30 / 169
第一章 異世界スローライフ?
030 薬草園をつくる
しおりを挟む
「あなた様、私に畑をください」
アイリーンが唐突に訴えて来た。
どうやら仕事がなく暇なのが我慢出来ないようだ。
サラーナなんか、仕事もなくのんびり遊んで暮らしているというのに。
「遊びのようなものです。
薬の調合が出来ますので、薬草を育てたいのです」
そういやアイリーンには回復魔導師のJOBと薬調合のスキルがあるんだった。
その能力を使って農園に貢献したいということだろうか?
だが、俺がインベントリ内に材料を入れると、生産の極で薬など最上級のものが簡単に出来てしまう。
これは内緒にした方がいいのかな?
「薬草畑ならスパイス畑の一角にあるよ。そこの薬草を使うといい」
俺は薬草が手に入ればいいのかと思ってそう答えた。
「あそこは【促成栽培】がかかるので、面白くないのです」
え? もしかして趣味としてのガーデニングを実益も兼ねてやりたいのかな?
「そうか。ならもう少し小さめの区画を他に用意してあげよう」
俺は薬草園を屋敷の庭の一角に造ることにした。
「ありがとうございます♡」
アイリーンが弾けるような笑顔で礼を言う。
アイリーンが目指しているのが、まさに本当のスローライフなんだろうな。
ああ、癒されるな。これが嫁を持つ幸福感か。
妻になると言ってくれていて、いつのまにか奴隷たち全員が妻らしいんだけど、それでいいのだろうか?
無理していなければいいんだけど、隷属契約が気持ちまで誘導してなければいいな。
「ところで、あなた様。不躾な質問ですが、あなた様はいったいおいくつなのですか?
その口調、佇まい、落ち着き、知識、そしてJOBと所有スキル。とても15歳とは思えません」
おお。するどいな。
というか、自分でも肉体年齢が15歳だったことを忘れていたよ。
体力的に若返って調子が良いのはステータスカンストのせいかと思ってたよ。
うん、アイリーンになら少し教えてもいいか。
「確かに俺は肉体年齢15だが、精神年齢は27だな。どうしてそうなったかは秘密だ」
「うわーん。どうしてわらわも知らなかったことをアイリーンだけに教えてるのよ~!」
サラーナが乱入して来た。なんという地獄耳だ。
「それに衝動買いで奴隷を買ってくるような人の精神年齢が高いもんですか!」
サラーナそれは言わない約束でしょ。
「言うな! そこは確かに俺もやっちまったと思ってたところなんだよ!」
もしかすると転生で変化した肉体年齢に精神が引っ張られているところがあるのかもしれない。
しかし、こいつ、ぐーたら姫のくせに、どうして俺を貶めるようなことを……。
そこでふと気づいた。あ、そうか、焼きもちか。
サラーナも国を滅ぼされて奴隷落ちしてここに来た身だ。
それが新しい格上の嫁が来たからって第二夫人に落とされて、俺がその新しい嫁と特別なことをしてるとなると……。
気持ちはわかる。しかも焼きもちを焼くということは、サラーナは俺のことを……。
なんだ。こいつカワイイじゃないか。
「サラーナ。お前にも俺の気持ちを良く聞け」
「え?」
急に俺が優しくなったのでサラーナは戸惑いの表情をしている。
「サラーナ。お前は第二夫人だが、俺の一番目の妻だ。大事にする」
サラーナの顔が茹で上がり赤くなる。
そしてプイっと横を向いてしまう。
「もう。アイリーンとばっかりイチャイチャしないで、わらわの所へも帰ってくるんだぞ♡」
サラーナがデレた。しまった、これってプロポーズだよな?
その様子を見てアイリーンもクスクス笑っている。
良かった。他の嫁の前で別の嫁に愛の告白なんて、怒られても仕方がないところだ。
「サラーナ。おまえも働いていいんだぞ?」
照れ隠しにサラーナをからかってしまった。
「ふん。わらわの仕事は子を生すことだから!」
おい、全く手を出していないのに子供が出来るわけないだろ。
だが、サラーナはそのつもりがあるということだ。
俺は戸惑い、そして真っ赤になってしまった。
「じゃあ私も頑張らないと♡」
アイリーンも負けじと対抗してくる。
いや、鈍感系主人公としは、ここで手を出すわけにはいかないんだ……。
俺は照れ隠しで屋敷の一角に薬草園を整備するのだった。
その様子をプチがニコニコしながら眺めていた。
あれ? 犬って笑えるんだ。まあ、可愛いプチだから当然だな。
アイリーンが唐突に訴えて来た。
どうやら仕事がなく暇なのが我慢出来ないようだ。
サラーナなんか、仕事もなくのんびり遊んで暮らしているというのに。
「遊びのようなものです。
薬の調合が出来ますので、薬草を育てたいのです」
そういやアイリーンには回復魔導師のJOBと薬調合のスキルがあるんだった。
その能力を使って農園に貢献したいということだろうか?
だが、俺がインベントリ内に材料を入れると、生産の極で薬など最上級のものが簡単に出来てしまう。
これは内緒にした方がいいのかな?
「薬草畑ならスパイス畑の一角にあるよ。そこの薬草を使うといい」
俺は薬草が手に入ればいいのかと思ってそう答えた。
「あそこは【促成栽培】がかかるので、面白くないのです」
え? もしかして趣味としてのガーデニングを実益も兼ねてやりたいのかな?
「そうか。ならもう少し小さめの区画を他に用意してあげよう」
俺は薬草園を屋敷の庭の一角に造ることにした。
「ありがとうございます♡」
アイリーンが弾けるような笑顔で礼を言う。
アイリーンが目指しているのが、まさに本当のスローライフなんだろうな。
ああ、癒されるな。これが嫁を持つ幸福感か。
妻になると言ってくれていて、いつのまにか奴隷たち全員が妻らしいんだけど、それでいいのだろうか?
無理していなければいいんだけど、隷属契約が気持ちまで誘導してなければいいな。
「ところで、あなた様。不躾な質問ですが、あなた様はいったいおいくつなのですか?
その口調、佇まい、落ち着き、知識、そしてJOBと所有スキル。とても15歳とは思えません」
おお。するどいな。
というか、自分でも肉体年齢が15歳だったことを忘れていたよ。
体力的に若返って調子が良いのはステータスカンストのせいかと思ってたよ。
うん、アイリーンになら少し教えてもいいか。
「確かに俺は肉体年齢15だが、精神年齢は27だな。どうしてそうなったかは秘密だ」
「うわーん。どうしてわらわも知らなかったことをアイリーンだけに教えてるのよ~!」
サラーナが乱入して来た。なんという地獄耳だ。
「それに衝動買いで奴隷を買ってくるような人の精神年齢が高いもんですか!」
サラーナそれは言わない約束でしょ。
「言うな! そこは確かに俺もやっちまったと思ってたところなんだよ!」
もしかすると転生で変化した肉体年齢に精神が引っ張られているところがあるのかもしれない。
しかし、こいつ、ぐーたら姫のくせに、どうして俺を貶めるようなことを……。
そこでふと気づいた。あ、そうか、焼きもちか。
サラーナも国を滅ぼされて奴隷落ちしてここに来た身だ。
それが新しい格上の嫁が来たからって第二夫人に落とされて、俺がその新しい嫁と特別なことをしてるとなると……。
気持ちはわかる。しかも焼きもちを焼くということは、サラーナは俺のことを……。
なんだ。こいつカワイイじゃないか。
「サラーナ。お前にも俺の気持ちを良く聞け」
「え?」
急に俺が優しくなったのでサラーナは戸惑いの表情をしている。
「サラーナ。お前は第二夫人だが、俺の一番目の妻だ。大事にする」
サラーナの顔が茹で上がり赤くなる。
そしてプイっと横を向いてしまう。
「もう。アイリーンとばっかりイチャイチャしないで、わらわの所へも帰ってくるんだぞ♡」
サラーナがデレた。しまった、これってプロポーズだよな?
その様子を見てアイリーンもクスクス笑っている。
良かった。他の嫁の前で別の嫁に愛の告白なんて、怒られても仕方がないところだ。
「サラーナ。おまえも働いていいんだぞ?」
照れ隠しにサラーナをからかってしまった。
「ふん。わらわの仕事は子を生すことだから!」
おい、全く手を出していないのに子供が出来るわけないだろ。
だが、サラーナはそのつもりがあるということだ。
俺は戸惑い、そして真っ赤になってしまった。
「じゃあ私も頑張らないと♡」
アイリーンも負けじと対抗してくる。
いや、鈍感系主人公としは、ここで手を出すわけにはいかないんだ……。
俺は照れ隠しで屋敷の一角に薬草園を整備するのだった。
その様子をプチがニコニコしながら眺めていた。
あれ? 犬って笑えるんだ。まあ、可愛いプチだから当然だな。
0
お気に入りに追加
812
あなたにおすすめの小説
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国
てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』
女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!
武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる