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第四章 ルナトーク王国奪還戦編
149 戦場への帰還
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第13ドックに撤退して来た俺は、直ぐにイスダル要塞と魔導通信を繋げた。
そこには第二戦隊がいて要塞の援護をしているはずだった。
もし、敵主力艦隊6艦――この時俺はSSMが敵艦に当たって1艦減っているとは知らなかった――が転進して、また自爆攻撃をしかけたら、第二戦隊にまで被害が出ると危惧していたのだ。
俺が撤退してまだ間がない。
敵主力艦隊がイスダル要塞を襲うまでにはまだ時間があるはずだった。
『こちらクランドだ。第二戦隊応答せよ』
『こちら第二戦隊のミーニャにゃ。
クランドどうしたにゃ?』
魔導通信に出たのはミーナだった。
あいかわらず言語の極の自動翻訳が訛りを律義に変換して聞き取りにくい。
ミーナが自分で言う名前ですらミーナがミーニャになってしまう。
こう聞こえているのが俺だけだというのだから困ったものだ。
『ミーナ、第一戦隊が敵の自爆攻撃で大打撃を受けた。
今は第13ドックに撤退して来ている』
言いにくいことだが、俺は現状を正直にミーナに伝えた。
そこには恥だとか情けないだとか言っていられない状況があったからだ。
『にゃんだって! 皆は大丈夫にゃのか?』
ミーナの声のトーンが一つ上がる。
いつもは猫のように呑気に昼寝をしてぐでーーっとしているミーナだが、このような時には一瞬で身体も気持ちも戦闘態勢に入る。
『ああ、大丈夫だ。人的被害はゼロだ。
艦をそれなりにやられてしまったが……』
俺は自嘲気味に言った。
だが、ミーナはそんなことは一切気にする様子が無かった。
『それは良かったにゃ。
だが、負けたんだにゃ?』
ミーナは歯に衣着せぬ言動でズバリと言ってくる。
情報を正確に伝えるうえで誤魔化しは不要なのだ。
『ああ、戦術上の負けだな。
敵は魔導バーストを人為的に起こして自爆してくる。
被害半径は20kmほどもある。
敵艦がイスダル要塞に近づく前に叩いてくれ。
要塞が抜かれればズイオウ領も危うい』
この後、イスダル要塞が同じように自爆攻撃を受けるかもしれない。
その対策を準備してもらう必要があった。
『そうにゃのか……。
要塞には長距離魔導砲があるにゃ。
それにいざとにゃれば、ミーニャが戦闘機で出るにゃ』
ミーナは航空巡洋艦に改装されたラーケンに乗っていた。
そこには、あの空賊が使っていたFA69が搭載されていた。
短距離離着陸タイプのFA69は、ゴーレムの腕を流用したクレーンで舷側に持ち上げられ、そこから発進するようになっているのだ。
『たしかにミサイルは有効だったな。
そちらには何発ある?』
俺はミサイルが敵の強化防御魔法陣を突破する様子を目にしていた。
魔力バーストを起こされるまで接近されたのは、その強化防御魔法陣により魔導砲でさえ一撃で敵艦を葬れなかったからだった。
それがミサイルならばたった1発で敵艦1艦を葬ることが出来たのだ。
『SSMが4発とASMが2発にゃ』
これはダーボンやバーアムに装備されていたのと同じ、ミサイル4発を収納した箱型のランチャーを搭載した艦が1艦いるということだ。
そしてミーナが乗るFA69にも2発搭載できる。
『敵艦と同数か。外さなければどうにかなるか……。
とにかく最優先は皆の命だ。
危なくなったらイスダル要塞を放棄して撤退して良いからな。
魔力バーストに巻き込まれないように気を付けてくれ』
『わかったにゃ』
俺は魔導通信を切ると、出来るだけ早く修理を終えて援軍に向かうことを決意した。
そのためにはなるべく早く第一戦隊を再建しなければならない。
「セバスチャン!」
「ここに」
俺が執事のセバスチャンを呼ぶと、どこからともなくセバスチャンが現れ俺の傍らに跪いた。
「第一戦隊が魔導バーストでやられた。
早急に戦闘復帰させたい。
どう見立てる?」
俺はインベントリから全艦をドックに出すと修理の方向性を全てセバスチャンに任せた。
「バーアムは酷い。後回しですな。
現在修理の完了している艦を配備した方が早うございます。
魔導通信機と魔導レーダーはアンテナの換装で速やかに修理可能でしょう。
魔導砲も砲身の換装で修理可能。
ダウンした重力制御機関も整備するだけで良いでしょう」
爆心地に一番近かったバーアムは酷い有様だった。
さすがに後回しも致し方ない。
しかし、バーアム以外が簡単な修理で済むとは意外だった。
「どのぐらいかかる?」
「艦の新造と現在修理中の艦を後回しにすれば1日ほどでしょうか」
思ったより時間がかかるようだ。
「何が一番時間がかかる?」
「重力制御機関の整備ですな。
他は小一時間で終わるでしょう」
重力制御機関をやられていたのはエリュシオンとルナワルドだった。
魔導砲2門搭載艦と長距離魔導砲搭載艦という第一戦隊の攻撃の要となる艦だ。
「ルナワルドは後部の輸送艦を切り離して別の艦に換えるだけで大丈夫です」
ルナワルドは平甲板を持つ輸送艦が後部にドッキングして魔導機関と重力制御機関を二つずつ持つ艦となっている。
そうなるように設計した輸送艦であり、その輸送艦の方の重力制御機関がダウンしていたのだ。
第13ドックにはその同型艦が存在していてそれに換装すれば良いだけだった。
「問題はエリュシオンだが……。
そうだ。エルシークも魔導砲2門搭載艦だ!
第13ドック守備隊のエルシークを借りれば良いんだ」
「手配いたしましょう」
こうして第一戦隊は2時間弱というスピードで再建された。
旗艦軽巡洋艦エルシーク、航空巡洋艦ルナワルド、ミサイル搭載駆逐艦ダーボン、駆逐艦オライオン、帝国艦隊から鹵獲し修理した駆逐艦フッドの5艦で第一戦隊は再編成された。
ダーボンには箱型ランチャーのSSM4発に予備4発が搭載されていた。
「よし、全艦俺のインベントリに収納完了した。
乗組員は全員俺の側に集まれ。【転移】するぞ!」
こうして俺たち第一戦隊は再びイスダル要塞の前へと転移し戦場へと帰還した。
そこには第二戦隊がいて要塞の援護をしているはずだった。
もし、敵主力艦隊6艦――この時俺はSSMが敵艦に当たって1艦減っているとは知らなかった――が転進して、また自爆攻撃をしかけたら、第二戦隊にまで被害が出ると危惧していたのだ。
俺が撤退してまだ間がない。
敵主力艦隊がイスダル要塞を襲うまでにはまだ時間があるはずだった。
『こちらクランドだ。第二戦隊応答せよ』
『こちら第二戦隊のミーニャにゃ。
クランドどうしたにゃ?』
魔導通信に出たのはミーナだった。
あいかわらず言語の極の自動翻訳が訛りを律義に変換して聞き取りにくい。
ミーナが自分で言う名前ですらミーナがミーニャになってしまう。
こう聞こえているのが俺だけだというのだから困ったものだ。
『ミーナ、第一戦隊が敵の自爆攻撃で大打撃を受けた。
今は第13ドックに撤退して来ている』
言いにくいことだが、俺は現状を正直にミーナに伝えた。
そこには恥だとか情けないだとか言っていられない状況があったからだ。
『にゃんだって! 皆は大丈夫にゃのか?』
ミーナの声のトーンが一つ上がる。
いつもは猫のように呑気に昼寝をしてぐでーーっとしているミーナだが、このような時には一瞬で身体も気持ちも戦闘態勢に入る。
『ああ、大丈夫だ。人的被害はゼロだ。
艦をそれなりにやられてしまったが……』
俺は自嘲気味に言った。
だが、ミーナはそんなことは一切気にする様子が無かった。
『それは良かったにゃ。
だが、負けたんだにゃ?』
ミーナは歯に衣着せぬ言動でズバリと言ってくる。
情報を正確に伝えるうえで誤魔化しは不要なのだ。
『ああ、戦術上の負けだな。
敵は魔導バーストを人為的に起こして自爆してくる。
被害半径は20kmほどもある。
敵艦がイスダル要塞に近づく前に叩いてくれ。
要塞が抜かれればズイオウ領も危うい』
