【完結】帝都一の色男と純朴シンデレラ ~悲しき公爵様は愛しき花を探して~

朝永ゆうり

文字の大きさ
上 下
15 / 21

15 星降る夜に

しおりを挟む
「おひいさん、着いたよ」

 肩を揺すられ、ハナは目を開いた。自分の左側には隼助がぴったりとくっついている。寄りかかって寝てしまっていたのだと気付いて、慌てて身体を起こした。
 隼助はクスリと笑って、ハナに手を差し出す。

「別に構わないさ。さあ、降りるよ」

 何も持たずに出てきた。手荷物も何もないまま、ハナは隼助の手を取り汽車を後にした。

 隼助に手を引かれ、駅舎に降り立った。外はもう日が沈み、辺りは暗くなっている。
 見覚えのあるその場所に、ハナは目を見開く。

「ここ……」

「ハナはこの辺りで育ったのだろう?」

 隼助の笑顔は駅の灯りに照らされて、優しくきらめいている。ハナがこくりとうなずくと、隼助はハナの手を引き、駅舎を後にした。

 汽車の行ってしまった駅前は人も少なく、開いている商店もない。月明かりを頼りに、暗がりを二人で歩いた。

「ハナの育った村は、どの辺りだい?」

 互いの手を握り合い、のんびりと歩いた。

「あっちに見える山です」

 指を差した方は雲掛かっていて、ただ暗がりが広がるだけだ。

「……本当は見えるんですよ? 帝都に行く時にも一度見たので、忘れるわけがありません」

 躍起になって言うと、隼助はケラケラと笑った。その顔には、もう憂いや寂しさはないように見える。ハナは嬉しくなって、彼の腕にそっと身体を擦り寄せた。

「お前さんは可愛いことをするんだねえ」

 隼助がハナの頭を撫でた。

「好きだなあと、思っただけです」

 心のままに伝えると、隼助の唇がハナのおでこに触れた。

「私も、お前さんが愛しいよ」

 その言葉だけで、信じられないほど満たされる。

「ではあの山へ向かおうか。ハナの育ったところを、私も見てみたい」

 ハナは大きく頷いた。村の皆は優しい。きっと、隼助も受け入れてくれるはずだ。

「ですが、少しばかり遠いですよ?」

 帝都の人にとって、山登りは酷ではないかと心配した。シワの寄った眉間を、隼助が優しく小突いた。

「疲れたら、都度休めばいいさ。ハナが隣にいてくれれば、私はそれだけでいいんだよ」

 その言葉に安心し、ハナは繋いでいた手をきゅっと握る。月明かりを頼りに、二人は田舎の道をゆっくりと歩いた。


 どのくらい歩いただろう。頭の上にあった月は随分と西に傾いている。道の幅も狭まってきた頃、「そろそろ休もうか」と隼助が言った。

 二人は道の途中にあった、大きな木の下に腰掛けた。隼助が胸元からハンカチを取り出し、敷いてくれた。
 周りを見回した。ちょうど田植えが始まったところらしい。田に張られた水が、傾いてきた月明りを反射して、キラキラと輝く。
 ゲコゲコ、けろけろと蛙や虫の鳴き声がする。その懐かしい音に、ハナは耳を澄ました。

「田舎の夜は静かだと思っていたが、けっこう賑やかなんだ」

 寄り添うように座った隼助がそう言って、ハナは「はい」と答えた。

「帝都の夜は静かですよね」

「あれは屋敷の周りだけだ。銀座も浅草も夜も眠らない、うるさい街だよ」

 その声に隼助を見上げると、目を細めて遠くを眺めていた。

(隼助様とここまで来てしまったけれど、本当にこれで良かったのかしら……)

 ハナと隼助は立場が違う。地位も名誉も、何もかもを捨てて共にここまで来てくれたこの人は、とても愛しいと思う。
 けれど、胸の内ではどう思っているのだろう。本音を隠すのがとても上手な人だから、きっとハナには話してくれない。

 ハナは隼助の想いを想像して、胸が張り裂けそうになる。
 けれど、ここで泣いてはダメだ。隼助の覚悟を、無下にしてしまう気がする。
 代わりに、ハナは隼助の手をキュッと握った。

「こんなに賑やかな夜ですが、眠れそうですか?」

 ハナが問うと、隼助はその手をキュッと握り返す。

「ああ。ハナが隣にいるならば、私はどこだって眠れるさ。でも、今は――」

 隼助はそこにハナがいることを確認するように、ハナを見下ろした。ふわりと優しく微笑まれて、ハナも嬉しくなる。

「――まだ、眠りたくない。ハナが隣にいるということを、実感させておくれ」

「……はい」

 隼助の手が動いた。ハナがピクリと肩を揺らすと、隼助の指がハナの指に絡む。そのまま全ての指を絡めるように繋ぎ直すと、隼助はぎゅうっとハナの手を握る。

 ハナは心臓は鷲掴みにされたような心地だった。苦しい。けれど、愛しい。嬉しい。離してほしくない。

「星が降るようだな」

 不意に隼助が言って、ハナは空を見上げた。
 帝都でも、夜空を見上げた。あの時は田舎を思い出したが、隼助と共に田舎の星空を見上げる日が来るとは、夢にも思わなかった。

「綺麗だな」

 空を見上げたまま、隼助が言う。

「はい……」

 二人は東の空が白み始めるまで、寄り添ったまま星を見上げていた。


 パカパカと、静かな馬の足音が遠くから聞こえた。外はすっかり日が昇り、一面に広がる水田が朝日を反射する。
 カラカラと車輪の音がして、こんな時間に荷馬車なんて、とハナは目を凝らした。
 一本道の向こうに、馬車が見えた。けれどどうやらそれは、荷馬車ではないらしい。見覚えのあるその形に、ハナの胸はどくどくと嫌な音を立て始めた。

「あれは……? いや、見間違いかもしれないわ」

 ハナの独り言のような声に、隼助はそっと目を開けた。どうやら、浅い眠りについていたらしい。

「どうしたんだい、ハナ?」

 隼助はハナにふわりと微笑み、優しい口付けを落とした。それだけで思考が蕩けそうになる。けれど、遠くに見えたものを伝えなければならない。気を確かに持たなくては。

「隼助様、あの……」

 ハナは唇がそっと離れたタイミングで、口を開いた。

「あちらに、馬車が……」

 ハナが道の向こうを指差す。すると隼助はため息をこぼした。

「……もう来てしまったのか」

 仕方がない、と隼助は立ち上がる。つられてハナも立ち上がる。
 服に付いた砂を軽く払っていると、ハナたちのいる大きな木の少し手前で、馬車は停まった。

(やっぱりこの馬車、隼助様のものだわ!)

 逃避行は、バレてしまったらしい。隼助を追いかけてきたらしいその馬車から、執事長が降りてくる。

 馬車の戸を開いたまま、うやうやしく胸に手を当てお辞儀をする執事長。
 隼助はシルクハットを軽く被り直し、馬車を見て微笑む。
 それから、馬車の方へ歩み寄ると、後に続くハナを振り返った。

「村に帰りなさい、ハナ」

「え……?」

 隼助は、微笑んでいた。馬車に向かって微笑んだ同じ顔を、ハナに向けたのだ。
 それは、今までハナに向けられていたのものとは異なっていた。ハナの胸が騒いだ。

「嫌です! 村へ帰るなら、隼助様も一緒に――」

「私は帝都の公爵家、中條の子息で名は『鷹保』」

 隼助はニカッと口角を上げ、そう言った。

「違います!」

 思わず否定した。

「違わないんだよ、おひいさん」

 それは子供をあやす親のような声だった。
 否定の言葉をあっさりと打ち消し告げられた『おひいさん』の言葉に、ハナはハッと立ち止まった。
 何を考えているのか分からない、作り物の笑みを顔に貼り付けた彼。
 そこにいる隼助は、『鷹保』をまとっている。

