51 / 60
第二部 死闘
第47話 死神との死闘 その1
しおりを挟む
――――――――――――――――
残り時間――3時間28分
残りデストラップ――2個
残り生存者――3名
死亡者――6名
重体によるゲーム参加不能者――4名
――――――――――――――――
紫人からのメールが届いた。
『 ゲーム退場者――1名 瓜生
残り時間――3時間28分
残りデストラップ――2個
残り生存者――3名
死亡者――6名
重体によるゲーム参加不能者――4名 』
スオウは右脇の下で器用に鉄パイプを挟み込んで、素早くメールをチェックした。そこに絶対に見たくない名前が載っていた。
「そんな……瓜生さん……瓜生さん……」
瓜生の笑顔が頭に思い浮かんでくる。必ず再会すると約束したはずなのに。
「ちゃんと……約束したじゃないですか……。大人なのに……大人なのに……約束を破るなんて……ずるいですよ……ずるいじゃないですかっ!」
その場に崩折れた。
「――スオウ君、今は病院から遠ざかるのが先決だよ!」
イツカがスオウの左手を引っ張る。
「でも、瓜生さんは再会するって、約束してくれたんだ……。それなのにさ……それなのにさ……」
「いいから、早く起きてっ!」
「なんだよ、イツカは悲しくないのかよっ!」
行き場のない悲しみを、イツカにぶつけてしまった。それが八つ当たりだということは、スオウ自身が一番分かっている。
「スオウ君!」
イツカが声を張り上げた。
「病気で苦しんでいる妹さんが待っているんでしょ!」
それはスオウのことを思いやるイツカの優しい叱責の声だった。
「――そうだ……妹が、妹が……待っているんだ……」
スオウはイツカの手に引かれてゆっくりと立ち上がった。イツカの目を見て、静かに一回うなずいた。今やらなければいけないことがなんなのか再確認する。
おれはここで落ち込んでいてはいけないんだ。ゲームに勝たないとならないんだ! 妹の為にも生き残らないといけないんだ!
イツカの一喝のおかげで、混乱していた頭に冷静さが戻った。
「――ありがとう、イツカ。瓜生さんには悪いけど、今は逃げることに専念しよう」
「そうだよ。スオウ君、今は目の前のやれることをしないと」
「よし、駐車場まで急ごう」
スオウは鉄パイプを右手で力強く握り締めた。銃で撃たれた傷口の痛みに耐えながら、前を向いて歩いていく。
ときおり耳の横を通り過ぎていく強風の音。反対に遠くから聞こえる雷鳴の音。
どうやらゲーム開始当初に五階ロビーで見た天気予報が当たったらしい。大雨と暴風が市内で発生しているみたいだ。今はこれ以上天候が悪化しないことを祈るばかりである。
地震による緊急出動なのだろうか、けたたましいサイレンが何十にも重なって聞こえてくる。それだけ多くの緊急車両が出動しているのだろう。
「とりあえず救急車を呼んでみようか。この状況じゃ、いつ来てくれるか分らないけれど、おれたち二人じゃ重体のゲーム参加者を外へ運び出せないからな」
「うん、それが一番安全な方法かもしれないね」
スオウはイツカに確認してから、スマホで119番に連絡を入れた。
「はい、消防です。火事ですか? それとも救急ですか?」
地震の影響による回線の混雑を予想していたが、電話はすぐに消防署につながった。
「救――」
『急』と言いかけたとき、突然、まばゆい光に顔を照らされた。咄嗟に光の方に視線を向けたが、まぶしすぎて視界がまったく利かない。
ギュルルンという獣の咆哮じみた音が前方からした。
「スオウ君、危ないっ!」
イツカの驚いた声を聞くまでもなく、その音が車のエンジン音だと分かった。さっき見た入り口付近に止まっていたルーフが壊れた車だろう。
それが意味することは――。
車の屋根に落ちたのは人間だったに違いない。しかも、その人物はまだ生きているのだ。そして、車を運転しているのだろう。
今このゲーム内で生き残っている人間は三人しかいない。スオウと、イツカと、もうひとり――。
光芒を放つ人工的な獣が、猛烈なスピードで近付いてくる。
「イツカは早く逃げるんだっ!」
スオウは考えるよりも先に行動していた。隣に立つイツカの背を手で力強く押す。車のヘッドライトの中に自分だけが残る。
「スオウ君!」
イツカの絶叫。
くそっ、なにか策はないか……?
ヘッドライトの光が間近に迫ったところで、ようやく車の輪郭が目で把握できた。そのとき、別の物がスオウの視界に入った。
これだ! これしかない!
