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アイドル編

051 アイドル編27 緊急招集三度目1

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 社長に強引に連れていかれたグラビア撮影で、ポロリの危機だった僕は、なんとか無事撮影を終えることが出来た。
撮影さえ乗り切れば、あとは休暇として海洋リゾートを楽しむだけ。

のはずだった。

 僕は今日もばっちりメイクをされて女装で食事をしていた。
例のオフショット撮影がまだ続いていたのだ。
目の前の大きなロブスターに嚙り付こうとしたところ……。

「あれ?」

 僕の目の前が一瞬でステーションの小会議室ブリーフィングルームに切り替わった。
じっと自分の服装を見る。はい、パイロットスーツです。どう見てもアブダクションです。

「えーーーーーーーーーっ! 僕のロブスターは?」

「ごめんなさい!」

 僕の横に綾姫あやめがやって来て頭を下げる。
僕は頭に???を出しながら綾姫あやめを見つめる。

「私のせいなの。私が借金を抱えていて、アキラ艦隊所属だから晶羅あきらも当事者として招集対象になってしまうらしいの」

「そうだった。確か前回もそう言われたんだった」

(ちくしょう! 美味しそうなロブスターを食べる寸前だったのに!)

 僕が血の涙を流していると、いつもの如くエリアリーダーのタカヲ氏が入室して来た。

次元跳躍門ゲートに転移の予兆が現れた。我々はいつもの後衛任務だ。担当宙域は抽選でM1-P2-M15。後衛の先頭で防衛戦だ。1艦も逃すな」

 座標は次元跳躍門ゲートから左1上2手前15のエリア。
アステロイドベルトの中の難しい宙域だ。

「中衛が撃ち漏らした敵艦を、サーチ&デストロイだ。ステルス艦を見逃すな。
今日は各個に小惑星の間のポジションを担当してもらう。自分の前だけは抜かれるな」

 今回は待ち伏せポイントが割り振られるようだ。他を気にしなくていいのは助かる。

「作戦開始まで各自CICで待機。管制官の指示を聞き逃すなよ!」

 全員が席を立ち、簡易転送ポートに向かう。

綾姫あやめ、担当ポイントを隣にしてもらった。お互いにフォローし合うようにしよう。
射撃補正装置の情報はデータリンクでそっちにも送る。ステルス艦に気をつけて」

「わかった。今日は無茶しないでね」

「うん、大丈夫」

 格納庫に転移し、待機室から専用艦に乗る。CICに入りパイロットシートに座る。
今回出撃するアキラ艦隊の各艦の諸元は以下。

AKIRAあきら
艦種 艦隊旗艦
艦体 全長250m 高速巡洋艦型+α 2腕 次元格納庫S型 (艦載機『すてるす』1 外部反応炉 外部兵装 外部電脳 予備部品多数)
主機 対消滅反応炉G型(15)(+外部反応炉 対消滅D型(18)) 高速推進機C型
補機 熱核反応炉G型(6)
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 100残弾100最大 特殊弾*バレット 20残弾20最大 特殊弾浸食弾 20残弾20最大
     (外部兵装 長砲身40cmレールガン単装1基1門 通常弾 40残弾80最大 他)
      ***粒子ビーム砲単装1基1門 (ロック)
      36cmブラスター単装1基1門
   副砲 30cm粒子ビーム砲単装1基1門
   対艦刀 30m対艦刀【不知火】
   対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
   ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 残弾 8
   艦載機用ミサイル D型標準2基×1 最大弾数4×2×1 ミサイル残弾 6
防御 耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板(盾S型相当)
   ビームキャンセラー(対ビームバリヤー)
   耐実体弾耐ビーム盾E型 1
   停滞フィールド(対実体弾バリヤー)C型
電子兵装 電脳S型 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型 サブ電脳D型 (外部電脳A型)
空きエネルギースロット 0(6)
状態 ***粒子ビーム砲 使用不能


『すてるす』
種別 ステルス攻撃機
機体 全長25m
主機 熱核反応炉F型(7) 高速推進機G型
兵装 主砲 15cm粒子ビーム砲連装1基2門
   ミサイル D型標準2基搭載可能
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
   遮蔽フィールド(隠蔽装置)E型
電子兵装 電脳F型 対艦レーダーF型 通信機F型
空きエネルギースロット 1
状態 良好


AYAMEあやめ
艦種 突撃艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉C型(10) 高速推進機E型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80残弾80最大
   副砲 15cm粒子ビーム砲連装2基4門
   対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
   ミサイル発射管 なし
   対艦刀 C型 1
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
   耐実体弾耐ビーム盾E型 1
   停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 電脳E型 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0


 今回は戦艦を融合して初の出撃になる。
『すてるす』はビーム砲装備。
試しに次元格納庫の外部兵装を使いまくってみようか?


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


 管制官の指示が出て出撃する。
担当宙域に向かい、割り振られたポイントに進出。
レーダーと射撃補正装置を立ち上げ戦術兵器統合制御システムでアヤメ艦とデータリンクを繋ぐ。
ついでにステーションの電脳にもデータリンクを繋ぎ、戦場にいる味方艦の観測データをリアルタイムで取得する。
そのデータを外部電脳に渡して処理結果だけを主電脳にもらう。
前方宙域に展開する敵艦隊の位置や動向を監視し脅威分析にかける。

「どうやら、まだ僕と綾姫あやめの担当ポイントには敵艦が来ていないみたい。いま前衛艦隊が戦闘中だね」

「この分析図は、晶羅あきらの専用艦が作ってるの? 凄い処理能力ね」

 綾姫あやめが分析図を見て驚いている。

「ああ、この前鹵獲した戦艦の電脳が外部接続で使えるようになって、処理能力が倍以上になったんだよ」

「こんなこと単艦で出来るなんてステーションぐらいのものじゃないかしら」

「まあ、便利だからいいじゃん」

「それもそうね」

 データはステーションから盗――じゃなくてもらってることは黙っておこう。


 敵艦隊が中衛まで進出し、そろそろ抜かれ始める。

綾姫あやめ、そっちに1艦行ったよ。ここは重力異常が無いからレールガンで狙い撃ちしちゃって」

「わかった。凄い、私の専用艦には射撃補正装置が無いのに長距離射撃モードが使える」

「うん、データリンクでこっちの射撃補正装置が使えるんだよ」

 アヤメ艦がレールガンを撃つ。
敵の突撃艦に命中、中破させ動きを止めた。

「良かったね綾姫あやめ、撃墜権獲得だ」

「いえ、後で回収までしたいの。その方が早く借金を返済出来るでしょ? これ以上晶羅あきらに迷惑かけられないし……」

「そこは気にしないでいいから」

 続けて僕の担当ポイントに敵艦がやってくる。
2艦が単従陣か。後ろはまた戦艦じゃないだろうな?
分析図によると突撃艦の後ろは巡洋艦のようだ。

「よし、新装備の副砲を撃ってみよう」

 僕は副砲の30cm粒子ビーム砲で敵突撃艦を撃つ。
外部反応炉のおかげで次弾の射撃が早く速射砲的に連射が可能だ。
命中。続けて次弾も命中。敵2艦が大破した。

「うわ、オーバーキルだな……」

 敵艦が残骸と化した。せっかくの撃墜権がジャンクばかりになりそう。
外部兵装はもっと強いから使えないな。
今の専用艦の固定武装だと侵食弾ぐらいしか使いようがない。
敵艦が次々にやって来るから、いちいちエネルギー分配器をピンポイントでやれない。
今は綾姫あやめも担当ポイントを離れられないから、鹵獲してる暇がなさそう。

「ナーブクラック連発するか……」

 僕は覚悟を決めて長砲身5cmレールガンを構えた。
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