 それでもハナは怯まない。

「でしたら、私も一緒に! 隼助様のお側にいたいのです! お力になりたいのです!」

 好きで、大好きで、恋しくて、愛しくて、そばを離れたくはない。例え女中と主という関係に戻ったとしても、彼の傍にいたかった。

 それなのに、隼助は『鷹保』をまとったまま、馬車へと乗り込もうとする。ハナも共に乗り込もうとして、隼助に手で制された。

「隼助、様……」

 ハナの目から、熱いものが流れた。すると隼助はかがむようにして、馬車の下にいたハナに顔を寄せた。

「お側にいたいのです。……たとえ、主と女中になろうとも」

 ハナは隼助の顔をじっと見つめた。すると、『鷹保』の笑顔は崩れていく。代わりに眉をハの字に曲げ、「困った」とでも言うように微笑まれた。
 隼助の手がためらいがちにハナに伸ばされた。けれど、それは触れることはなく、元の位置へと戻ってゆく。

「ハナをこれ以上苦しめたくないのだよ。ハナには笑顔でいてほしいのだよ。底抜けに前向きなハナの心を、これ以上汚したくないのだよ」

 そっと耳元で囁かれる言葉に、ハナはポロポロと涙をこぼした。

「迎えに来るまで、待っていておくれ」

「隼助、様……」

 声にならないような声で彼の名を呼べば、その大きな手が頭に置かれた。

「愛しているよ、ハナ」

 隼助はそう言うと、そっと馬車の戸を閉めた。馬が歩み始める。カラカラと、車輪が回る音がする。どんどんと、馬車が小さくなってゆく。
 やがてその姿が見えなくなって、ハナはその場に崩れるようにしゃがんだ。

(私も、愛しています……)

 涙が溢れて、止まらない。大粒の涙が足元の土を濡らして、そこだけ大雨が降ったように泥が跳ねる。
 それでも、涙は止まらなかった。


 よろよろしながら、育った村までの道を歩いた。道がどんどん細くなり、砂利も増えてくる。
 朝は晴れていた空が、いまはどんよりと曇っている。

 ハナは隼助が行ってしまった後、しばらくその場で泣いていた。近くの田の主がやって来て、ハナはそっと立ち上がった。

 ハナには村に戻る他無かった。帝都からは何も持ってきていないし、ましてや帝都に戻る汽車の運賃など持ち合わせてはいない。帝都に向かう荷馬車は稀であるし、帝都のように四輪車や二輪車などは通らないのだ。

 勾配が急になり、ハナはつまずいた。歩いている間に止まっていたはずの涙が、またじわりと溢れ出した。

(隼助様と、いられると思ってた……)

 けれど、胸のどこかでは安心していた。

 『好きだ』と告げられ、帝都を飛び出して来てしまった。それは、彼の兄がしたことと同じこと。隼助は兄のしたことを「仕方がない」と割り切りながらも、どこか寂しそうだった。

 激昂した母親に、押し寄せる新聞記者。それらの対応を全部投げ捨てて、中條家を裏切るということは、彼の屋敷の使用人の人生も露頭に迷わせるということだ。

 隼助はそんなことは絶対にしない。もし中條家を裏切るなら、先にリサやその他の女中の再雇用先を見つけてくるはずだ。

(用意が周到でないと、隼助様らしくないものね)

 ハナは涙を拭って、立ち上がった。

(そうよ、きっとそうだわ。隼助様は、全てを解決したら戻ってきてくださる。その準備を、私が村でしておくのよ)

『迎えに来るまで、待っていておくれ』

 隼助が去り際に言った言葉を、ハナは頭の中で繰り返した。
 ケロケロと、田の中の蛙たちが鳴いている。ハナはそれが、自分への応援のように聞こえた。

(村まで、あと少し。頑張ろう。隼助様のためにも)

 ハナは空を見上げた。どんよりと曇った空だったが、隼助も同じ空の下にいると思ったら、心がふっと軽くなった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――  子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。  彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。 「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」  四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。  そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。  文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!? じれじれ両片思いです。 ※他サイトでも掲載しています。 イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...