49 / 169
第二章 逃亡生活
049 王国
しおりを挟む
リーンワース王国王城
「北の帝国から問い合わせが来ました」
王城の一室で将軍はリーンワース王にそう報告した。
ガイアベザル帝国からの問い合わせは以下の内容だった。
『貴国に親善航行中の陸上戦艦ニムルドが行方不明になっている。
ニムルドには第五皇子アギト殿下が座乗されているのだが、何か情報を掴んでいないか?』
「親善航行だと? 領土侵犯を良くもまあぬけぬけと言ったものだ」
リーンワース王が呆れる。
「しかし、まさか第五皇子が乗艦していたとは……、これでは北の帝国も引くに引けないでしょうな」
将軍の懸念にリーンワース王も頷く。
「で、手筈通り回答したのであろうな?」
「はっ。『そのような艦は来ておらぬ』と回答しておきました」
「して、北の帝国の反応は?」
リーンワース王が興味津々という面持ちで問う。
「そのまま引き下がったとのことです」
リーンワース王は思案する。
引き下がったということは、今のところ一方的に戦端を開くつもりはないということか。
こちらとしては調査協力程度のことは要求されると思っていたのだが。
これは王国にニムルドを破壊出来る戦力があると見ての躊躇か。
いや、まだ皇帝に報告が行っていないと見るべきだな。
あの皇帝ならバカ息子が王国で死んだとなれば口実が出来たと喜んで攻めて来るはずだ。
「となると、次の動きは皇帝決済後だな。
東と西、中央回廊の砦に通達だ。
北の帝国の動きに注視せよ!」
リーンワース王は北の帝国の動きをほぼ正確に把握していた。
そして北の帝国が動き出すことを懸念して警戒を命令した。
「国境の見張りを厳とせよ。それとクランドなる男を見つけ出し協力を要請するのだ!
北の帝国がニムルドの調査協力を要請して来たのならば、協力をするふりをして時間を稼ぐのだ」
リーンワース王はミンストル子爵からクランドの情報を得ていた。
彼がガイア帝国の末裔であれば、ニムルドを破壊出来る兵器を持っている可能性がある。
リーンワース王国はクランドの取り込みに舵を切ることになった。
だが、その行方は全く掴むことが出来ていなかった。
「北の帝国から問い合わせが来ました」
王城の一室で将軍はリーンワース王にそう報告した。
ガイアベザル帝国からの問い合わせは以下の内容だった。
『貴国に親善航行中の陸上戦艦ニムルドが行方不明になっている。
ニムルドには第五皇子アギト殿下が座乗されているのだが、何か情報を掴んでいないか?』
「親善航行だと? 領土侵犯を良くもまあぬけぬけと言ったものだ」
リーンワース王が呆れる。
「しかし、まさか第五皇子が乗艦していたとは……、これでは北の帝国も引くに引けないでしょうな」
将軍の懸念にリーンワース王も頷く。
「で、手筈通り回答したのであろうな?」
「はっ。『そのような艦は来ておらぬ』と回答しておきました」
「して、北の帝国の反応は?」
リーンワース王が興味津々という面持ちで問う。
「そのまま引き下がったとのことです」
リーンワース王は思案する。
引き下がったということは、今のところ一方的に戦端を開くつもりはないということか。
こちらとしては調査協力程度のことは要求されると思っていたのだが。
これは王国にニムルドを破壊出来る戦力があると見ての躊躇か。
いや、まだ皇帝に報告が行っていないと見るべきだな。
あの皇帝ならバカ息子が王国で死んだとなれば口実が出来たと喜んで攻めて来るはずだ。
「となると、次の動きは皇帝決済後だな。
東と西、中央回廊の砦に通達だ。
北の帝国の動きに注視せよ!」
リーンワース王は北の帝国の動きをほぼ正確に把握していた。
そして北の帝国が動き出すことを懸念して警戒を命令した。
「国境の見張りを厳とせよ。それとクランドなる男を見つけ出し協力を要請するのだ!
北の帝国がニムルドの調査協力を要請して来たのならば、協力をするふりをして時間を稼ぐのだ」
リーンワース王はミンストル子爵からクランドの情報を得ていた。
彼がガイア帝国の末裔であれば、ニムルドを破壊出来る兵器を持っている可能性がある。
リーンワース王国はクランドの取り込みに舵を切ることになった。
だが、その行方は全く掴むことが出来ていなかった。
0
お気に入りに追加
812
あなたにおすすめの小説
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国
てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』
女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。
左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!
武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜
甲殻類パエリア
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。
秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。
——パンである。
異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。
というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。
そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる