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第一章 異世界スローライフ?
030 薬草園をつくる
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「あなた様、私に畑をください」
アイリーンが唐突に訴えて来た。
どうやら仕事がなく暇なのが我慢出来ないようだ。
サラーナなんか、仕事もなくのんびり遊んで暮らしているというのに。
「遊びのようなものです。
薬の調合が出来ますので、薬草を育てたいのです」
そういやアイリーンには回復魔導師のJOBと薬調合のスキルがあるんだった。
その能力を使って農園に貢献したいということだろうか?
だが、俺がインベントリ内に材料を入れると、生産の極で薬など最上級のものが簡単に出来てしまう。
これは内緒にした方がいいのかな?
「薬草畑ならスパイス畑の一角にあるよ。そこの薬草を使うといい」
俺は薬草が手に入ればいいのかと思ってそう答えた。
「あそこは【促成栽培】がかかるので、面白くないのです」
え? もしかして趣味としてのガーデニングを実益も兼ねてやりたいのかな?
「そうか。ならもう少し小さめの区画を他に用意してあげよう」
俺は薬草園を屋敷の庭の一角に造ることにした。
「ありがとうございます♡」
アイリーンが弾けるような笑顔で礼を言う。
アイリーンが目指しているのが、まさに本当のスローライフなんだろうな。
ああ、癒されるな。これが嫁を持つ幸福感か。
妻になると言ってくれていて、いつのまにか奴隷たち全員が妻らしいんだけど、それでいいのだろうか?
無理していなければいいんだけど、隷属契約が気持ちまで誘導してなければいいな。
「ところで、あなた様。不躾な質問ですが、あなた様はいったいおいくつなのですか?
その口調、佇まい、落ち着き、知識、そしてJOBと所有スキル。とても15歳とは思えません」
おお。するどいな。
というか、自分でも肉体年齢が15歳だったことを忘れていたよ。
体力的に若返って調子が良いのはステータスカンストのせいかと思ってたよ。
うん、アイリーンになら少し教えてもいいか。
「確かに俺は肉体年齢15だが、精神年齢は27だな。どうしてそうなったかは秘密だ」
「うわーん。どうしてわらわも知らなかったことをアイリーンだけに教えてるのよ~!」
サラーナが乱入して来た。なんという地獄耳だ。
「それに衝動買いで奴隷を買ってくるような人の精神年齢が高いもんですか!」
サラーナそれは言わない約束でしょ。
「言うな! そこは確かに俺もやっちまったと思ってたところなんだよ!」
もしかすると転生で変化した肉体年齢に精神が引っ張られているところがあるのかもしれない。
しかし、こいつ、ぐーたら姫のくせに、どうして俺を貶めるようなことを……。
そこでふと気づいた。あ、そうか、焼きもちか。
サラーナも国を滅ぼされて奴隷落ちしてここに来た身だ。
それが新しい格上の嫁が来たからって第二夫人に落とされて、俺がその新しい嫁と特別なことをしてるとなると……。
気持ちはわかる。しかも焼きもちを焼くということは、サラーナは俺のことを……。
なんだ。こいつカワイイじゃないか。
「サラーナ。お前にも俺の気持ちを良く聞け」
「え?」
急に俺が優しくなったのでサラーナは戸惑いの表情をしている。
「サラーナ。お前は第二夫人だが、俺の一番目の妻だ。大事にする」
サラーナの顔が茹で上がり赤くなる。
そしてプイっと横を向いてしまう。
「もう。アイリーンとばっかりイチャイチャしないで、わらわの所へも帰ってくるんだぞ♡」
サラーナがデレた。しまった、これってプロポーズだよな?
その様子を見てアイリーンもクスクス笑っている。
良かった。他の嫁の前で別の嫁に愛の告白なんて、怒られても仕方がないところだ。
「サラーナ。おまえも働いていいんだぞ?」
照れ隠しにサラーナをからかってしまった。
「ふん。わらわの仕事は子を生すことだから!」
おい、全く手を出していないのに子供が出来るわけないだろ。
だが、サラーナはそのつもりがあるということだ。
俺は戸惑い、そして真っ赤になってしまった。
「じゃあ私も頑張らないと♡」
アイリーンも負けじと対抗してくる。
いや、鈍感系主人公としは、ここで手を出すわけにはいかないんだ……。
俺は照れ隠しで屋敷の一角に薬草園を整備するのだった。
その様子をプチがニコニコしながら眺めていた。
あれ? 犬って笑えるんだ。まあ、可愛いプチだから当然だな。
アイリーンが唐突に訴えて来た。
どうやら仕事がなく暇なのが我慢出来ないようだ。
サラーナなんか、仕事もなくのんびり遊んで暮らしているというのに。
「遊びのようなものです。
薬の調合が出来ますので、薬草を育てたいのです」
そういやアイリーンには回復魔導師のJOBと薬調合のスキルがあるんだった。
その能力を使って農園に貢献したいということだろうか?
だが、俺がインベントリ内に材料を入れると、生産の極で薬など最上級のものが簡単に出来てしまう。
これは内緒にした方がいいのかな?
「薬草畑ならスパイス畑の一角にあるよ。そこの薬草を使うといい」
俺は薬草が手に入ればいいのかと思ってそう答えた。
「あそこは【促成栽培】がかかるので、面白くないのです」
え? もしかして趣味としてのガーデニングを実益も兼ねてやりたいのかな?
「そうか。ならもう少し小さめの区画を他に用意してあげよう」
俺は薬草園を屋敷の庭の一角に造ることにした。
「ありがとうございます♡」
アイリーンが弾けるような笑顔で礼を言う。
アイリーンが目指しているのが、まさに本当のスローライフなんだろうな。
ああ、癒されるな。これが嫁を持つ幸福感か。
妻になると言ってくれていて、いつのまにか奴隷たち全員が妻らしいんだけど、それでいいのだろうか?
無理していなければいいんだけど、隷属契約が気持ちまで誘導してなければいいな。
「ところで、あなた様。不躾な質問ですが、あなた様はいったいおいくつなのですか?
その口調、佇まい、落ち着き、知識、そしてJOBと所有スキル。とても15歳とは思えません」
おお。するどいな。
というか、自分でも肉体年齢が15歳だったことを忘れていたよ。
体力的に若返って調子が良いのはステータスカンストのせいかと思ってたよ。
うん、アイリーンになら少し教えてもいいか。
「確かに俺は肉体年齢15だが、精神年齢は27だな。どうしてそうなったかは秘密だ」
「うわーん。どうしてわらわも知らなかったことをアイリーンだけに教えてるのよ~!」
サラーナが乱入して来た。なんという地獄耳だ。
「それに衝動買いで奴隷を買ってくるような人の精神年齢が高いもんですか!」
サラーナそれは言わない約束でしょ。
「言うな! そこは確かに俺もやっちまったと思ってたところなんだよ!」
もしかすると転生で変化した肉体年齢に精神が引っ張られているところがあるのかもしれない。
しかし、こいつ、ぐーたら姫のくせに、どうして俺を貶めるようなことを……。
そこでふと気づいた。あ、そうか、焼きもちか。
サラーナも国を滅ぼされて奴隷落ちしてここに来た身だ。
それが新しい格上の嫁が来たからって第二夫人に落とされて、俺がその新しい嫁と特別なことをしてるとなると……。
気持ちはわかる。しかも焼きもちを焼くということは、サラーナは俺のことを……。
なんだ。こいつカワイイじゃないか。
「サラーナ。お前にも俺の気持ちを良く聞け」
「え?」
急に俺が優しくなったのでサラーナは戸惑いの表情をしている。
「サラーナ。お前は第二夫人だが、俺の一番目の妻だ。大事にする」
サラーナの顔が茹で上がり赤くなる。
そしてプイっと横を向いてしまう。
「もう。アイリーンとばっかりイチャイチャしないで、わらわの所へも帰ってくるんだぞ♡」
サラーナがデレた。しまった、これってプロポーズだよな?
その様子を見てアイリーンもクスクス笑っている。
良かった。他の嫁の前で別の嫁に愛の告白なんて、怒られても仕方がないところだ。
「サラーナ。おまえも働いていいんだぞ?」
照れ隠しにサラーナをからかってしまった。
「ふん。わらわの仕事は子を生すことだから!」
おい、全く手を出していないのに子供が出来るわけないだろ。
だが、サラーナはそのつもりがあるということだ。
俺は戸惑い、そして真っ赤になってしまった。
「じゃあ私も頑張らないと♡」
アイリーンも負けじと対抗してくる。
いや、鈍感系主人公としは、ここで手を出すわけにはいかないんだ……。
俺は照れ隠しで屋敷の一角に薬草園を整備するのだった。
その様子をプチがニコニコしながら眺めていた。
あれ? 犬って笑えるんだ。まあ、可愛いプチだから当然だな。
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