6 / 60
第一部 始動
第5話 ゲームルール説明
しおりを挟む
テレビに映し出されたのは、真っ白い壁を背にして立つ男の姿だった。スオウもよく知る男である。このゲームの話を持ちかけてきた『死神の代理人』こと――紫人である。
「お集まりのみなさん、こんばんは。『死神の代理人』である紫人です。全員欠けることなくお集まりいただいたみたいで大変感謝しております」
サラリーマン然としたスーツ姿と、その馬鹿丁寧な口調は相変わらずである。
「今宵、みなさまがたには、自らの命を懸けた壮大なゲームに挑戦していただきます。そのゲームの名前は――『デス13ゲーム』」
何人かの参加者たちの口から、声にはならない小さなどよめきが起きた。
「今から『デス13ゲーム』についてご説明をいたします。もしも分からない点がございましたら、説明が終わったあとに随時お聞きいたしますので、一度最後までゲームの説明にお付き合いください」
紫人はそこでみなの反応をうかがうように一呼吸入れてから、さらに話を続けた。
「『デス13ゲーム』のルールは単純にして明快であります。これからこの場所で、13時間無事に生き残るか、あるいは13時間の間にランダムに発動する13個のデストラップを無事にすべて回避して生き残るか、あるいは13人の中で最後の1人として生き残るか、以上の三つのルールの内、どれかひとつでもクリアした者が勝者となります。つまり、13時間が経過していなくとも13個のデストラップをすべて回避した時点で、あるいは、13時間が経過していなくとも生き残った参加者が最後の1人となった時点で、ゲームは終了となります。それと、これは言うまでもないことですが、外部に助けを求める行為は全面禁止とさせていただきます。言葉で聞くと難しく感じるかもしれませんが、今までに3時間でゲームをクリアした者もいますので、ぜひみなさん、クリア時間の最短記録の更新を目指してください。──以上で簡単ではありますが、ゲームの説明は終わりとさせていただきます。では、なにかご質問のある方がいたら、どうぞご遠慮なく申し出てください。教えられる範囲内のことであれば、こちらは包み隠さずすべてお話しします」
「ゲームのルールはだいたいのところ分かりました。ただ、あなたの言ったデストラップというのが分からないのですが?」
参加者の中で自然とリーダー格になっていた五十嵐が、最初に口を開いた。テレビに向かって話しかけると、部屋のどこかに隠しマイクが仕込まれているのか、画面内の紫人が答えた。
「デストラップというのは、文字通り『死の罠』です。つまりあなたがたを死に追いやる罠ということです」
「死――!」
「命を懸けたゲームですから、トラップにかかった者は紛れもなく、かなりの高確率で死ぬと思ってください」
「いや……確かに命を懸けたゲームであると聞かされてはいたけど……」
五十嵐が言葉に詰まった。顔色も冴えない。死という単語を聞いて、怖気づいたのかもしれない。
「そのデストラップがどんなものなのかは、もちろん俺たちには教えてくれないんだよな」
五十嵐に代わって、瓜生が話を再開した。
「ええ。それを話してしまったら、ネタバラしになってしまいますから」
「でもよ、俺たちが相手をするのは、本物かどうかは別として、死神様なんだろう?」
「はい、そうです。本物の死神です。むろん、信じるかどうかは参加者のみなさまの信仰心しだいですが」
「じゃあ、その死神様が用意したデストラップを、俺たちみたいな人間ごときが回避出来るものなのか? それが出来ないとなると、このゲームは始めから結果が見えているようなものだからな」
「そうよ。ただの人間が死神を相手にしてに敵うわけないじゃない!」
以外にも大きな声を出したのはミネだった。この中では一番体力的に不安がある参加者であることは間違いない。それでも敢えて声を上げたということは、このゲームに並々ならぬ意欲があるということなのだろう。
「小金寺さんのご指摘はごもっともです。ですから、デストラップには参加者側に対して、ひとつのアドバンテージが設けられております」
「アドバンテージってなにかしら? 私は横文字は苦手なのよ」
「バアさん、アドバンテージというのは、簡単に言えば、有利な点っていう意味だよ」
言葉は荒っぽいが、優しくミネに教える瓜生だった。
「失礼しました。それではミネさんにも分かりやすい言葉でご説明しますね。――参加者側に有利な点を示すことによって、死神との絶対的な差を無くすということです」
