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第48話 白くて濁ったもの※
しおりを挟むそう、ロスカも昨夜はフレイアに酷い思いをさせてしまった、という申し訳なさがあったのだ。
だから、なるべく優しくしたという気持ちが強かった。
けれども、半分も入っていない状態で堪えきれる程の余裕はない。
つま先や足首、ふくらはぎに口づけを落とすたびに、フレイアの果肉が彼の物を締めるのだ。
もっと奥の方へ、もっと、とロスカが思ってしまうのも無理はない。抗えず、彼は腰を進めてしまった。
果肉を裂くような、押し広げるような痛みが広がる。やはり痛いらしく、当然だろう、フレイアは堪えようと強く枕を握った。けれども、その手はロスカに取られ、背中に回される。
「俺の背中に爪を立ててくれ。本当に嫌なら・・・噛み付いてくれ」
彼の提案に驚いたが、それくらい限界に近いのだろう。
優しさに甘えたいものの、腹の底で熱をこさえたままの彼に無理をさせるのも嫌だった。
ロスカの理性が蝋燭だとしたら、今は既に火が潰える前だ。蝋に塗れて、火が潰えてはどうなるかわからない。
だから、と彼はフレイアに爪を立てながらも、腰を奥まで進めた。
声にならない悲鳴が吐息が下から聞こえる。
声が出ずとも、ロスカはフレイアの苦しみをよく理解した。
鍛えられた背中とはいえ、爪を立てられるのは痛い。奥へ、奥へ、と進める程に強く背中を引っ掻かれた。
「もう、全部だ」
圧迫されるような重さだ。
ようやく入った事で、徐々にフレイアの手から力が抜けていく。浮いていた肩も、そっと、ベッドに下りた。
堪えてくれた彼女に、ロスカは口づけをした。フレイアは息も絶え絶え、と言う所だったが彼の口づけは好きだった。優しく、苦しい気持ちを吸い取ってくれる。そんな口づけだったのだ。
「・・・すまない、フレイア。あまり我慢が出来ない」
もう少し、馴染むまで待ちたかったが彼の蝋燭は大きく崩れてしまった。
火はまだ潰えていないが、ロスカは僅かに残った理性を残したまま、腰を動かし始めた。
鋭い痛みが消えたばかりの背中にまた、痛みが走る。
痛いのはわかっている。わかっているが、彼ももう我慢は出来ない。
熟したとは言えないそこには苦しいものだった。でも、自分の上にいるロスカはもっと苦しそうなのだ。溢れる声は熱っぽく甘く濡れている。
フレイアはおかしくなりそうだった。
自分のせいで、彼が切なそうにしている。彼もまた、先ほどの自分のように甘く苦しいのだろうか、と彼女は考えた。下腹部に熱をこさえて、それを出したくてたまらないのだろうか、と。
でも、冷静に考えている余裕はフレイアからもすぐになくなる。先ほど、ずっと擦られていた果肉の部分に何かが引っ掛かるのだ。
「ああ、ここか」
余裕がないのかと思いきや、冷静にロスカは腰を動かした。そこに自身の杭の先が当たるように。正しくは先ではなく、すぼまった部分らしい。引っ掛かるたびにフレイアの果肉が締まっては、先っぽに吸い付こうとする。
熱を放ち、柔らかくなった筈の実までもが反応し、また硬くなった。
「だめだフレイア、顔を隠すな」
実を親指で緩く押さえつけられる。繋がった部分が揺れる度に、親指と実が擦れ合って、フレイアはめちゃくちゃになりそうだった。
あられもない顔になっている筈だ、と彼女は彼の言葉を無視した。誰がこんな乱れた顔を見たいものか。
「顔を見せてくれ。感じている顔が見たい」
十分に愛でられた実から指が離れる。
ああ、と名残惜しくも、もどかしい熱だけが残されてしまった。
「フレイア」
手を取られ、そのままベッドに縫い付けられる。これではもう顔も隠せない。
「もっと乱れてる顔を見せてくれ」
ロスカは激しく腰を動かし始めた。痛みはありながらも既に弱くなっており、果肉は大きな杭の心地良さを覚え始めている。その証拠に、抽出を繰り返せば繰り返すほど、奥から蜜があふれてくるのだ。あんなにもきつかったのに、今では子種を貰おうと果肉は必死である。
既に果てた筈なのに、フレイアの下腹部ではまた熱がこもり始めた。実に残されたもどかしさも相まって、彼女はねだるように腰を浮かしてしまう。
「フレイア、もう、これ以上煽らないでくれ」
互いに見つめあったままである。
彼の瞳に映る自分はきっと酷く淫らだ。フレイアは羞恥心でいっぱいだったが、それ以上に、先ほどよりも大きく疼く熱を放ちたくてたまらなかった。果肉がその通り、さらに強くロスカの杭へ吸い付く。
「っあ、フレイア」
ぎゅ、と先を強く締め付けられた時だ。
ロスカは愛おしい妻の瞳を見つめながら、欲を放った。同じようにフレイアも、恐ろしくも愛らしい夫の瞳を見たまま、達してしまった。
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