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第七章 再びスローライフ

135 警備ゴーレム開発

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 まず200番代ゴーレムをオリジナルのまま警備につかせてみた。
元々艦内に不法侵入した不審人物を見極める能力があったはずだ。

「不審者発見! 逮捕します!」

「待て。そいつはいい」

「了解しました」

「不審者発見! 逮捕します!」

「待て……」

 ゴーレムは目の前を通る住人を全員捕まえました……。
これは警備システムに関わる問題だった。
所謂登録許可制。
一度俺が許可した住人は捕まえなかった。
全住人を登録すればその他の不審者は捕まえられるだろう。
しかし、ここは新たな奴隷を解放するための街と化している。
登録していない住人がいくらでも増える可能性が、いや、間違いなく増える。
キルトタル艦内ならば元々立ち入り制限をしているので普通に有能な警備員なんだが……。

 そもそも不審者の定義を決めて、それ以外をスルーするための識別能力を与えなければならない。
ここで言う不審者とは、敵国のスパイだったり破壊工作員のことだろう。
あとは犯罪者もそうだろうか。
奴隷落ちしていた中には戦争捕虜として奴隷にされてしまった救うべき国民と、元々犯罪を犯して奴隷に落とされた犯罪奴隷がいるはずだ。
犯罪奴隷ならばステータスに賞罰の記録が残っているはずだ。
それをゴーレムに判断させるためにはステータスを見る魔道具が必要か。
これは簡単に作れるな。
殺人、婦女暴行、強盗、窃盗などの犯罪者は捕まえるというのでいいだろう。

 ん? いや待て。
殺人に関しては国により強制される戦争による殺人はどう扱われているんだ?
自分の家族を守るために敵と戦って殺さなければならない。
その行為は国によって免罪される。
実際に俺も国を国民を家族を守るために敵を殺している。

「ステータス オープン」

 俺は久しぶりに自分のステータスを見てみた。

名前 佐々木 蔵人(ササキ クランド)
種族 ハイヒューマン
性別 男
年齢 15
職業 生産神 大賢者 聖獣使い
基本レベル 9999
HP 9999999 
MP 9999999
STR  99999
DEF  99999
DEX  99999
VIT  99999
AGI  99999
INT  99999
LUK  99999

スキル 生産の極 収納の極 言語の極
魔法 魔道の極
所持金 別途表示
所持品 別途表示
契約獣 プチ(聖獣)

称号 キルナール王国国王
   艦隊を統べる者
   遺跡の管理者
   勇者を狩る者

犯歴 なし


 相変わらずカンストしてる項目は変化していない。
俺は犯歴なしか。なんか変な称号が付いているがスルーしておこう。
以前ガニ族を見た時は、詐欺、強盗 窃盗 殺人 婦女暴行の犯歴付きばかりだったな。
あいつらはJOBも犯罪JOBだったから見分けるのが簡単だったが……。
そもそも独特の訛りがあったし……。
さて、これで戦争行為による殺人は犯歴に載らないということが確定した。
これは困ったことになった。

 例えば、国に命令された暗殺者には殺人の犯歴は付くのだろうか?
狂信者が宗教のために行った異教徒虐殺には殺人の犯歴が付くのだろうか?
そもそもステータスの犯歴とは誰が決めて・・・・・誰が記載している・・・・・・・・のか?
戦争という行為の中での殺人は捕虜の虐殺といった不当行為でなければ免罪される。
だが、ガイアベザル帝国の兵士の家族からしたら俺は殺人犯だろう。
立場によって善悪が入れ替わる。

 俺に復讐するのが正義だと思っている人間のステータスには、何が現れるのだろう?
いや、ただの一般人になるのだろうか。
つまりステータスではその人物の本性は見抜けないという事になる。
機械的な判断を行っているゴーレムにはこれでは警備は不可能かもしれない。
ミーナたち獣人は、よくそんな状態で警備が出来ていたな。
良く刑事ものドラマに出て来るベテラン刑事の勘のようなものでもあったんだろうか。
それをゴーレムに載せるのは不可能だな。

 その勘のようなものは、人が何気なく感じている違和感や怪しい雰囲気を総合的に判断しているのだろうか。
人の感情や行動が読めれば、怪しい人物を特定出来るのかもしれない。
うん? そういや第13ドックのセバスチャンは人の感情が理解出来て、気を回したり空気を読むという行動が可能だった。
あのタイプのゴーレムを導入するか。

『セバスチャン、怪しい人物を特定できる警備用ゴーレムをズイオウ領に派遣して欲しい』

『はい。承知しました』

 DIYを楽しもうと思っていたのに、最終的には丸投げだった。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


 数日後、定期輸送艦からメイド型ゴーレムが10体降り立った。
彼女たちはズイオウ領の警備に着くため街に散った。
俺はメイドゴーレムたちが不審人物を特定する様子を観察していた。
やはり警備ゴーレムを自作したいという気持ちは抑えきれなかったのだ。

「ご主人様、不審人物を捕まえました」

「メイドゴーレム3号か。
どうして犯行前に不審人物だってわかったんだ?」

「いいえ、犯行をしようとした瞬間に捕まえただけです」

「え?」

 スピード型だった。
俺は自作を諦めきれなくて警備を担当していたミーナに魔導通信を繋げた。

『ミーナ、不審人物を特定するゴーレムを開発しているんだけど、警備の極意ってなんだ?』

『それはだにゃ。
全体をボーッと見にゃがら待つんにゃ。
そこでにゃにかやらかそうとした瞬間にシュッと行って捕まえるにゃ。
そいつが不審者にゃ』

 こっちもスピード型だった!
つまり目が良くて犯行前に止められるスピードがあれば問題ないということか。

『でも、爆発物を起爆されたら間に合わないだろ』

『それは臭いでわかるにゃ』

 メイドゴーレムも爆発物センサーでわかるそうだ。

 これによりズイオウ領の警備手順が作成された。
まずステータを表示する魔道具で訪問者の犯歴をチェック、犯罪者はそこでお引き取り願う。
そこをクリアした者も持ち物チェックで危険物を所持していないかチェックする。
危険物を持っていたら当然お引き取り願う。
魔物が闊歩する世界なので、自衛用の武器を持つのは当然だ。
それも入り口で預けてもらう。
そして街の中で暴れたり、個人のスキルで犯罪を行おうとしたものは、その場で捕り抑える。
これで武闘派がいなくても家族の生活を安全に護ることが出来るだろう。

「ピピピピピ」

 突然俺の頭の中にアラームが鳴った。
目の前には【探知】画面が開きマップに敵対者を示す赤い点が表示されていた。
そこはズイオウ領の外壁から1km離れた地点だった。
あ、俺の【探知】には敵対者を赤で表示する機能があったんだった……。
魔法か神様による謎センサーの賜物だろう……。

「わん」 ガブッ!

「ギャーーーー!」

 プチがコソ泥を捕まえていた。
【探知】もコソ泥程度には反応しないということか……。

 しかし、この敵対者、何者だ?
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