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第三章 北の帝国戦役編
128 陸上戦艦修復1
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大峡谷で撃墜された4艦の陸上戦艦と、ボルダル要塞前で落ちたリグルドをインベントリに収納し、俺は第13ドックへとやって来ていた。
現在10か所のドックは全て埋まってしまっている。
新造中の大型戦闘艦が2艦と、ズイオウ領周辺で撃墜鹵獲された陸上戦艦8艦が修理のためにドック入りしているからだ。
新造艦が2艦に増えているのは、俺が第13ドック防衛用のエルシークを持ち出してしまったからだ。
早急に防衛戦力が必要となり、もう1艦新造することになったのだ。
この艦はエルシークと交代でズイオウ領艦隊の旗艦となる予定だ。
その修理中の艦で破損が全くなく整備と改装だけで済んだダーボンと、損傷が激しく修理に時間のかかるライベルクをドックから出す。
リーンワース王国の陸上戦艦2艦の修理を優先させるためだ。
ダーボンは整備と改装だけなので既に作業は終了している。
改装点は舷側砲のための破孔全廃穴埋めと上甲板への重力加速砲パック搭載だ。
重力加速砲は前甲板の魔導砲の前に1基と後部甲板に1基搭載している。
これはリーンワース王国の艦のような魔導砲塔スタイルではなく、砲塔は最小限の大きさになっていて、魔導砲の前方射線を遮らない仕様となっている。
重力加速砲は蒸気砲で発射していた爆裂弾も撃てるし速射力も高いので、舷側砲を撤廃することにした。
舷側に穴があるということは、それだけ防御力が低くなるということなので、わざわざこの時代に合わせる必要はないとの判断で埋めることにしたのだ。
大航海時代的な砲撃戦もロマンだけど、それにこちらが合わせる理由はないからね。
この改修点は今後、配備済みの陸上戦艦にも共通して施す予定だ。
なぜリーンワース王国の陸上戦艦の修理を優先するかというと、北の大峡谷に派遣しているパンテルとオライオンをズイオウ領まで下がらせたいからだ。
北の大峡谷を守る陸上戦艦が減ったとなると、いくらボルダルの要塞に強力な重力加速砲が配備されていると言っても、北の帝国に侮られて侵攻を誘発する懸念がある。
そこでリーンワース王国の陸上戦艦を早々に修理して2艦撤退の穴埋めとするつもりなのだ。
修理内容はリーゼロッテから言われたように、リーンワース王国と敵対した時を考えて、何重もの安全策をとることにした。
一つは魔導砲の非搭載。これは先に修理したリグルドとジーベルドと同じ扱いだ。
これは魔導砲塔と同じ外観の重力加速砲を魔導砲塔の代わりに装備させている。
リーンワース王国に魔導砲を渡すと貴族が何をするかわからないので、一撃で陸上戦艦を破壊できる魔導砲は渡さないことにした。
王国でクーデターとか、我が国へ侵略を企てるとかの懸念は常について回るため、敵は北の帝国だけではないのだ。
もう一つは重要区画のブラックボックス化。これも先に修理したリグルドとジーベルドと同じ扱いだ。
リーンワース王国の貴族子弟が何をするかわからないという前例を作ってくれたので、自爆防止で立ち入りから禁止した。
共同作戦中に隣のリーンワース王国艦の自爆でこちらも巻き込まれましたなんて事態は勘弁して欲しい。
リーンワース王国の技術――魔法含む――では隔壁に穴をあけることも出来ないので、そうさせてもらった。
ブラックボックスに何らかの手を加えようとしたら、その場で艦の電脳がシステムを停止するように命じている。
リーンワース王国の陸上戦艦だとは言っても、管理者権限は俺のままで、権限の一部をリーンワース王国に貸与しているという形をとっている。
この管理者権限の限定も安全策の一部だ。
まあ、リーンワース王国の誰もこの件は知らないんだけどね。
もう一つは武器制御機構への制限。
こちらの陸上戦艦なら魔導障壁など対抗する手段もあるのだが、それが対人に向けられたらどうするのか。
俺が留守中に領地を攻められたらどうなる。
なので、特定の土地への攻撃そのものを武器制御機構に制限させてしまうことにした。
ズイオウ領、第13ドック、新領地、俺の領地には武器を使用出来なくした。
一応ズイオウ領も第13ドックも防衛用の長距離魔導砲があるので、敵と認定出来ていれば撃破は容易いのだが、味方と思っていた艦が領地内に入ってから敵へと豹変した場合は対処が難しくなる。
何らかのアクションにより被害が出て、初めて迎撃という手順を踏まなければならないことになる。
そうならないように、特定の場所での武器使用そのものを禁止とするのだ。
問題は陸上戦艦に大量の戦闘員を乗せて人により武力侵攻をされることだが、これは陸上戦艦を修理するための条件として禁止事項にしておこう。
戦闘状態で約束など守られはしないだろうけど、陸上戦艦の電脳はこちらの管理下なので、人を大量に乗せたという情報は筒抜けとなる。
これも電脳によるシステム停止案件として設定しておく。
これぐらいやっておけば、リーゼロッテの心配も杞憂に終わるだろう。
もし見落としがあっても禁止事項の追加はソフトのバージョンアップでどうとでも出来る。