この後、イスダル要塞が同じように自爆攻撃を受けるかもしれない。
その対策を準備してもらう必要があった。
『そうにゃのか……。
要塞には長距離魔導砲があるにゃ。
それにいざとにゃれば、ミーニャが戦闘機で出るにゃ』
ミーナは航空巡洋艦に改装されたラーケンに乗っていた。
そこには、あの空賊が使っていたFA69が搭載されていた。
短距離離着陸タイプのFA69は、ゴーレムの腕を流用したクレーンで舷側に持ち上げられ、そこから発進するようになっているのだ。
『たしかにミサイルは有効だったな。
そちらには何発ある?』
俺はミサイルが敵の強化防御魔法陣を突破する様子を目にしていた。
魔力バーストを起こされるまで接近されたのは、その強化防御魔法陣により魔導砲でさえ一撃で敵艦を葬れなかったからだった。
それがミサイルならばたった1発で敵艦1艦を葬ることが出来たのだ。
『SSMが4発とASMが2発にゃ』
これはダーボンやバーアムに装備されていたのと同じ、ミサイル4発を収納した箱型のランチャーを搭載した艦が1艦いるということだ。
そしてミーナが乗るFA69にも2発搭載できる。
『敵艦と同数か。外さなければどうにかなるか……。
とにかく最優先は皆の命だ。
危なくなったらイスダル要塞を放棄して撤退して良いからな。
魔力バーストに巻き込まれないように気を付けてくれ』
『わかったにゃ』
俺は魔導通信を切ると、出来るだけ早く修理を終えて援軍に向かうことを決意した。
そのためにはなるべく早く第一戦隊を再建しなければならない。
「セバスチャン!」
「ここに」
俺が執事のセバスチャンを呼ぶと、どこからともなくセバスチャンが現れ俺の傍らに跪いた。
「第一戦隊が魔導バーストでやられた。
早急に戦闘復帰させたい。
どう見立てる?」
俺はインベントリから全艦をドックに出すと修理の方向性を全てセバスチャンに任せた。
「バーアムは酷い。後回しですな。
現在修理の完了している艦を配備した方が早うございます。
魔導通信機と魔導レーダーはアンテナの換装で速やかに修理可能でしょう。
魔導砲も砲身の換装で修理可能。
ダウンした重力制御機関も整備するだけで良いでしょう」
爆心地に一番近かったバーアムは酷い有様だった。
さすがに後回しも致し方ない。
しかし、バーアム以外が簡単な修理で済むとは意外だった。
「どのぐらいかかる?」
「艦の新造と現在修理中の艦を後回しにすれば1日ほどでしょうか」
思ったより時間がかかるようだ。
「何が一番時間がかかる?」
「重力制御機関の整備ですな。
他は小一時間で終わるでしょう」
重力制御機関をやられていたのはエリュシオンとルナワルドだった。
魔導砲2門搭載艦と長距離魔導砲搭載艦という第一戦隊の攻撃の要となる艦だ。
「ルナワルドは後部の輸送艦を切り離して別の艦に換えるだけで大丈夫です」
ルナワルドは平甲板を持つ輸送艦が後部にドッキングして魔導機関と重力制御機関を二つずつ持つ艦となっている。
そうなるように設計した輸送艦であり、その輸送艦の方の重力制御機関がダウンしていたのだ。
第13ドックにはその同型艦が存在していてそれに換装すれば良いだけだった。
「問題はエリュシオンだが……。
そうだ。エルシークも魔導砲2門搭載艦だ!
第13ドック守備隊のエルシークを借りれば良いんだ」
「手配いたしましょう」
こうして第一戦隊は2時間弱というスピードで再建された。
旗艦軽巡洋艦エルシーク、航空巡洋艦ルナワルド、ミサイル搭載駆逐艦ダーボン、駆逐艦オライオン、帝国艦隊から鹵獲し修理した駆逐艦フッドの5艦で第一戦隊は再編成された。
ダーボンには箱型ランチャーのSSM4発に予備4発が搭載されていた。
「よし、全艦俺のインベントリに収納完了した。
乗組員は全員俺の側に集まれ。【転移】するぞ!」
こうして俺たち第一戦隊は再びイスダル要塞の前へと転移し戦場へと帰還した。
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