「それって、具体的にどういうことなのさ?」
「このデストラップが発動する際には、その前に必ずそれと分かるなんらかの前兆が起こります。その前兆を見逃さないことです。それによってデストラップへの前準備が出来るというわけです」
「なるほどね。バアさんもこれで分かったかい?」
「なんとなくだけどね」
「つまりだな、バアさんにも分かるように言うと、赤信号の前に点灯する黄信号みたいなものさ。デストラップが発動する前には、必ず注意を喚起する黄信号に似た前兆が起きるってことらしいぜ」
「はい、そういうことになります。わたくしにかわってご説明していただきありがとうございます」
「まあ、たしかにそれならば、こちら側にもなんらかの対処の仕様があるわけだね」
ミネは納得したようだった。
「では、他にご質問はありますか?」
テレビ画面の中で紫人が参加者全員の顔を見回すように頭を左右に振る。
「デストラップは死神が起こすものと言ったが、物理的な限界はあるのかな?」
ソファから立ち上がって質問したのは、あの異彩な雰囲気をまとった白髪の男だった。
「物理的と言うのはどういう意味でしょうか?」
「相手が死神だとしたら、突然なにも無かった空間に炎を起こしたり、突然バケモノに襲われたり、そんな風にされたら、いくら前兆があってもこちらとしては防ぎようがないと思ってね」
「なるほど。分かりました。そういう心配はありませんので安心して下さい。デストラップはあくまでも現実世界における物理法則にのっとり発動いたします。突然ドラゴンが現われて、参加者が食べられてしまってゲーム終了、というようなことはありません。仮に、突然炎が生まれたとしたら、そこには炎を生み出すだけのなんらかの要素があったときだけです」
「いいだろう。その言葉を信用することにするよ」
白髪男はそれで満足したのか、ソファに座り直した。
「では他にデストラップについてのご質問はありますか?」
紫人が再び全員の顔を見回す。
「無いようでしたら、デストラップ以外の質問があれば――」
「はい。いいかな」
スオウは教室でもないのに挙手をした。
「どうぞ。どのようなご質問でしょうか?」
「勝者の報酬について詳しく聞きたい。あんたはおれに命を懸けたゲームに勝利すれば、妹の命を救えると言ったが、それは間違いないんだよな?」
「はい。前に言ったことに間違えはございません」
「ゲームに勝利したら、すぐに助けてもらえるのか?」
「はい、その点についてはお約束致します」
「分かった――」
スオウが納得しかけたとき、紫人が口を挟んできた。
「ただし、その時点で対象者が生きていることが絶対条件となります」
「はあ? 生きているってどういうことだよ?」
「あなたが今夜、このゲームの勝者になったとして、そのときに妹さんの命がすでに尽きていたとしたら、助けることは出来ないという意味です」
「おい待てよ。そんなこと聞いていないぞ!」
「残念ながら、死神の力は現世でしか威力がありません。過去において死んでしまった者を、生き返らせるということは不可能だと覚えておいてください」
「ていうことは、おれの妹の命がこれから13時間後まで持ちこたえていればいいということだよな?」
「はい、そうなります」
「だったら、一秒でも早くゲームを始めようぜ」
「そうですね。そろそろゲームの方を始め――」
「ちょっと待って!」
今までテレビの画面を食い入るように見つめていた女性が、テレビが置かれた壁際まで駆け寄ってきた。自己紹介がまだ済んでいない女性の内の一人である。年齢は二十代半ばくらい。体のラインに余裕を持たせたような、ゆったりとした上品な花柄のワンピースを着ている。
「私もどうしても聞きたいことがあるの!」
女性は切羽詰まったような口調で続けた。
「命を救うということは、体の怪我や障害も救ってくれるって理解していいの?」
「はい、大丈夫ですよ。ただし、さきほどの命の件と同様に、すでに無くなってしまっている部位については、救うことは出来ません。具体的に言うと、事故で切断してしまった足を治すということは出来ません。逆に言いますと、欠損していなければ、怪我であったり、難病の原因自体を取り除くことは可能でございます。敢えて詳細に話すことはしませんが、ここにいるみなさんが助けたいであろう人間については、それぞれ全員調査済みですので、間違いなく助けることが出来ると断言いたします。もちろん、ゲームの勝者になることが絶対条件ですがね」
「分かりました……」
