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第三章
200話 新体制
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食事が済めばさっそく大仕事が待ち構えている。私が何がなんでも寝室を抜け出さなければならなかった理由はこれだ。
これまた巨大な城の会合スペースには、私の配下や家臣と呼べる人間が勢揃いであった。
「……まずは役職を正式に割り振る。お前たちにこれからこのプロメリア帝国を任せるということだ。どうかよろしく頼む」
癖の強い人物たちではあったが、重たい責任が伴う私の言葉に場は静まり返った。
「戦時下においては各々の役割は大きく変わる。だが今から任命するのはあくまでも平時における役職であることを前置きしておく」
私は皇位就任前に打ち合わせした詳細の記された書類をめくる。
「……では発表する。──丞相兼内務大臣、諸葛孔明。丞相として私の補佐、そして内務大臣として、農林水産、交通、経済、財務、環境、その他国家全てのことについては孔明に全任する。孔明、今からこの国の文官は全てお前の部活だ」
「そのような高位、身に余る光栄にございます。陛下の為、粉骨砕身の思いで務めさせて頂きます」
孔明は立ち上がり、袖の下で腕を組み深く頭を下げた。
「……では次。──法務大臣、ナポレオン・ボナパルト。憲法の制定、法律の整備、議会・裁判制度の改革などを任せる。より良い国にするために頼んだぞ」
「吾輩に任せれば万事上手くいく」
そう自信満々な表情でナポレオンは笑ってみせた。
「……では次。──軍務大臣、土方歳三。陸軍大臣と聞けばほぼ全て歳三任せに聞こえるが、戦時に実際の指揮を執るのは孔明やナポレオンになるだろう。だからお前は自由に動いていい。だが最初に召喚した英雄として長年私と共に歩んできてくれた恩に報いるためこの地位を与える。これからもよろしくな、歳三」
「おう。まァ、やれるだけやってみるぜ」
口ではそう軽そうに言うが、歳三は真剣な面持ちで私をじっと見つめていた。
「……では次。──空軍大臣、ハンス=ウルリッヒ・ルーデル。ハオラン=リューシェンと共に、竜人やワイバーン竜騎兵といった新たな戦い方を他国に見せつけてやれ」
「後方勤務はなしという条件を元に引き受けたことを忘れるな。俺は常に最前線で戦う」
そう言いつつも、教練などの任務についてはこなしてくれるので問題ない。
……だがルーデルを大臣に任命する時の口説き文句は「自分がトップになれば自分にどんな任務でも与えられるぞ」であったことは、私とルーデルだけの秘密である。
「……では次。文部大臣、シズネ=ミツルギ。文化振興や教育は全てお任せしま……する。よろしくお願いしま……お願いする」
「本当に私なんかで良かったのかなぁ……。でも、任されたからには、頑張ります!」
これからこの国で使う予定の教科書は全てシズネによるものだ。歴史、文学、数学、化学、その他全てのことにある程度の知識を持つ彼女の知能は必ず役に立つだろう。
「……内閣としては以上となる。では次。より細かい組織について──」
私は手元の紙を一ページめくる。
「……国家保安局局長、ヘルムート=ヤーヴィス。帝国近衛騎士団団長と兼任となる。これから従来の騎士、衛兵はそのまま警察として、法務省下の国家保安局の局員という扱いになる。仕事は今までと変わらない、街の警備や犯罪の取り締まりである。よろしく」
「は! 慎んでお引き受け致します」
団長は拳を胸に当てる帝国式の敬礼で私に向かった。
団長は私の中で“団長”という人物だと思っているので、本当は局長と呼ぶべきだが、イギリスのロイヤルガードのように伝統的に近衛騎士団として残し、彼のことは団長と呼ぶことにシている。
「……では次。帝国情報局局長、アルド。これからはウィルフリードだけでなく帝国全体の利益のために諜報活動を任せる。まずは人員の確保を第一に頑張ってくれ」
「……は。御期待に添えるよう、全力を尽くして参ります」
このような場には慣れていないアルドは少し固い様子だった。
だが彼がどれほど優秀な人物であるかは、先の戦いで身に染みて分かっている。
「……では次。研究開発局局長、ヘクセル。これからは国家予算として研究開発費を投入する。人員も公共事業として無限に供給する。この国の未来、託したぞ」
「あわわわわわわわわわわわわわわ、がガガガガ頑張りりりりりりますすすすすす」
今日は中性的で若く爽やかな見た目のヘクセルだが、アルド以上にとんでもない緊張の仕方をしていた。
ここだけ見れば少々残念な感じだが、帝国が誇る天才魔導師である。
「……では次。製造産業局局長、シフバウアー、ザーク。兄弟二人で頼む。研究開発局や陸軍、空軍省からの依頼が押し寄せるだろうが予算も人員も惜しむつもりはない。少しでも問題があれば私に直訴して構わない」
「……恩にはしっかり応える。それがドワーフの掟だ」
「どんな仕事でも任せてくれ」
シフバウアーとの約束は確かに果たした。ザークは皇都から自由に出てきけるように解放したが、二人はこれからも残って私のために働いてくれるとのことだ。
シフたちの作った大砲と爆弾は間違いなくこの戦争で一番の戦果を挙げた。これからの活躍にも期待できる。
これまた巨大な城の会合スペースには、私の配下や家臣と呼べる人間が勢揃いであった。
「……まずは役職を正式に割り振る。お前たちにこれからこのプロメリア帝国を任せるということだ。どうかよろしく頼む」
癖の強い人物たちではあったが、重たい責任が伴う私の言葉に場は静まり返った。
「戦時下においては各々の役割は大きく変わる。だが今から任命するのはあくまでも平時における役職であることを前置きしておく」
私は皇位就任前に打ち合わせした詳細の記された書類をめくる。
「……では発表する。──丞相兼内務大臣、諸葛孔明。丞相として私の補佐、そして内務大臣として、農林水産、交通、経済、財務、環境、その他国家全てのことについては孔明に全任する。孔明、今からこの国の文官は全てお前の部活だ」
「そのような高位、身に余る光栄にございます。陛下の為、粉骨砕身の思いで務めさせて頂きます」
孔明は立ち上がり、袖の下で腕を組み深く頭を下げた。
「……では次。──法務大臣、ナポレオン・ボナパルト。憲法の制定、法律の整備、議会・裁判制度の改革などを任せる。より良い国にするために頼んだぞ」
「吾輩に任せれば万事上手くいく」
そう自信満々な表情でナポレオンは笑ってみせた。
「……では次。──軍務大臣、土方歳三。陸軍大臣と聞けばほぼ全て歳三任せに聞こえるが、戦時に実際の指揮を執るのは孔明やナポレオンになるだろう。だからお前は自由に動いていい。だが最初に召喚した英雄として長年私と共に歩んできてくれた恩に報いるためこの地位を与える。これからもよろしくな、歳三」
「おう。まァ、やれるだけやってみるぜ」
口ではそう軽そうに言うが、歳三は真剣な面持ちで私をじっと見つめていた。
「……では次。──空軍大臣、ハンス=ウルリッヒ・ルーデル。ハオラン=リューシェンと共に、竜人やワイバーン竜騎兵といった新たな戦い方を他国に見せつけてやれ」
「後方勤務はなしという条件を元に引き受けたことを忘れるな。俺は常に最前線で戦う」
そう言いつつも、教練などの任務についてはこなしてくれるので問題ない。
……だがルーデルを大臣に任命する時の口説き文句は「自分がトップになれば自分にどんな任務でも与えられるぞ」であったことは、私とルーデルだけの秘密である。
「……では次。文部大臣、シズネ=ミツルギ。文化振興や教育は全てお任せしま……する。よろしくお願いしま……お願いする」
「本当に私なんかで良かったのかなぁ……。でも、任されたからには、頑張ります!」
これからこの国で使う予定の教科書は全てシズネによるものだ。歴史、文学、数学、化学、その他全てのことにある程度の知識を持つ彼女の知能は必ず役に立つだろう。
「……内閣としては以上となる。では次。より細かい組織について──」
私は手元の紙を一ページめくる。
「……国家保安局局長、ヘルムート=ヤーヴィス。帝国近衛騎士団団長と兼任となる。これから従来の騎士、衛兵はそのまま警察として、法務省下の国家保安局の局員という扱いになる。仕事は今までと変わらない、街の警備や犯罪の取り締まりである。よろしく」
「は! 慎んでお引き受け致します」
団長は拳を胸に当てる帝国式の敬礼で私に向かった。
団長は私の中で“団長”という人物だと思っているので、本当は局長と呼ぶべきだが、イギリスのロイヤルガードのように伝統的に近衛騎士団として残し、彼のことは団長と呼ぶことにシている。
「……では次。帝国情報局局長、アルド。これからはウィルフリードだけでなく帝国全体の利益のために諜報活動を任せる。まずは人員の確保を第一に頑張ってくれ」
「……は。御期待に添えるよう、全力を尽くして参ります」
このような場には慣れていないアルドは少し固い様子だった。
だが彼がどれほど優秀な人物であるかは、先の戦いで身に染みて分かっている。
「……では次。研究開発局局長、ヘクセル。これからは国家予算として研究開発費を投入する。人員も公共事業として無限に供給する。この国の未来、託したぞ」
「あわわわわわわわわわわわわわわ、がガガガガ頑張りりりりりりますすすすすす」
今日は中性的で若く爽やかな見た目のヘクセルだが、アルド以上にとんでもない緊張の仕方をしていた。
ここだけ見れば少々残念な感じだが、帝国が誇る天才魔導師である。
「……では次。製造産業局局長、シフバウアー、ザーク。兄弟二人で頼む。研究開発局や陸軍、空軍省からの依頼が押し寄せるだろうが予算も人員も惜しむつもりはない。少しでも問題があれば私に直訴して構わない」
「……恩にはしっかり応える。それがドワーフの掟だ」
「どんな仕事でも任せてくれ」
シフバウアーとの約束は確かに果たした。ザークは皇都から自由に出てきけるように解放したが、二人はこれからも残って私のために働いてくれるとのことだ。
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