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第二章 逃亡生活
066 空賊のアジト
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農園に戻ると、俺は再び陸上戦艦を移動させた。
速やかにこの場から離れたかったのだ。
今回はたまたま対艦ミサイルを回避出来ただけだった。
ミサイルの推進機が万全だったら、弾頭が不発でなかったら、2発目があったら、少なくない被害を負っていた可能性があった。
2機目の戦闘機があるとは思えない――あるなら同時攻撃するだろうから――が、万が一は想定しなければならなかった。
そのため俺は墜落した戦闘機を弄りたい誘惑を抑えつつ逃避行を続けることにした。
「どう思う? 追って来るかな?」
俺は誰に訊くとは無しにぽつりと呟いた。
するとシステムコンソールが珍しく私見を述べ始めた。
『ワイバーンの飛行速度と方位、FA69の飛行速度と進路から空賊のアジトの位置を推定しました。
ワイバーンがアジトまで真っ直ぐ帰ったとして、アジトはこの方角になります』
システムコンソールの声とともにモバイル端末に地形図が表示され矢印が描かれた。
ワイバーンの帰投方向は陸上戦艦の魔導レーダーで把握されており、レーダー圏外まで飛んで行ったことが確認されていた。
『そしてFA69の飛行コースが、ワイバーンに農園が襲われた位置を経由したものとすると、飛行速度と経過時間から出撃地点はこの辺りと推定されます』
続けて戦闘機の襲撃位置とワイバーンの襲撃位置、その2点を通る戦闘機のコースが矢印で示される。
そして飛行速度と経過時間によるアジトの推定位置が示された。
そこには戦闘機が現在出し得る速度の推測も加えられていた。
どうやら戦闘機は出し得る最大性能が故障により出せていないようなのだ。
もし万全の状態で襲われていたらと思うと身震いがする。
尤も、こちらの陸上戦艦が万全なら戦闘機ごときは脅威とならないのだが……。
『この空賊のアジトの位置はポイント11の位置に重なります。
FA69の調査を要請します。
第1格納庫にFA69を搬入してください』
陸上戦艦を退避させつつ、警戒をシステムコンソールに任せた俺は、システムコンソールが指定した第1格納庫へとやって来た。
そこは巨大倉庫といった空間の天井にレールが張り巡らされ、そのレールにゴーレムの腕がぶら下がっているという異様な空間だった。
俺の知っている景色としてはカーフェリーの中、見たことは無いが想像するのは空母の格納庫内か。
おそらくゴーレムの腕は整備用のクレーンとして使用されるものなのだろう。
辺りを見回すと、ある一点にスポットライトが当たっていた。
向きを示すためなのか床には矢印が描かれている。
「ここで良いのか?」
『はい、お願いします』
俺はそのスポットライトの当たっている場所に、インベントリから回収した戦闘機を出した。
すると戦闘機を囲むように壁が立ち上がり、その壁からケーブル類が蛇のように出て来ると戦闘機のボディ各所に接続した。
『自動整備システム作動しました。
システムチェック。
電脳メインシステムクリア。
推進機エラー。
武器管制システムクリア。
敵味方識別装置クリア。
送受信機クリア。
操縦システムエラー。
右翼破損。
主脚破損。
胴体下部破損。
残弾要補給』
天井からぶら下がったゴーレムの腕が予備パーツの翼などを掴んで寄って来ていた。
どうやら、このまま自動的に修理されるようだ。
予備パーツは時間停止倉庫で保存されていたらしい。
数百年経っているはずが部品は新品同様だった。
『管理者に報告。
FA69-207731の修理を開始しました。
FA69-207731の電脳より所属情報と航法データを取得しました。
所属はポイント11守備隊。
出撃基地はポイント11です』
どうやらポイント11は空賊に占拠されアジトとして利用されているようだ。
「なぜ攻撃して来た? 敵味方惜別装置は壊れていないのだろ?」
『識別信号は受信されていましたが、その信号が識別装置に届いていないようです。
信号経路チェック。
敵味方識別装置の遮断を確認しました』
そこが壊れていたなら味方だという信号を送受信機が受信しても、識別装置自体は受信していないことになっていたのか。
それは故障なのか、意図的なのか?