女性はそれで理解したのか、お腹の辺りをさすりながらテレビから離れていく。
「今度こそ本当にゲームを――」
「そういえば、勝者の人数に上限ってあるんですか? さっきのルール説明だと、13人全員が生き残る可能性もあると思うんだけど」
イツカがさらっと話に割り込んできた。
「あっ、それを忘れていました」
「これって最重要事項だと思うんだけど」
「はい。あの……すみません」
まるで出来の悪い上司と出来が良すぎる部下のような二人のやりとりである。
「勝者の上限ですが、13人です。つまり、みなさん全員が勝ち残る可能性もあるということです。その場合はもちろん全員の望みを叶えることが出来ます」
「13人が協力してゲームをクリア出来たら、死神の負けゲームっていうわけね」
「はい、そういうことになります」
「じゃあ、わたしも頑張らないと」
まるで緊張感が感じられない声でイツカは言った。
「では、ゲームを始めることにいたしますが、みなさん準備の方は大丈夫ですか?」
ホールにいる全員に緊張感がはしった。
スオウは知らぬうちに両手の拳を強く握り締めていた。
「それではただ今から、命を懸けた『デス13ゲーム』を始めます。これ以降の連絡はすべてわたくしからのメールのみになります。では生きていらっしゃれば、ゲーム終了時にまたお会いしましょう。わたくしはこれで去ります。死神は特等席でゲームを観覧していますので、みなさまのご活躍を期待していますね」
紫人の話が終わると同時に、テレビの画面が元のニュース映像に切り替わった。
「お集まりのみなさん、こんばんは。『死神の代理人』である紫人です。全員欠けることなくお集まりいただいたみたいで大変感謝しております」
サラリーマン然としたスーツ姿と、その馬鹿丁寧な口調は相変わらずである。
「今宵、みなさまがたには、自らの命を懸けた壮大なゲームに挑戦していただきます。そのゲームの名前は――『デス13ゲーム』」
何人かの参加者たちの口から、声にはならない小さなどよめきが起きた。
「今から『デス13ゲーム』についてご説明をいたします。もしも分からない点がございましたら、説明が終わったあとに随時お聞きいたしますので、一度最後までゲームの説明にお付き合いください」
紫人はそこでみなの反応をうかがうように一呼吸入れてから、さらに話を続けた。
「『デス13ゲーム』のルールは単純にして明快であります。これからこの場所で、13時間無事に生き残るか、あるいは13時間の間にランダムに発動する13個のデストラップを無事にすべて回避して生き残るか、あるいは13人の中で最後の1人として生き残るか、以上の三つのルールの内、どれかひとつでもクリアした者が勝者となります。つまり、13時間が経過していなくとも13個のデストラップをすべて回避した時点で、あるいは、13時間が経過していなくとも生き残った参加者が最後の1人となった時点で、ゲームは終了となります。それと、これは言うまでもないことですが、外部に助けを求める行為は全面禁止とさせていただきます。言葉で聞くと難しく感じるかもしれませんが、今までに3時間でゲームをクリアした者もいますので、ぜひみなさん、クリア時間の最短記録の更新を目指してください。──以上で簡単ではありますが、ゲームの説明は終わりとさせていただきます。では、なにかご質問のある方がいたら、どうぞご遠慮なく申し出てください。教えられる範囲内のことであれば、こちらは包み隠さずすべてお話しします」
「ゲームのルールはだいたいのところ分かりました。ただ、あなたの言ったデストラップというのが分からないのですが?」
参加者の中で自然とリーダー格になっていた五十嵐が、最初に口を開いた。テレビに向かって話しかけると、部屋のどこかに隠しマイクが仕込まれているのか、画面内の紫人が答えた。
「デストラップというのは、文字通り『死の罠』です。つまりあなたがたを死に追いやる罠ということです」
「死――!」
「命を懸けたゲームですから、トラップにかかった者は紛れもなく、かなりの高確率で死ぬと思ってください」
「いや……確かに命を懸けたゲームであると聞かされてはいたけど……」
五十嵐が言葉に詰まった。顔色も冴えない。死という単語を聞いて、怖気づいたのかもしれない。
「そのデストラップがどんなものなのかは、もちろん俺たちには教えてくれないんだよな」
五十嵐に代わって、瓜生が話を再開した。
「ええ。それを話してしまったら、ネタバラしになってしまいますから」
「でもよ、俺たちが相手をするのは、本物かどうかは別として、死神様なんだろう?」
「はい、そうです。本物の死神です。むろん、信じるかどうかは参加者のみなさまの信仰心しだいですが」
「じゃあ、その死神様が用意したデストラップを、俺たちみたいな人間ごときが回避出来るものなのか? それが出来ないとなると、このゲームは始めから結果が見えているようなものだからな」
「そうよ。ただの人間が死神を相手にしてに敵うわけないじゃない!」
以外にも大きな声を出したのはミネだった。この中では一番体力的に不安がある参加者であることは間違いない。それでも敢えて声を上げたということは、このゲームに並々ならぬ意欲があるということなのだろう。
「小金寺さんのご指摘はごもっともです。ですから、デストラップには参加者側に対して、ひとつのアドバンテージが設けられております」
「アドバンテージってなにかしら? 私は横文字は苦手なのよ」
「バアさん、アドバンテージというのは、簡単に言えば、有利な点っていう意味だよ」
言葉は荒っぽいが、優しくミネに教える瓜生だった。
「失礼しました。それではミネさんにも分かりやすい言葉でご説明しますね。――参加者側に有利な点を示すことによって、死神との絶対的な差を無くすということです」
「それって、具体的にどういうことなのさ?」
「このデストラップが発動する際には、その前に必ずそれと分かるなんらかの前兆が起こります。その前兆を見逃さないことです。それによってデストラップへの前準備が出来るというわけです」
「なるほどね。バアさんもこれで分かったかい?」
「なんとなくだけどね」
「つまりだな、バアさんにも分かるように言うと、赤信号の前に点灯する黄信号みたいなものさ。デストラップが発動する前には、必ず注意を喚起する黄信号に似た前兆が起きるってことらしいぜ」
「はい、そういうことになります。わたくしにかわってご説明していただきありがとうございます」
「まあ、たしかにそれならば、こちら側にもなんらかの対処の仕様があるわけだね」
ミネは納得したようだった。
「では、他にご質問はありますか?」
テレビ画面の中で紫人が参加者全員の顔を見回すように頭を左右に振る。
「デストラップは死神が起こすものと言ったが、物理的な限界はあるのかな?」
ソファから立ち上がって質問したのは、あの異彩な雰囲気をまとった白髪の男だった。
「物理的と言うのはどういう意味でしょうか?」
「相手が死神だとしたら、突然なにも無かった空間に炎を起こしたり、突然バケモノに襲われたり、そんな風にされたら、いくら前兆があってもこちらとしては防ぎようがないと思ってね」
「なるほど。分かりました。そういう心配はありませんので安心して下さい。デストラップはあくまでも現実世界における物理法則にのっとり発動いたします。突然ドラゴンが現われて、参加者が食べられてしまってゲーム終了、というようなことはありません。仮に、突然炎が生まれたとしたら、そこには炎を生み出すだけのなんらかの要素があったときだけです」
「いいだろう。その言葉を信用することにするよ」
白髪男はそれで満足したのか、ソファに座り直した。
「では他にデストラップについてのご質問はありますか?」
紫人が再び全員の顔を見回す。
「無いようでしたら、デストラップ以外の質問があれば――」
「はい。いいかな」
スオウは教室でもないのに挙手をした。
「どうぞ。どのようなご質問でしょうか?」
「勝者の報酬について詳しく聞きたい。あんたはおれに命を懸けたゲームに勝利すれば、妹の命を救えると言ったが、それは間違いないんだよな?」
「はい。前に言ったことに間違えはございません」
「ゲームに勝利したら、すぐに助けてもらえるのか?」
「はい、その点についてはお約束致します」
「分かった――」
スオウが納得しかけたとき、紫人が口を挟んできた。
「ただし、その時点で対象者が生きていることが絶対条件となります」
「はあ? 生きているってどういうことだよ?」
「あなたが今夜、このゲームの勝者になったとして、そのときに妹さんの命がすでに尽きていたとしたら、助けることは出来ないという意味です」
「おい待てよ。そんなこと聞いていないぞ!」
「残念ながら、死神の力は現世でしか威力がありません。過去において死んでしまった者を、生き返らせるということは不可能だと覚えておいてください」
「ていうことは、おれの妹の命がこれから13時間後まで持ちこたえていればいいということだよな?」
「はい、そうなります」
「だったら、一秒でも早くゲームを始めようぜ」
「そうですね。そろそろゲームの方を始め――」
「ちょっと待って!」
今までテレビの画面を食い入るように見つめていた女性が、テレビが置かれた壁際まで駆け寄ってきた。自己紹介がまだ済んでいない女性の内の一人である。年齢は二十代半ばくらい。体のラインに余裕を持たせたような、ゆったりとした上品な花柄のワンピースを着ている。
「私もどうしても聞きたいことがあるの!」
女性は切羽詰まったような口調で続けた。
「命を救うということは、体の怪我や障害も救ってくれるって理解していいの?」
「はい、大丈夫ですよ。ただし、さきほどの命の件と同様に、すでに無くなってしまっている部位については、救うことは出来ません。具体的に言うと、事故で切断してしまった足を治すということは出来ません。逆に言いますと、欠損していなければ、怪我であったり、難病の原因自体を取り除くことは可能でございます。敢えて詳細に話すことはしませんが、ここにいるみなさんが助けたいであろう人間については、それぞれ全員調査済みですので、間違いなく助けることが出来ると断言いたします。もちろん、ゲームの勝者になることが絶対条件ですがね」
「分かりました……」
女性はそれで理解したのか、お腹の辺りをさすりながらテレビから離れていく。
「今度こそ本当にゲームを――」
「そういえば、勝者の人数に上限ってあるんですか? さっきのルール説明だと、13人全員が生き残る可能性もあると思うんだけど」
イツカがさらっと話に割り込んできた。
「あっ、それを忘れていました」
「これって最重要事項だと思うんだけど」
「はい。あの……すみません」
まるで出来の悪い上司と出来が良すぎる部下のような二人のやりとりである。
「勝者の上限ですが、13人です。つまり、みなさん全員が勝ち残る可能性もあるということです。その場合はもちろん全員の望みを叶えることが出来ます」
「13人が協力してゲームをクリア出来たら、死神の負けゲームっていうわけね」
「はい、そういうことになります」
「じゃあ、わたしも頑張らないと」
まるで緊張感が感じられない声でイツカは言った。
「では、ゲームを始めることにいたしますが、みなさん準備の方は大丈夫ですか?」
ホールにいる全員に緊張感がはしった。
スオウは知らぬうちに両手の拳を強く握り締めていた。
「それではただ今から、命を懸けた『デス13ゲーム』を始めます。これ以降の連絡はすべてわたくしからのメールのみになります。では生きていらっしゃれば、ゲーム終了時にまたお会いしましょう。わたくしはこれで去ります。死神は特等席でゲームを観覧していますので、みなさまのご活躍を期待していますね」
紫人の話が終わると同時に、テレビの画面が元のニュース映像に切り替わった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能な陰陽師
もちっぱち
ホラー
警視庁の詛呪対策本部に所属する無能な陰陽師と呼ばれる土御門迅はある仕事を任せられていた。
スマホ名前登録『鬼』の上司とともに
次々と起こる事件を解決していく物語
※とてもグロテスク表現入れております
お食事中や苦手な方はご遠慮ください
こちらの作品は、
実在する名前と人物とは
一切関係ありません
すべてフィクションとなっております。
※R指定※
表紙イラスト:名無死 様
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
浄霊屋
猫じゃらし
ホラー
「健、バイトしない?」
幼なじみの大智から引き受けたバイトはかなり変わったものだった。
依頼を受けて向かうのは深夜の湖やトンネル、廃墟、曰く付きの家。
待ち受けているのは、すでに肉体を失った彷徨うだけの魂。
視えなかったものが再び視えるようになる健。
健に引っ張られるように才能を開花させる大智。
彷徨う魂の未練を解き明かして成仏させる、浄霊。
二人が立ち向かうのは、救いを求める幽霊に手を差し伸べる、あたたかくも悲しいバイトだった。
同タイトル終了には★マークをつけています。
読み区切りの目安にしていただけると幸いです。
※小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
※BLじゃありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる