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第一章
57話 皇都
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ゴーレムが開けるような巨大な門の前には、大勢の人が詰めかけていた。ここで兵士に身分を検められなければ、皇都へ入ることはできない。
「おーい! まだなのか!?」
「早くしてくれー!」
「並んでお待ちください!」
並んでいる人々は、大きな積荷を運ぶ商人や、四人組の冒険者など、多種多様な職業の人が皇都に出入りしているのが分かった。
それはいつか見た大都会の喧騒を思い出す。
それに、そこにいるのは人間だけではない。亜人・獣人らも珍しくはなかった。
仲が悪そうなイメージのドワーフとエルフが同じ冒険者パーティーに居たり、いかにも強そうな狼の獣人の護衛を連れた商人も居る。
「……さてと、俺が行ってくるから少し待ってなさい」
「よろしくお願いします父上」
アルガーの乗る馬車は軍人専用のルートへと進んだ。帝国の鎧を着ていても、異国の兵士やスパイの危険もあるため、兵士の出入りは厳重に取り締まられている。
対する私たちは貴族専用の特別な対応がある。あの長い列に並ばなくていいと言うのは大変便利だ。
「ようこそいらっしゃいました! 身分証はお持ちですか?」
「私はウルツ=ウィルフリードだ。陛下からお呼びが掛かっているのだ。……ここにその書簡がある」
「───は! 確認致しました! これは確かに陛下の玉印! どうぞお通りください!」
流石は皇都の玄関口である正門の門番といった所か。手際の良さ、礼儀正しさは今まで訪れた街のどの門番よりも素晴らしい。
「…………帝国の英雄ウルツ様にお会いできて光栄です!」
「うむ。ありがとう。お疲れ様」
父がそう言い門番の肩に手をかけると、真面目そうな彼の表情も思わずほころんだ。
やはり私の父は何処でも歓迎される。そんな姿はどこか私まで誇らしかった。
「それでは行こうか!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「………………!」
「オイオイ! こんなの造るなんて何年かかるんだよ!?」
「……ふむ。これは攻め落とすにも相当骨が折れそうですね…………」
二人がそう驚くのも無理はない。かく言う私も、驚きのあまり声も出なかっただけだ。
「ははは! 俺も皇都へ来たのは久しぶりだな! 本当は魔王領遠征の帰りに寄るはずだったから、来れずじまいだったんだ」
馬車が四台並んでも余裕で通れるほどの道幅。その左右には二階建て、それ以上の商店がズラリと並んでいる。
高層ビルが当たり前の現代とは違い、木製又は石造りが基本のこの世界では、高い建物は珍しいのだ。
だが、一番高い建物はもっと先にあった。
「そしてあそこに見えるのが帝国の中心、ライヒシュタート城だ! あの最上階に皇帝陛下がいらっしゃる!」
門があれだけ巨大なら、守られる城はもっとデカい。
ライヒシュタート城なる城は、もはや建造物というより山と言った方がいいような気がした。
まだ数キロ先にあるはずの城が、周りの建物より一際美しい白に輝いている。
「あれだけ立派な城を築城できるのも、帝国の発展した魔法技術の賜物なんだぞ!」
父が自慢げに話し始めた。
「戦争ばかりに目が行きがちだが、生活魔法と言って、魔法は人々の生活に欠かせないものになっている。あの城も、優秀な宮廷魔導師たちの土魔法を応用して造られたんだ!」
「成程。魔法には私の知らない、無限の可能性があるのですね!」
孔明は興味津々だ。
「その通りだ! あの街灯は光の魔石が埋め込まれている。魔石ランプの発展だな! 時々魔導師が魔力を込めることで何度も使えて便利だ!」
街灯の発明は、人間の生産性を大きく向上させた。
それは、闇を克服し活動時間を伸ばすことでより多くの時間が使えるようになったということだ。
それはつまり、皇都では昼夜を問わず働き続ける人がいると言うことだが……。それがいいのか悪いのかは、一概には言えないだろう。
「───さて、とりあえずはアルガーと合流しよう。……いや、暫くかかりそうだからレオたちはこの辺りを見て回っていいぞ!」
「本当ですか!?」
「せっかくだからな! 鬼の居ぬ間になんとやらだ! お小遣いも渡しておこう! 参上せよとの日は明日だから、今日は貴族用の迎賓館に泊まる。そこで夜に合流すれば大丈夫だ!」
アルガーに怒られるのは父なので大丈夫だ!
「行こう! 歳三、孔明!」
「おう!」
「ふふふ、楽しみですね……!」
私は父からずっしりとした重みの小袋を受け取り、馬車から飛び降りた。
「おーい! まだなのか!?」
「早くしてくれー!」
「並んでお待ちください!」
並んでいる人々は、大きな積荷を運ぶ商人や、四人組の冒険者など、多種多様な職業の人が皇都に出入りしているのが分かった。
それはいつか見た大都会の喧騒を思い出す。
それに、そこにいるのは人間だけではない。亜人・獣人らも珍しくはなかった。
仲が悪そうなイメージのドワーフとエルフが同じ冒険者パーティーに居たり、いかにも強そうな狼の獣人の護衛を連れた商人も居る。
「……さてと、俺が行ってくるから少し待ってなさい」
「よろしくお願いします父上」
アルガーの乗る馬車は軍人専用のルートへと進んだ。帝国の鎧を着ていても、異国の兵士やスパイの危険もあるため、兵士の出入りは厳重に取り締まられている。
対する私たちは貴族専用の特別な対応がある。あの長い列に並ばなくていいと言うのは大変便利だ。
「ようこそいらっしゃいました! 身分証はお持ちですか?」
「私はウルツ=ウィルフリードだ。陛下からお呼びが掛かっているのだ。……ここにその書簡がある」
「───は! 確認致しました! これは確かに陛下の玉印! どうぞお通りください!」
流石は皇都の玄関口である正門の門番といった所か。手際の良さ、礼儀正しさは今まで訪れた街のどの門番よりも素晴らしい。
「…………帝国の英雄ウルツ様にお会いできて光栄です!」
「うむ。ありがとう。お疲れ様」
父がそう言い門番の肩に手をかけると、真面目そうな彼の表情も思わずほころんだ。
やはり私の父は何処でも歓迎される。そんな姿はどこか私まで誇らしかった。
「それでは行こうか!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「………………!」
「オイオイ! こんなの造るなんて何年かかるんだよ!?」
「……ふむ。これは攻め落とすにも相当骨が折れそうですね…………」
二人がそう驚くのも無理はない。かく言う私も、驚きのあまり声も出なかっただけだ。
「ははは! 俺も皇都へ来たのは久しぶりだな! 本当は魔王領遠征の帰りに寄るはずだったから、来れずじまいだったんだ」
馬車が四台並んでも余裕で通れるほどの道幅。その左右には二階建て、それ以上の商店がズラリと並んでいる。
高層ビルが当たり前の現代とは違い、木製又は石造りが基本のこの世界では、高い建物は珍しいのだ。
だが、一番高い建物はもっと先にあった。
「そしてあそこに見えるのが帝国の中心、ライヒシュタート城だ! あの最上階に皇帝陛下がいらっしゃる!」
門があれだけ巨大なら、守られる城はもっとデカい。
ライヒシュタート城なる城は、もはや建造物というより山と言った方がいいような気がした。
まだ数キロ先にあるはずの城が、周りの建物より一際美しい白に輝いている。
「あれだけ立派な城を築城できるのも、帝国の発展した魔法技術の賜物なんだぞ!」
父が自慢げに話し始めた。
「戦争ばかりに目が行きがちだが、生活魔法と言って、魔法は人々の生活に欠かせないものになっている。あの城も、優秀な宮廷魔導師たちの土魔法を応用して造られたんだ!」
「成程。魔法には私の知らない、無限の可能性があるのですね!」
孔明は興味津々だ。
「その通りだ! あの街灯は光の魔石が埋め込まれている。魔石ランプの発展だな! 時々魔導師が魔力を込めることで何度も使えて便利だ!」
街灯の発明は、人間の生産性を大きく向上させた。
それは、闇を克服し活動時間を伸ばすことでより多くの時間が使えるようになったということだ。
それはつまり、皇都では昼夜を問わず働き続ける人がいると言うことだが……。それがいいのか悪いのかは、一概には言えないだろう。
「───さて、とりあえずはアルガーと合流しよう。……いや、暫くかかりそうだからレオたちはこの辺りを見て回っていいぞ!」
「本当ですか!?」
「せっかくだからな! 鬼の居ぬ間になんとやらだ! お小遣いも渡しておこう! 参上せよとの日は明日だから、今日は貴族用の迎賓館に泊まる。そこで夜に合流すれば大丈夫だ!」
アルガーに怒られるのは父なので大丈夫だ!
「行こう! 歳三、孔明!」
「おう!」
「ふふふ、楽しみですね……!」
私は父からずっしりとした重みの小袋を受け取り、馬車から飛び降りた。
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