136 / 169
第四章 ルナトーク王国奪還戦編
136 開く遺跡
しおりを挟む
現在、この大陸の北半分は全てガイアベザル帝国の支配地域だった。
大陸を東西に分断する大山脈、その山脈に分かたれた北側がほぼ全てガイアベザル帝国の支配下にあった。
ほぼの理由は属国扱いで生かしている小国がいくつかまだ存在するからだ。
それらの小国は生かすメリットがあるというだけで、そのメリットが無くなれば帝国の気まぐれでいつでも攻め滅ぼされてしまう立場だった。
ここ最近キルト王国やルナトーク王国、ザール連合国が滅ぼされたのも、そんな気まぐれによるものだった。
ガイアベザル帝国の旧領といえばいいのだろうか、元々帝国領だった地域の北方に新たな遺跡が発見された。
それはどうやら、敵が放った魔導信号に反応して活性化したようだった。
この遺跡の調査に調査兵団団長イオリと元帝国主力艦隊司令のヴェルナールが調査兵団の旗艦エギビゴルと僚艦2艦でやって来ていた。
この地は帝国として他の侵攻を許さない帝国最奥の始祖の地であり、こんな場所に遺跡があるなど盲点と言わざるを得なかった。
「ここが遺跡の入り口だろう」
調査兵団団長イオリが誘導信号を三角測量し、長年の経験で入り口の位置を推測する。
「地面を掘るぞ。爆破準備にかかれ」
調査兵団の兵士たちが慣れた手つきで爆薬を仕掛けていく。
しばらくして爆破の準備が整った。
「舷側火薬砲、爆裂弾用意。目標爆破地点。全門斉射!」
イオリの命令で旗艦エギビゴルが火薬砲を発砲する。
火薬砲の爆裂弾が着弾、爆発すると仕掛けられていた爆薬が連鎖爆発を起こす。
爆発が収まった後は地面が大きくえぐれ、固い隔壁が見えてた。
「よし、この外部構造物は間違いなく遺跡だぞ!
それも工場クラスと見た」
イオリは管理者権限による遺跡の解放を試みた。
しかし、遺跡は何の反応も示さなかった。
イオリの管理者権限をこの遺跡は主人と認めなかったのだ。
「工兵隊出動! 蓋を開けろ」
イオリが土魔法が使える工兵隊の出動を命じる。
遺跡の隔壁は管理者権限を持っていれば開くはずなのだが、ここは権限レベルが高く、イオリには開くことが出来なかった。
イオリが調査兵団の団長を任されているのは、この管理者権限が他人より高かったからだった。
これは生まれつきのものであり、イオリはその管理者権限の高さによって数々の遺跡を解放し出世したのだ。
だが、ここはイオリでさえ解放できない遺跡だった。
この遺跡はクランドの管理者権限と紐づいたキルトタルの識別信号に反応していた。
その権限より遥かに下回るイオリの権限など眼中になかったのだ。
管理者権限が高い、つまりそれだけ重要度が高いということだった。
彼らが発見したのは第13ドックに匹敵する遺跡だったのだ。
イオリたち調査兵団の面々は土魔法で隔壁に穴をあけ縄梯子で遺跡内部に侵入した。
その様子を端から見れば、まるで遺跡に侵入する盗掘者のようだった。
遺跡内部の床に到着し、あたりを見まわすイオリたち調査兵団の面々。
遺跡内部はほのかな光に照らされ遺跡が生きていることを示していた。
盗掘者に対して生きている遺跡がすることと言えば当然のように警備システムによる排除だ。
警備用の武装ゴーレムがやってくる……とイオリたち調査兵団の面々が身構えていると、遺跡の隔壁が音を立てて開き始めた。
ここでの本来の手順は武装ゴーレムに対し管理者権限を主張、武装ゴーレムが権限を認めれば、その権限レベルにより限定的に遺跡内を行動できるというものだった。
イオリはガイアベザル帝国において一番高い管理者権限の保有者なため、この武装ゴーレムのチェックを突破するのは容易だと考えていた。
この管理者権限というものは、勇者の血筋であるガイアベザル帝国の上級帝国民であれば、誰でも保持しているものだった。
つまり遺跡は勇者の残した遺産であり、その正当な末裔であるガイアベザル帝国が手にするのは正当な権利であるというのが帝国での常識だった。
大陸を東西に分断する大山脈、その山脈に分かたれた北側がほぼ全てガイアベザル帝国の支配下にあった。
ほぼの理由は属国扱いで生かしている小国がいくつかまだ存在するからだ。
それらの小国は生かすメリットがあるというだけで、そのメリットが無くなれば帝国の気まぐれでいつでも攻め滅ぼされてしまう立場だった。
ここ最近キルト王国やルナトーク王国、ザール連合国が滅ぼされたのも、そんな気まぐれによるものだった。
ガイアベザル帝国の旧領といえばいいのだろうか、元々帝国領だった地域の北方に新たな遺跡が発見された。
それはどうやら、敵が放った魔導信号に反応して活性化したようだった。
この遺跡の調査に調査兵団団長イオリと元帝国主力艦隊司令のヴェルナールが調査兵団の旗艦エギビゴルと僚艦2艦でやって来ていた。
この地は帝国として他の侵攻を許さない帝国最奥の始祖の地であり、こんな場所に遺跡があるなど盲点と言わざるを得なかった。
「ここが遺跡の入り口だろう」
調査兵団団長イオリが誘導信号を三角測量し、長年の経験で入り口の位置を推測する。
「地面を掘るぞ。爆破準備にかかれ」
調査兵団の兵士たちが慣れた手つきで爆薬を仕掛けていく。
しばらくして爆破の準備が整った。
「舷側火薬砲、爆裂弾用意。目標爆破地点。全門斉射!」
イオリの命令で旗艦エギビゴルが火薬砲を発砲する。
火薬砲の爆裂弾が着弾、爆発すると仕掛けられていた爆薬が連鎖爆発を起こす。
爆発が収まった後は地面が大きくえぐれ、固い隔壁が見えてた。
「よし、この外部構造物は間違いなく遺跡だぞ!
それも工場クラスと見た」
イオリは管理者権限による遺跡の解放を試みた。
しかし、遺跡は何の反応も示さなかった。
イオリの管理者権限をこの遺跡は主人と認めなかったのだ。
「工兵隊出動! 蓋を開けろ」
イオリが土魔法が使える工兵隊の出動を命じる。
遺跡の隔壁は管理者権限を持っていれば開くはずなのだが、ここは権限レベルが高く、イオリには開くことが出来なかった。
イオリが調査兵団の団長を任されているのは、この管理者権限が他人より高かったからだった。
これは生まれつきのものであり、イオリはその管理者権限の高さによって数々の遺跡を解放し出世したのだ。
だが、ここはイオリでさえ解放できない遺跡だった。
この遺跡はクランドの管理者権限と紐づいたキルトタルの識別信号に反応していた。
その権限より遥かに下回るイオリの権限など眼中になかったのだ。
管理者権限が高い、つまりそれだけ重要度が高いということだった。
彼らが発見したのは第13ドックに匹敵する遺跡だったのだ。
イオリたち調査兵団の面々は土魔法で隔壁に穴をあけ縄梯子で遺跡内部に侵入した。
その様子を端から見れば、まるで遺跡に侵入する盗掘者のようだった。
遺跡内部の床に到着し、あたりを見まわすイオリたち調査兵団の面々。
遺跡内部はほのかな光に照らされ遺跡が生きていることを示していた。
盗掘者に対して生きている遺跡がすることと言えば当然のように警備システムによる排除だ。
警備用の武装ゴーレムがやってくる……とイオリたち調査兵団の面々が身構えていると、遺跡の隔壁が音を立てて開き始めた。
ここでの本来の手順は武装ゴーレムに対し管理者権限を主張、武装ゴーレムが権限を認めれば、その権限レベルにより限定的に遺跡内を行動できるというものだった。
イオリはガイアベザル帝国において一番高い管理者権限の保有者なため、この武装ゴーレムのチェックを突破するのは容易だと考えていた。
この管理者権限というものは、勇者の血筋であるガイアベザル帝国の上級帝国民であれば、誰でも保持しているものだった。
つまり遺跡は勇者の残した遺産であり、その正当な末裔であるガイアベザル帝国が手にするのは正当な権利であるというのが帝国での常識だった。
0
お気に入りに追加
813
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転移術士の成り上がり
名無し
ファンタジー
ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。
克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる