【完結】極夜の国王様は春色の朝焼けを知る

胡麻川ごんべ

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第59話 声が溶けている ※前編

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「恥ずかしがるな」
 
 ロスカはフレイアの細い腰を握るようにして、自身の方へと引き寄せた。彼はまだ服を着たまま、と言うのが彼女を恥ずかしくさせているらしい。
 
「だって、私だけ」
 
「フレイアの姿を見たいんだ」
 
 一度押し倒されたものの、彼と向き合う形で体を起こされる。ロスカの太ももの上に座り込む形なり、フレイアは更に恥ずかしくなる。でも、下から見上げて来る彼は随分と楽しそうだ。にんじん色の髪色に、薄い肌着だけを纏った彼女は酷く官能的に見え、ロスカは唇を噛み締めた。
 
「肌着はどれもこんなに薄いのか」
 
「あっ、ん、今日は、これしか、なくて・・・」
 
 フレイアのまだ柔らかな胸の先にロスカの唇が触れる。
 
「そうか、偶然なのか」
 
 薄い布の上から、ロスカは何度もそれに吸い付いた。もう片方の手では、親指の腹で先を擦られる。柔らかなままの場所を擦られるのは、口に含まれるのと同じくらいこそばゆいものであった。
 
「きゃ、あ!あ、あ・・・」
 
 まどろっこしいのか、邪魔なのか。ロスカは彼女の肌着を剥いで、直接フレイアの胸元に吸い付いた。先程の指の付け根にしてきた口づけと同じように、食むように胸の先に吸い付いてくるのだ。唇が離された、かと思いきや胸の先以外の部分を優しく、指で触れては彼女を焦らした。
 
「んんぅ」
 
「腰が引けてるな」
 
 胸から降りてくる熱を、腰の下に逃そうとしていたらしい。ロスカはその腰を引き寄せて、自身との下腹部より下のものにあたるようにした。
 
「あっ、ロスカ、いけません」
 
「何故」
 
 そう聞きながらも、彼はフレイアの主張し始めた胸の先を可愛がるのを辞めない。寧ろ、先程よりも強く吸い付いてくるのだ。
 
「っ、お洋服が、汚れてしまうかも」
 
 ロスカの唇が離れる。何かいけない事でも言ったのだろうか。驚いたような表情をした後、悪戯に口角が上がったのだ。
 
「もう濡れてるのか」
 
「っ!」
 
 彼女が忠告した通り、フレイアの下の口は物欲しげに蜜を溢していた。それも、彼のスラックスを汚しかねない程。
 
「い、いけません!」
 
「何がいけないんだ」
 
 ロスカは彼女の言葉を無視して、指で蜜を掬っては口の上にある実に触れる。円を描くように、実の周りに指を這わせれば実はすぐに硬くなってしまった。彼にこれ以上寄りかからないように、フレイアは力一杯、彼の肩口に手を置いて堪える。
 
「こんなに濡れてるのが、いけないのか?」
 
「や、あっ、ちが、ああっ」
 
 でも今日はこの間のように、実を可愛がってはくれないようだ。ロスカは指を下の口に含ませてしまった。柔らかな音を立てて、彼の指をすぐに下の口は受け入れた。果肉自体はまだ強張っているが、彼の指の付け根まですんなりと受け入れるのは可能だったらしい。
 
「指に吸い付いてくるな」
 
 前は痛みで感じ得なかった、ロスカの指の存在にフレイアは背中がぞくぞくとした。確かに、彼の指は彼女よりも長く太いが、こんなにも長かったのだろうか。前よりも随分と奥に入り込んでいる気がする、と考えた。はあ、と指の感覚に悩ましげな表情をしたからだろう。ロスカの悪戯心に火が完全に着いた。
 
「は、あっあっ、っ」
 
 ゆっくりと指が上下に動かされ、果肉が擦られる。彼の上に跨っているせいだろうか。フレイアの覚えたての、熱の溜まりどころによく当たるのだ。洋服が濡れてしまうから、と言っていた彼女は何処へ。ロスカの指をびしょ濡れにするくらいに、既に指に夢中になっている。
 耳元で聞こえていた、堪えるような声は次第に口から漏れ出した。
 
「や、あっ指、んんっ、そこっあっ」
 
 ロスカは、フレイアの腰が逃げないように手をそこに添えている。添えているつもりだったのだが、次第にその手にも力が篭った。フレイアが腰を揺らす度に、彼の衣服の下で大きくなっているものに僅かに擦れるのだ。
 自分で心配しておいて、フレイアは彼の衣服を汚していた。それも、無我夢中で。
 指を擦り付けているだけだったのに、ロスカはわざと、指を深く抜き差しした。その抜いた拍子に、どろり、と出きらなかった粘度の高い蜜がこぼれてきた。
 
「あっあ、ごめんなさいっ!」
 
 それはフレイアも気づいたらしく、彼女は擦り付けていた腰を浮かせた。少しだけ白く濁った蜜が、ロスカのスラックスの上に着いてしまった。
 
「ごめんなさい・・・」
 
 達しきれていない熱をこさえたまま、頬を赤らめてフレイアはロスカに謝った。いくら夫婦といえども、彼は国王だ。こんな、国王の服を、と彼女は恥ずかしくなった。
 
「洗えば良い」
 
 動揺するフレイアを抱きしめて、ロスカは彼女を押し倒した。そして、両足を大きく開かれる。たっぷりと濡れたせいで、妙に艶かしく見えるのは何故だろうか。触れられていない実は赤く染まり、ロスカに良からぬ事を唆すようだ。ああ、と彼は何かを思い出して、頭を彼女の足の間に垂らした。
 
「ひゃあ!あっ、ロスカっ」
 
 やっと、名前が呼ばれた。それも、甘く切ない声である。自身の下腹部に熱が更に集まり、ロスカはどうにかなってしまいそうだった。こんなにも、彼女に名前を呼ばれる事で興奮してしまうなんて。
 本当は早く彼女と一つになってしまいたかった。でも、まだもう少し、彼女の甘い声を聞きたかった。だから、ロスカは赤く充血した実に舌を這わせた。
 
「いや、んっ、そんなところ、舐めない、んんっ」
 
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