スオウは地面に右手を付き、『それ』を掴んだ。光に向かって『それ』を大きく持ち上げる。
ちょうどそのとき、良い具合に一陣の風が吹き抜けた。
スオウが手にした『それ』――足場を覆っていた巨大なシートが、風の力で舞い上がり、猛スピードで接近してきた車に飛んでいき、フロントガラスを一面覆い隠した。
よし、今だっ!
スオウは一か八かのタイミングを見計らって、真横に飛んだ。同時に、下半身に非常に重たい衝撃が走った。そのまま地面に飛ばされて転がっていく。
だが、ここで気を失う訳にはいかない。車の行方を必死に確認する。
フロントガラスをシートで閉ざされた車は左右に蛇行しつつ、体勢を整えるためか急ブレーキを踏んだ。切り裂くような音とともに、車体がグリップを失い、スピンをした。そのまま、スピードを落とすことなく病院の外壁に激突する。
コンクリートの塊と鉄の塊がぶつかり合う衝撃音。
「やった……のか……?」
変形した車が薄闇の中にぼんやりと見える。白い煙が闇の中を、空へと立ち上っていく。
「スオウ君、大丈夫なの?」
イツカが駆け寄ってきた。
「――ああ、ちょっとかすっただけだから平気さ」
スオウは強がってみせたが、実際のところ、左わき腹の辺りにじんじんとした痛みがあった。車をよけるのが一瞬遅れてしまったのだ。
「早くここから逃げよう!」
「そうだな……」
スオウは答えながらも、車からまだ目を離すことが出来なかった。
そのとき、車の一部から赤い光が生まれた。それがたちまち車全体に広がっていく。どうやらガソリンに引火したらしい。
「車が燃え始めたみたいだね」
イツカも車の様子に目を奪われている。
「このまま爆発するかも知れないな」
「ここから離れなくていいの?」
「これくらい距離があれば大丈夫だと思うけど」
スオウたちと車とは、10メートル以上距離が離れている。かりに車が爆発しても、被害は被りそうにはなかった。それよりも、スオウはその目でしっかりと最後を確認したかった。車に乗っていたであろう、あの男の最後を――。
「――ねえ、スオウ君、これで終わったんだよね?」
「だと思いたいけどな。この体じゃ、これ以上やつの相手を続けるのは――」
二人の話し声をかき消すように、爆音が轟き渡った。ついに車が爆発したのだ。
病院の三階近くまで、昇り竜のごとく炎が立ち上っていく。爆発の衝撃によって、車の破片がそこらじゅうに飛び散っていく。ガソリン特有の鼻をつくニオイと、焦げ臭いニオイがあたりに立ち込めていく。
爆発によって、車は完全に破壊されていた。
「この炎で全部燃やし尽くしてくれよな……」
だが、スオウの願いは届かなかった。ガジャンという音が車の付近でしたのだ。
そこに炎を背にまとった人影が立っていた。
「う、う、うそ……うそ……うそ、でしょう……」
イツカが声を震わせた。スオウも目の前の光景が信じられなかった。あれだけの規模の爆発だったにも関わらず、その男は生きていたのだ。
「あいつ……不死身なのかよ……。まるで……死神そのものじゃないか……」
地獄の炎の中から姿をあらわした死神を思わせる男――瑛斗。
残り時間――3時間28分
残りデストラップ――2個
残り生存者――3名
死亡者――6名
重体によるゲーム参加不能者――4名
――――――――――――――――
紫人からのメールが届いた。
『 ゲーム退場者――1名 瓜生
残り時間――3時間28分
残りデストラップ――2個
残り生存者――3名
死亡者――6名
重体によるゲーム参加不能者――4名 』
スオウは右脇の下で器用に鉄パイプを挟み込んで、素早くメールをチェックした。そこに絶対に見たくない名前が載っていた。
「そんな……瓜生さん……瓜生さん……」
瓜生の笑顔が頭に思い浮かんでくる。必ず再会すると約束したはずなのに。
「ちゃんと……約束したじゃないですか……。大人なのに……大人なのに……約束を破るなんて……ずるいですよ……ずるいじゃないですかっ!」
その場に崩折れた。
「――スオウ君、今は病院から遠ざかるのが先決だよ!」
イツカがスオウの左手を引っ張る。
「でも、瓜生さんは再会するって、約束してくれたんだ……。それなのにさ……それなのにさ……」
「いいから、早く起きてっ!」
「なんだよ、イツカは悲しくないのかよっ!」
行き場のない悲しみを、イツカにぶつけてしまった。それが八つ当たりだということは、スオウ自身が一番分かっている。
「スオウ君!」
イツカが声を張り上げた。
「病気で苦しんでいる妹さんが待っているんでしょ!」
それはスオウのことを思いやるイツカの優しい叱責の声だった。
「――そうだ……妹が、妹が……待っているんだ……」
スオウはイツカの手に引かれてゆっくりと立ち上がった。イツカの目を見て、静かに一回うなずいた。今やらなければいけないことがなんなのか再確認する。
おれはここで落ち込んでいてはいけないんだ。ゲームに勝たないとならないんだ! 妹の為にも生き残らないといけないんだ!
イツカの一喝のおかげで、混乱していた頭に冷静さが戻った。
「――ありがとう、イツカ。瓜生さんには悪いけど、今は逃げることに専念しよう」
「そうだよ。スオウ君、今は目の前のやれることをしないと」
「よし、駐車場まで急ごう」
スオウは鉄パイプを右手で力強く握り締めた。銃で撃たれた傷口の痛みに耐えながら、前を向いて歩いていく。
ときおり耳の横を通り過ぎていく強風の音。反対に遠くから聞こえる雷鳴の音。
どうやらゲーム開始当初に五階ロビーで見た天気予報が当たったらしい。大雨と暴風が市内で発生しているみたいだ。今はこれ以上天候が悪化しないことを祈るばかりである。
地震による緊急出動なのだろうか、けたたましいサイレンが何十にも重なって聞こえてくる。それだけ多くの緊急車両が出動しているのだろう。
「とりあえず救急車を呼んでみようか。この状況じゃ、いつ来てくれるか分らないけれど、おれたち二人じゃ重体のゲーム参加者を外へ運び出せないからな」
「うん、それが一番安全な方法かもしれないね」
スオウはイツカに確認してから、スマホで119番に連絡を入れた。
「はい、消防です。火事ですか? それとも救急ですか?」
地震の影響による回線の混雑を予想していたが、電話はすぐに消防署につながった。
「救――」
『急』と言いかけたとき、突然、まばゆい光に顔を照らされた。咄嗟に光の方に視線を向けたが、まぶしすぎて視界がまったく利かない。
ギュルルンという獣の咆哮じみた音が前方からした。
「スオウ君、危ないっ!」
イツカの驚いた声を聞くまでもなく、その音が車のエンジン音だと分かった。さっき見た入り口付近に止まっていたルーフが壊れた車だろう。
それが意味することは――。
車の屋根に落ちたのは人間だったに違いない。しかも、その人物はまだ生きているのだ。そして、車を運転しているのだろう。
今このゲーム内で生き残っている人間は三人しかいない。スオウと、イツカと、もうひとり――。
光芒を放つ人工的な獣が、猛烈なスピードで近付いてくる。
「イツカは早く逃げるんだっ!」
スオウは考えるよりも先に行動していた。隣に立つイツカの背を手で力強く押す。車のヘッドライトの中に自分だけが残る。
「スオウ君!」
イツカの絶叫。
くそっ、なにか策はないか……?
ヘッドライトの光が間近に迫ったところで、ようやく車の輪郭が目で把握できた。そのとき、別の物がスオウの視界に入った。
これだ! これしかない!
スオウは地面に右手を付き、『それ』を掴んだ。光に向かって『それ』を大きく持ち上げる。
ちょうどそのとき、良い具合に一陣の風が吹き抜けた。
スオウが手にした『それ』――足場を覆っていた巨大なシートが、風の力で舞い上がり、猛スピードで接近してきた車に飛んでいき、フロントガラスを一面覆い隠した。
よし、今だっ!
