のようにダメージ蓄積でボロボロという状態になっていない。
だがベスト4に残った艦隊はやはり只者ではない。
バトル宙域は僕たちが得意とする暗礁宙域。
しかし、今回は僕たちの戦術が完全に読まれていた。
ステルス化している僕の専用艦が居そうな場所に向けてミサイルが撃ち込まれ散弾をまき散らす。
それを嫌って迎撃するなり動いてしまうと、居場所を特定され戦艦が牽制のために張り付いて来る。
僕が指揮を出来ないでいるうちに菜穂なほさんと紗綾さーやが敵4艦による集中攻撃を受けてしまう。
僕の専用艦は戦艦と40cm粒子ビーム砲の撃ち合いとなっていた。
躱して撃って、また躱してと、やっと敵戦艦を撃沈して援護に向かうと菜穂なほさんが撃沈されていた。
美優みゆの軽空母も艦載機で敵艦を撃沈するも艦載機を2機失っていた。
綾姫あやめは敵の防御力に主砲が通じず対艦刀で切り込んで相打ちになっていた。
紗綾さーやも奮闘して敵艦2艦を葬ったが、艦のダメージが大きい。
勝つには勝ったが、決勝に進む艦が3艦となってしまった。
作戦のマンネリ化により戦術が読まれ良いように対処されてしまった。
今回は紗綾さーや艦の実地試験だなどと思っていたのが間違いだった。

 CランクVP決勝。
決勝ともなると敵艦隊は全5艦のうち3艦が戦艦だった。
他の2艦は補給艦と索敵艦のようだ。
ほとんどダメージも負っていない。
Gバレットを使ったり無理をすれば勝てるだろうが、メンバーを欠いたこの状態で勝っても無意味だ。
こんな状態でBランクに行ったらまた苦労する。
僕は紗綾さーや美優みゆに相談をして早々に棄権を宣言した。


◇  ◇  ◇  ◆  ◇


「うちの艦隊の弱点も見えたし、実地試験だったし無理に決勝で勝つ必要もないから、棄権は良い判断だったわ」

「あのままBランクになっても困ります。まだまだ未熟でした」

「ん。同意」

「またRPに出て戦力増強だね」

「私は~、満足してるよ~。いつでも大丈夫だからね~」

 僕も戦術にバリエーションも持たせないと、また嵌め技でやられてしまう。
ステルス化していても戦場全ても見ようとすれば、自ずと居場所がバレてしまう。
これは良い教訓になった。
それと僕がバトル中の指揮を誰かに任せないと指揮の空白で混乱してしまう。
僕に余裕があればいいんだけど、戦艦の相手中はちょっと厳しいわ。
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