これでリーンワース王国向けの修理内容はおしまい。
例え上に立つ者がおかしな命令を下しても、その行動を縛ってしまえばどうにもならないはずだ。
現在10か所のドックは全て埋まってしまっている。
新造中の大型戦闘艦が2艦と、ズイオウ領周辺で撃墜鹵獲された陸上戦艦8艦が修理のためにドック入りしているからだ。
新造艦が2艦に増えているのは、俺が第13ドック防衛用のエルシークを持ち出してしまったからだ。
早急に防衛戦力が必要となり、もう1艦新造することになったのだ。
この艦はエルシークと交代でズイオウ領艦隊の旗艦となる予定だ。
その修理中の艦で破損が全くなく整備と改装だけで済んだダーボンと、損傷が激しく修理に時間のかかるライベルクをドックから出す。
リーンワース王国の陸上戦艦2艦の修理を優先させるためだ。
ダーボンは整備と改装だけなので既に作業は終了している。
改装点は舷側砲のための破孔全廃穴埋めと上甲板への重力加速砲パック搭載だ。
重力加速砲は前甲板の魔導砲の前に1基と後部甲板に1基搭載している。
これはリーンワース王国の艦のような魔導砲塔スタイルではなく、砲塔は最小限の大きさになっていて、魔導砲の前方射線を遮らない仕様となっている。
重力加速砲は蒸気砲で発射していた爆裂弾も撃てるし速射力も高いので、舷側砲を撤廃することにした。
舷側に穴があるということは、それだけ防御力が低くなるということなので、わざわざこの時代に合わせる必要はないとの判断で埋めることにしたのだ。
大航海時代的な砲撃戦もロマンだけど、それにこちらが合わせる理由はないからね。
この改修点は今後、配備済みの陸上戦艦にも共通して施す予定だ。
なぜリーンワース王国の陸上戦艦の修理を優先するかというと、北の大峡谷に派遣しているパンテルとオライオンをズイオウ領まで下がらせたいからだ。
北の大峡谷を守る陸上戦艦が減ったとなると、いくらボルダルの要塞に強力な重力加速砲が配備されていると言っても、北の帝国に侮られて侵攻を誘発する懸念がある。
そこでリーンワース王国の陸上戦艦を早々に修理して2艦撤退の穴埋めとするつもりなのだ。
修理内容はリーゼロッテから言われたように、リーンワース王国と敵対した時を考えて、何重もの安全策をとることにした。
一つは魔導砲の非搭載。これは先に修理したリグルドとジーベルドと同じ扱いだ。
これは魔導砲塔と同じ外観の重力加速砲を魔導砲塔の代わりに装備させている。
リーンワース王国に魔導砲を渡すと貴族が何をするかわからないので、一撃で陸上戦艦を破壊できる魔導砲は渡さないことにした。
王国でクーデターとか、我が国へ侵略を企てるとかの懸念は常について回るため、敵は北の帝国だけではないのだ。
もう一つは重要区画のブラックボックス化。これも先に修理したリグルドとジーベルドと同じ扱いだ。
リーンワース王国の貴族子弟が何をするかわからないという前例を作ってくれたので、自爆防止で立ち入りから禁止した。
共同作戦中に隣のリーンワース王国艦の自爆でこちらも巻き込まれましたなんて事態は勘弁して欲しい。
リーンワース王国の技術――魔法含む――では隔壁に穴をあけることも出来ないので、そうさせてもらった。
ブラックボックスに何らかの手を加えようとしたら、その場で艦の電脳がシステムを停止するように命じている。
リーンワース王国の陸上戦艦だとは言っても、管理者権限は俺のままで、権限の一部をリーンワース王国に貸与しているという形をとっている。
この管理者権限の限定も安全策の一部だ。
まあ、リーンワース王国の誰もこの件は知らないんだけどね。
もう一つは武器制御機構への制限。
こちらの陸上戦艦なら魔導障壁など対抗する手段もあるのだが、それが対人に向けられたらどうするのか。
俺が留守中に領地を攻められたらどうなる。
なので、特定の土地への攻撃そのものを武器制御機構に制限させてしまうことにした。
ズイオウ領、第13ドック、新領地、俺の領地には武器を使用出来なくした。
一応ズイオウ領も第13ドックも防衛用の長距離魔導砲があるので、敵と認定出来ていれば撃破は容易いのだが、味方と思っていた艦が領地内に入ってから敵へと豹変した場合は対処が難しくなる。
何らかのアクションにより被害が出て、初めて迎撃という手順を踏まなければならないことになる。
そうならないように、特定の場所での武器使用そのものを禁止とするのだ。
問題は陸上戦艦に大量の戦闘員を乗せて人により武力侵攻をされることだが、これは陸上戦艦を修理するための条件として禁止事項にしておこう。
戦闘状態で約束など守られはしないだろうけど、陸上戦艦の電脳はこちらの管理下なので、人を大量に乗せたという情報は筒抜けとなる。
これも電脳によるシステム停止案件として設定しておく。
これぐらいやっておけば、リーゼロッテの心配も杞憂に終わるだろう。
もし見落としがあっても禁止事項の追加はソフトのバージョンアップでどうとでも出来る。
これでリーンワース王国向けの修理内容はおしまい。
例え上に立つ者がおかしな命令を下しても、その行動を縛ってしまえばどうにもならないはずだ。
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