107 / 169
第三章 北の帝国戦役編
107 帰路
しおりを挟む
ガルムドの航行データから北の帝国の進入路がわかった。
大陸を東西に貫く山脈、唯一の通り道である峡谷には、リーンワース王国の国境の街ボルダルの要塞がある。
前回はそこをリグルドが制圧してルドヴェガース要塞まで侵攻して来たわけだ。
リーンワース王国は俺から買った蒸気砲でルドヴェガース要塞を防衛しリグルドを撃破。
戦略の要であるリグルドを失った北の帝国は、峡谷にあるボルダルの要塞の占領を維持することが出来なくなり明け渡すこととなった。
そのためだろうか、北の帝国はボルダルの要塞を危険だと判断し、ガルムドには峡谷を突破させずに山脈を大きく迂回し、西の海岸から南下して第13ドックを目指して来ていた。
蒸気砲の脅威を避け、ビーコンに誘導された地を早急に調査するためには、そのコースしか残されていなかったのだろう。
ちなみにニムルドが侵入したコースはデータが破損していて判らなかった。
ニムルドとガルムドを調べた結果、北の帝国の陸上戦艦では魔導通信機が使用状態になく、リアルタイムでの情報交換が出来ないことがわかった。
唯一ビーコンや通信などの信号受信のみが可能で、それに頼って第13ドックのあるこの地までやって来たようだ。
もし、次の調査に陸上戦艦が派遣されるとしても、ガルムドを失ったことを把握するまでの時間と、また同じコースを辿る時間を考えれば1か月は猶予があるだろう。
第13ドックのビーコンは既に切られており、ガルムドが調査結果を持ち帰ることも無いので、第13ドックの大まかな位置は知られたが、詳細位置は秘匿できたと見ていいだろう。
しかし、更なる問題が発生した。
俺たちが運用している陸上戦艦の通信が傍受されている可能性だ。
ニムルドとガルムドの魔導通信機は僅かながら受信のみ機能していた。
これは陸上戦艦の構造物全体が受信アンテナとして機能していたからだろう。
陸上戦艦の通信は圧縮通信のため、デコード出来なければ内容はわからない。
幸い、北の帝国の陸上戦艦は使用者の管理者権限が低いらしくシステムがそこまで高度な機能を解放していない。
艦の運用も長年の解析で無理やりハードウェアを追加改造して動かしているという状態だった。
ちなみに、この改造は故障と判断され一部以外は取り払われていた。
伝声管はアナログでちょっと便利なので、俺の我儘で残してもらった。
話が逸れたが、つまり通信内容は把握出来なくても、通信が発せられている場所には向かって来れるということだ。
三角測量をすることでこの世界でも大まかな位置は掴めるだろう。
ここで、問題となるのは、新たな発信源が発生したら、北の帝国はそこに遺跡あるいは遺跡の出土品があると判断する。
北の帝国は、漏れなくそこに向かって陸上戦艦を派遣し調査しに来るということだ。
第13ドックの側ならまだしも、ズイオウ領で発信したのは拙かった。
そしてキルトタルがポイント11で敵味方識別信号を発信したことも調査に来られる可能性が高い。
俺の推測だが、魔導機関が高エネルギーを発した場合も同様に観測されていると思う。
これがニムルドが魔の森へと調査に来た原因だろうと思っている。
迂闊だったが、ルナワルドの重力制御機関始動も観測されているはず。
つまり既に調査目的の北の帝国の陸上戦艦が、ポイント11やズイオウ領に向かっていると見ていいだろう。
防衛のために動いたことが、敵を呼び込むことになっていた。
今後も陸上戦艦を使い続けるなら、北の帝国と敵対するのは宿命となるだろう。
まあ、相手の陸上戦艦を既に2隻奪っている時点で、既に敵対関係以外の何ものでもないんだけどね。
それにうちの国民は北の帝国に身内を殺され国土を奪われた被害者ばかり。
北の帝国とは敵対する未来しか残ってないな。
そんな理由から、俺はズイオウ領への帰還を急ぐことになった。
帰り道に寄るつもりだったリーンワース王国王都はスルー。
クラリスはズイオウ領に帰ってから転移で迎えに行くことにした。
まあ、クラリスには漏れなく女スパイが付いて来るので、陸上戦艦に乗せるのも問題だったんだけどね。
大陸を東西に貫く山脈、唯一の通り道である峡谷には、リーンワース王国の国境の街ボルダルの要塞がある。
前回はそこをリグルドが制圧してルドヴェガース要塞まで侵攻して来たわけだ。
リーンワース王国は俺から買った蒸気砲でルドヴェガース要塞を防衛しリグルドを撃破。