「ポイント11に行かなければ、この艦も修理が出来ないのだろ?」
『はい。ポイント11への寄港を要請します』
この敵味方識別装置の故障が意図的ならば、他の遺物も空賊の武器と化されている可能性があった。
対艦ミサイルなどをまだ持っていて、それがこの艦に当たったら致命的だ。
「だが、せめて魔導砲を修理しなければ、ガイアベザル帝国の脅威からは身を守れないか……」
俺は空賊のアジト、いやポイント11へ向かうことを決意した。
脅威度を比べたら帝国>空賊なのだから。
速やかにこの場から離れたかったのだ。
今回はたまたま対艦ミサイルを回避出来ただけだった。
ミサイルの推進機が万全だったら、弾頭が不発でなかったら、2発目があったら、少なくない被害を負っていた可能性があった。
2機目の戦闘機があるとは思えない――あるなら同時攻撃するだろうから――が、万が一は想定しなければならなかった。
そのため俺は墜落した戦闘機を弄りたい誘惑を抑えつつ逃避行を続けることにした。
「どう思う? 追って来るかな?」
俺は誰に訊くとは無しにぽつりと呟いた。
するとシステムコンソールが珍しく私見を述べ始めた。
『ワイバーンの飛行速度と方位、FA69の飛行速度と進路から空賊のアジトの位置を推定しました。
ワイバーンがアジトまで真っ直ぐ帰ったとして、アジトはこの方角になります』
システムコンソールの声とともにモバイル端末に地形図が表示され矢印が描かれた。
ワイバーンの帰投方向は陸上戦艦の魔導レーダーで把握されており、レーダー圏外まで飛んで行ったことが確認されていた。
『そしてFA69の飛行コースが、ワイバーンに農園が襲われた位置を経由したものとすると、飛行速度と経過時間から出撃地点はこの辺りと推定されます』
続けて戦闘機の襲撃位置とワイバーンの襲撃位置、その2点を通る戦闘機のコースが矢印で示される。
そして飛行速度と経過時間によるアジトの推定位置が示された。
そこには戦闘機が現在出し得る速度の推測も加えられていた。
どうやら戦闘機は出し得る最大性能が故障により出せていないようなのだ。
もし万全の状態で襲われていたらと思うと身震いがする。
尤も、こちらの陸上戦艦が万全なら戦闘機ごときは脅威とならないのだが……。
『この空賊のアジトの位置はポイント11の位置に重なります。
FA69の調査を要請します。
第1格納庫にFA69を搬入してください』
陸上戦艦を退避させつつ、警戒をシステムコンソールに任せた俺は、システムコンソールが指定した第1格納庫へとやって来た。
そこは巨大倉庫といった空間の天井にレールが張り巡らされ、そのレールにゴーレムの腕がぶら下がっているという異様な空間だった。
俺の知っている景色としてはカーフェリーの中、見たことは無いが想像するのは空母の格納庫内か。
おそらくゴーレムの腕は整備用のクレーンとして使用されるものなのだろう。
辺りを見回すと、ある一点にスポットライトが当たっていた。
向きを示すためなのか床には矢印が描かれている。
「ここで良いのか?」
『はい、お願いします』
俺はそのスポットライトの当たっている場所に、インベントリから回収した戦闘機を出した。
すると戦闘機を囲むように壁が立ち上がり、その壁からケーブル類が蛇のように出て来ると戦闘機のボディ各所に接続した。
『自動整備システム作動しました。
システムチェック。
電脳メインシステムクリア。
推進機エラー。
武器管制システムクリア。
敵味方識別装置クリア。
送受信機クリア。
操縦システムエラー。
右翼破損。
主脚破損。
胴体下部破損。
残弾要補給』
天井からぶら下がったゴーレムの腕が予備パーツの翼などを掴んで寄って来ていた。
どうやら、このまま自動的に修理されるようだ。
予備パーツは時間停止倉庫で保存されていたらしい。
数百年経っているはずが部品は新品同様だった。
『管理者に報告。
FA69-207731の修理を開始しました。
FA69-207731の電脳より所属情報と航法データを取得しました。
所属はポイント11守備隊。
出撃基地はポイント11です』
どうやらポイント11は空賊に占拠されアジトとして利用されているようだ。
「なぜ攻撃して来た? 敵味方惜別装置は壊れていないのだろ?」
『識別信号は受信されていましたが、その信号が識別装置に届いていないようです。
信号経路チェック。
敵味方識別装置の遮断を確認しました』
そこが壊れていたなら味方だという信号を送受信機が受信しても、識別装置自体は受信していないことになっていたのか。
それは故障なのか、意図的なのか?
「ポイント11に行かなければ、この艦も修理が出来ないのだろ?」
『はい。ポイント11への寄港を要請します』
この敵味方識別装置の故障が意図的ならば、他の遺物も空賊の武器と化されている可能性があった。
対艦ミサイルなどをまだ持っていて、それがこの艦に当たったら致命的だ。
「だが、せめて魔導砲を修理しなければ、ガイアベザル帝国の脅威からは身を守れないか……」
俺は空賊のアジト、いやポイント11へ向かうことを決意した。
脅威度を比べたら帝国>空賊なのだから。
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