スオウは一か八かのタイミングを見計らって、真横に飛んだ。同時に、下半身に非常に重たい衝撃が走った。そのまま地面に飛ばされて転がっていく。
だが、ここで気を失う訳にはいかない。車の行方を必死に確認する。
フロントガラスをシートで閉ざされた車は左右に蛇行しつつ、体勢を整えるためか急ブレーキを踏んだ。切り裂くような音とともに、車体がグリップを失い、スピンをした。そのまま、スピードを落とすことなく病院の外壁に激突する。
コンクリートの塊と鉄の塊がぶつかり合う衝撃音。
「やった……のか……?」
変形した車が薄闇の中にぼんやりと見える。白い煙が闇の中を、空へと立ち上っていく。
「スオウ君、大丈夫なの?」
イツカが駆け寄ってきた。
「――ああ、ちょっとかすっただけだから平気さ」
スオウは強がってみせたが、実際のところ、左わき腹の辺りにじんじんとした痛みがあった。車をよけるのが一瞬遅れてしまったのだ。
「早くここから逃げよう!」
「そうだな……」
スオウは答えながらも、車からまだ目を離すことが出来なかった。
そのとき、車の一部から赤い光が生まれた。それがたちまち車全体に広がっていく。どうやらガソリンに引火したらしい。
「車が燃え始めたみたいだね」
イツカも車の様子に目を奪われている。
「このまま爆発するかも知れないな」
「ここから離れなくていいの?」
「これくらい距離があれば大丈夫だと思うけど」
スオウたちと車とは、10メートル以上距離が離れている。かりに車が爆発しても、被害は被りそうにはなかった。それよりも、スオウはその目でしっかりと最後を確認したかった。車に乗っていたであろう、あの男の最後を――。
「――ねえ、スオウ君、これで終わったんだよね?」
「だと思いたいけどな。この体じゃ、これ以上やつの相手を続けるのは――」
二人の話し声をかき消すように、爆音が轟き渡った。ついに車が爆発したのだ。
病院の三階近くまで、昇り竜のごとく炎が立ち上っていく。爆発の衝撃によって、車の破片がそこらじゅうに飛び散っていく。ガソリン特有の鼻をつくニオイと、焦げ臭いニオイがあたりに立ち込めていく。
爆発によって、車は完全に破壊されていた。
「この炎で全部燃やし尽くしてくれよな……」
だが、スオウの願いは届かなかった。ガジャンという音が車の付近でしたのだ。
そこに炎を背にまとった人影が立っていた。
「う、う、うそ……うそ……うそ、でしょう……」
イツカが声を震わせた。スオウも目の前の光景が信じられなかった。あれだけの規模の爆発だったにも関わらず、その男は生きていたのだ。
「あいつ……不死身なのかよ……。まるで……死神そのものじゃないか……」
地獄の炎の中から姿をあらわした死神を思わせる男――瑛斗。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
終焉の教室
シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。
そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。
提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。
最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。
しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。
そして、一人目の犠牲者が決まった――。
果たして、このデスゲームの真の目的は?
誰が裏切り者で、誰が生き残るのか?
友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
【完結】『霧原村』~少女達の遊戯が幽の地に潜む怪異を招く~
潮ノ海月
ホラー
五月の中旬、昼休中に清水莉子と幸村葵が『こっくりさん』で遊び始めた。俺、月森和也、野風雄二、転校生の神代渉の三人が雑談していると、女子達のキャーという悲鳴が。その翌日から莉子は休み続け、学校中に『こっくりさん』の呪いや祟りの噂が広まる。そのことで和也、斉藤凪紗、雄二、葵、渉の五人が莉子の家を訪れると、彼女の母親は憔悴し、私室いた莉子は憑依された姿になっていた。莉子の家から葵を送り届け、暗い路地を歩く渉は不気味な怪異に遭遇する。それから恐怖の怪奇現象が頻発し、ついに女子達が犠牲に。そして怪異に翻弄されながらも、和也と渉の二人は一つの仮説を立て、思ってもみない結末へ導かれていく。【2025/3/11 完結】

お嬢様と少年執事は死を招く
リオール
ホラー
金髪碧眼、まるで人形のような美少女リアナお嬢様。
そして彼女に従うは少年執事のリュート。
彼女達と出会う人々は、必ず何かしらの理不尽に苦しんでいた。
そんな人々を二人は救うのか。それとも…
二人は天使なのか悪魔なのか。
どこから来たのか、いつから存在するのか。
それは誰にも分からない。
今日も彼女達は、理不尽への復讐を願う者の元を訪れる……
※オムニバス形式です

常世の狭間
涼寺みすゞ
ホラー
生を終える時に目にするのが
このような光景ならば夢見るように
二つの眼を永遠にとじても
いや、夢の中で息絶え、そのまま身が白骨と化しても後悔などありはしない――。
その場所は
辿り着ける者と、そうでない者がいるらしい。
畦道を進むと広がる光景は、人それぞれ。
山の洞窟、あばら家か?
それとも絢爛豪華な朱の御殿か?
中で待つのは、人か?幽鬼か?
はたまた神か?
ご覧候え、
ここは、現し世か?
それとも、常世か?

糠味噌の唄
猫枕
ホラー
昭和60年の春、小6の町子は学校が終わって帰宅した。
家には誰もいない。
お腹を空かせた町子は台所を漁るが、おやつも何もない。
あるのは余った冷やご飯だけ。
ぬか漬けでもオカズに食べようかと流し台の下から糠床の入った壺をヨイコラショと取り出して。
かき回すと妙な物体が手に当たる。
引っ張り出すとそれは人間の手首から先だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる