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第46話 指先にねだるもの ※

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 知らない感覚に戸惑い、待って、と言いたくても言えない。
 
ロスカは小さく埋まった実を取り出そうと、唇をつけたまま舌で愛でている。夢中で、という言葉は憚られるがフレイアの制止は無視されている。
 
足の間にいる夫の顔を上げさせようと、髪を緩く引っ張っているのに。

 そんな所舐めても何もない。
そう思っているのはフレイアだけで、当のロスカは埋まっていた実が、次第に固くなっているのを舌で感じていた。
小さな実の下側の方を舌先で舐めては口付けをするように、それを優しく食むのだ。食んでは吸い付かれ、フレイアはどうにかなってしまいそうだった。
 ずっともどかしかった下腹部に血がどんどん集まっていく。何か飛び出したそうに、疼いているのだ。飛び出したいくせに、やけに敏感で、ロスカに実を吸われる度に下腹部のずっと下が閉まった。
 
「濡れてるな」
 
 フレイアには見えていないが、実の下にある小さな口から蜜が溢れている。
ロスカはそれを舌で掬って、フレイアの実に擦り付けた。声が出ていれば唸っていただろう。
彼女は自分でもわかるくらいに、固くなってしまった実を舌で擦られて悶えているのだ。
 
 そんなに舐められてはおかしくなってしまう。
 
 ロスカの髪を強く引っ張っても彼はやめない。
言った事とやっている事が違う!嘘つき!と叫びたいが、彼は何のつもりか、フレイアの下の小さな口に指を挿れたのだ。
 
「痛いか?」
 
 蜜を溢していても、中の果肉はまだ強張ったままである。
フレイアが頷けば、ロスカはまた顔を彼女の足の間に埋めた。埋めて、固くなった実にまた舌を這わしたのだ。
舌全体を主張している実に押し付ければ、僅かに中に挿れた指が締め付けられる。
 
 なるほど、とロスカは今度は実に吸い付いてみた。
すると、ぎゅ、と指が締められたのだ。覚えが良い彼は、実から果汁を取り出すかのように吸い付いた。
指を締め付ける力が強くなったが、同時に髪を引っ張る力も強くなった。
 流石にこれ以上は無理だ、とロスカは顔を上げてフレイアに覆いかぶさった。
 
「そんなに嫌だったか」
 
 肩を上下させながら、彼女は恥ずかしそうに首を横に振った。不本意である。
だが、その仕草にロスカは満足そうに微笑んだ。そして、挿れたままの指の腹を果肉に擦り付けた。
 擦り付けた場所がよかったのか。フレイアは唇を強く噛み締めた。
 
「痛いか?」
 
 違う、と唇が動く。
 
「これが好きなのか?」
 
 ぐ、と果肉越しに実の裏側を指の腹で擦られてしまった。もっと、と果肉が締まったのをロスカは見逃さない。
 
「あまり乱暴にはしたくない。教えてくれ、好きなのか、嫌いなのか」
 
 声が出ないとこうも不便なのか。ロスカに主導権を取られ、フレイアは困り果てた。質問の答えをまつ間も彼は先ほどと同じ場所を指で擦っている。擦られれば擦られるほど、下腹部で疼いてる熱が飛び出そうと暴れていた。でも多分、これがいなくなれば、甘く切ない疼きがなくなるだろう。
 
 フレイアはそう考えて、好き、と答えた。
 
「なら、少し激しくしても?」
 
 触れていた場所よりも少し奥に指が入った。強張っていた筈の果肉はとっくに、柔らかくなっている。
 
「目を瞑らないで、俺の目を見てくれ。その顔を見ていたい」
 
 その顔。フレイアはもう自分の顔が可愛く見えるだとか、見えないだとか考えている余裕はなかった。
言われるがまま、ロスカの緑色の瞳を見つめる。
 瞳の底から、何か揺らめくものが見える。その揺らめきは、彼女が彼の指で悶えれば悶える程、大きく揺らめいていった。
 
 来る。
 
 下腹部から迫り這い上がるような感覚である。
この頃には、彼女の蜜は殆ど水のようにサラサラとしていて、ロスカが指を出し入れする度にびしゃびしゃと音を立てていた。
 
「俺の目を見たままだ。目は瞑るな」
 
 目を見たまま?フレイアは口を閉じることも出来ない程に、悶えている。
自分の顔はきっと、情けなく眉尻を垂らしてているだろう。こんな顔を見られるなんて嫌だ。嫌なのに、彼に逆らう事が出来ない。
 下腹部の熱が破裂する前に、自分が恥ずかしさで爆発しそうだ。
 フレイアはすがるようにロスカの胸元を握った。彼の意地悪な気持ちをくすぐるには十分だったようだ。少しだけ指の出し入れを早くしてみれば、大きく中が波打った。
 
 目を瞑るな、と言われたのにフレイアは下腹部で弾けた熱にやられて目を瞑ってしまった。ロスカに擦られた部分から、全身に熱が甘く鈍く広がっていく。それを堪えるのに精一杯だったのだ。
 
 恐る恐る目を開ければ、ロスカは表情ひとつ変えずに彼女を見つめていた。思わず、ごめんなさい、とフレイアは謝った。
 
「次は堪えてもらおう」
 
 どこか意地悪に笑いながらも、息を整えるフレイアに落とす口づけは優しいものであった。
 
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