戦略の要であるリグルドを失った北の帝国は、峡谷にあるボルダルの要塞の占領を維持することが出来なくなり明け渡すこととなった。
そのためだろうか、北の帝国はボルダルの要塞を危険だと判断し、ガルムドには峡谷を突破させずに山脈を大きく迂回し、西の海岸から南下して第13ドックを目指して来ていた。
蒸気砲の脅威を避け、ビーコンに誘導された地を早急に調査するためには、そのコースしか残されていなかったのだろう。
ちなみにニムルドが侵入したコースはデータが破損していて判らなかった。
ニムルドとガルムドを調べた結果、北の帝国の陸上戦艦では魔導通信機が使用状態になく、リアルタイムでの情報交換が出来ないことがわかった。
唯一ビーコンや通信などの信号受信のみが可能で、それに頼って第13ドックのあるこの地までやって来たようだ。
もし、次の調査に陸上戦艦が派遣されるとしても、ガルムドを失ったことを把握するまでの時間と、また同じコースを辿る時間を考えれば1か月は猶予があるだろう。
第13ドックのビーコンは既に切られており、ガルムドが調査結果を持ち帰ることも無いので、第13ドックの大まかな位置は知られたが、詳細位置は秘匿できたと見ていいだろう。
しかし、更なる問題が発生した。
俺たちが運用している陸上戦艦の通信が傍受されている可能性だ。
ニムルドとガルムドの魔導通信機は僅かながら受信のみ機能していた。
これは陸上戦艦の構造物全体が受信アンテナとして機能していたからだろう。
陸上戦艦の通信は圧縮通信のため、デコード出来なければ内容はわからない。
幸い、北の帝国の陸上戦艦は使用者の管理者権限が低いらしくシステムがそこまで高度な機能を解放していない。
艦の運用も長年の解析で無理やりハードウェアを追加改造して動かしているという状態だった。
ちなみに、この改造は故障と判断され一部以外は取り払われていた。
伝声管はアナログでちょっと便利なので、俺の我儘で残してもらった。
話が逸れたが、つまり通信内容は把握出来なくても、通信が発せられている場所には向かって来れるということだ。
三角測量をすることでこの世界でも大まかな位置は掴めるだろう。
ここで、問題となるのは、新たな発信源が発生したら、北の帝国はそこに遺跡あるいは遺跡の出土品があると判断する。
北の帝国は、漏れなくそこに向かって陸上戦艦を派遣し調査しに来るということだ。
第13ドックの側ならまだしも、ズイオウ領で発信したのは拙かった。
そしてキルトタルがポイント11で敵味方識別信号を発信したことも調査に来られる可能性が高い。
俺の推測だが、魔導機関が高エネルギーを発した場合も同様に観測されていると思う。
これがニムルドが魔の森へと調査に来た原因だろうと思っている。
迂闊だったが、ルナワルドの重力制御機関始動も観測されているはず。
つまり既に調査目的の北の帝国の陸上戦艦が、ポイント11やズイオウ領に向かっていると見ていいだろう。
防衛のために動いたことが、敵を呼び込むことになっていた。
今後も陸上戦艦を使い続けるなら、北の帝国と敵対するのは宿命となるだろう。
まあ、相手の陸上戦艦を既に2隻奪っている時点で、既に敵対関係以外の何ものでもないんだけどね。
それにうちの国民は北の帝国に身内を殺され国土を奪われた被害者ばかり。
北の帝国とは敵対する未来しか残ってないな。
そんな理由から、俺はズイオウ領への帰還を急ぐことになった。
帰り道に寄るつもりだったリーンワース王国王都はスルー。
クラリスはズイオウ領に帰ってから転移で迎えに行くことにした。
まあ、クラリスには漏れなく女スパイが付いて来るので、陸上戦艦に乗せるのも問題だったんだけどね。
0
お気に入りに追加
813
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが
米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。
その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。
更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。
果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!?
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる