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ぼぅっとした思考が少しずつ覚醒していく感覚に自分がいままで眠っていたことを気付かされる。
「んぅ・・・?あれ・・・おれ、寝ちゃっ、てた?」
「あ、起きたんだ。うん、ぐっすりだったよ~」
俺の独り言に思いの外すぐ近くから返事が返ってきたことに驚いてそちらを見ると、寝転がっている俺の左脇側から嬉しそうに俺の顔を覗き込んでいる椿と目が合った。
「あーー、ごめん。俺疲れてたのかな、早く家帰って休むね・・・漫画は、」
起き上がろうとしてようやく自分の体の違和感に気がついた。
「・・・え?なん、で、おれ・・・縛られてるの、?」
俺の両腕が、頭上でひと纏めにされてネクタイでぐるぐると固定されている。
それはベッドのパイプも一緒に巻きつけてあって力を入れても全く外れてくれなかった。
え、てかなんで俺ベッドで寝てるの?さっきまで居たのフローリングの床だったよね???
全く状況が飲み込めずにキョドる俺の耳にクスクスと笑い声が聞こえた。
「もう歩ったら、そんなにオドオドしちゃって可愛い」
「えっ、と・・・?これ、椿がやったの?」
「うん、そうだよ~」
もしかして俺嫌がらせされた?
「・・・・解いてもらっていい?」
「どうして?」
「いや、どうしてって、・・・帰れないから??」
相変わらず状況が全く飲み込めないんだけど誰か説明して!?
それになんだか、先程から俺の顔を覗き込んでる椿の笑顔がコワイんだけど・・・こんな表情の椿見るの初めてなんだけど!?!?
「帰る必要ないよ、だって歩は今日からここで暮らすんだから」
「・・・・・・・・はい?」
「その為に俺、一生懸命部屋探したんだよ。歩との生活に妥協はしたくなかったからすっごく頑張ってここ見つけたんだ。ほめてほめて?」
んー・・・椿と言葉のキャッチボールをするどころかドッジボールで魔球を投げられてる気がするけど俺間違ってないよね?
「ごめん、話が見えないんだけど・・・俺たちさっき別れたよね?」
「別れてないよ?」
「はぁぁ?!」
いやいやいや、俺別れてって言ったよね!?椿もそっかって言ってたし、そもそも椿浮気しまくってたし!!
「椿めちゃくちゃ浮気しまくってたじゃん・・・!なのに、今更こんなことして意味わからないんだけど!!」
「俺が浮気してるってわかってからずっとそのことで頭いっぱいだったんだよね?」
「っそうだよ!!だからもう耐えきれなくて別れるって、っ」
「あぁ、もう最高に可愛い・・・」
うっとりとしたように呟きながら俺の頬に長く綺麗な指を這わせる・・・その表情は見たこともないような恍惚とした笑みを浮かべていて、俺はつい言葉が詰まってしまった。
頬を撫でていた指が少しずつ下に降りてきて親指で唇の感触を確かめるようにゆっくり撫でられる。
「俺さ、歩と付き合いだしてからずっと、気に食わないことがあったんだよね」
「きに、くわない・・・こ、と?」
「うん。それはね、一瞬でも歩が俺以外のことを考えることだよ」
俺の目の前で笑顔を浮かべる椿がまるで知らない人みたいで凄く恐いのにどうしてだか目がそらせない。
「俺は24時間歩の事で頭がいっぱいなのに歩ったらいっつも色々なこと考えてるんだもん。すごく嫉妬しちゃうよ。」
だからさ。
「歩が俺のことだけ考えるように他の子に、ちょっかいかけてたんだ。だからね、今すっごく幸せな気持ちなんだよ。ようやく歩が俺だけのものになったんだから」
「何言ってっはぅ・・・んぁっ」
やわやわと唇を撫でていた指を隙間から滑り込まされ、今度は口内を刺激される。
「勿論、俺もずっと歩のこと見てたから歩の取る行動は大体予想できたんだけどね。だから、もうそろそろじゃないかと思ってここを用意したんだよ」
「ふぇ・・?」
「ほらさっき言ったでしょ?タイミング的にちょうどいい、って。歩絶対別れ話した後俺から逃げるの分かってたからね。折角俺のことだけ考えてくれるようになったんだから逃がすわけ無いでしょ」
「んぁ、ふ・・・あぁ、ん・・・」
クチュリ…と指で口内を刺激されるとまるで舌で蹂躙されているような錯覚に陥りまともに頭が働かなくなる。
「あぁ、そんなにトロンとした顔しちゃって、歩はキスで口内めちゃくちゃに犯されるの好きだもんね。はぁぁ、俺ずっとこの時を心待ちにしてた、もう絶対に離さない。これからはずっとここで一緒だよ。これからは俺が養ってあげるし全部お世話してあげる」
ゆっくりと顔を近づけてきた椿は俺の耳元で甘い麻薬のような吐息を落としてくる。
「僕をこんなに夢中にさせてるんだから、歩がどんなに別れたいって行っても一生逃してなんてあげないよ・・・?」
「んぅ・・・?あれ・・・おれ、寝ちゃっ、てた?」
「あ、起きたんだ。うん、ぐっすりだったよ~」
俺の独り言に思いの外すぐ近くから返事が返ってきたことに驚いてそちらを見ると、寝転がっている俺の左脇側から嬉しそうに俺の顔を覗き込んでいる椿と目が合った。
「あーー、ごめん。俺疲れてたのかな、早く家帰って休むね・・・漫画は、」
起き上がろうとしてようやく自分の体の違和感に気がついた。
「・・・え?なん、で、おれ・・・縛られてるの、?」
俺の両腕が、頭上でひと纏めにされてネクタイでぐるぐると固定されている。
それはベッドのパイプも一緒に巻きつけてあって力を入れても全く外れてくれなかった。
え、てかなんで俺ベッドで寝てるの?さっきまで居たのフローリングの床だったよね???
全く状況が飲み込めずにキョドる俺の耳にクスクスと笑い声が聞こえた。
「もう歩ったら、そんなにオドオドしちゃって可愛い」
「えっ、と・・・?これ、椿がやったの?」
「うん、そうだよ~」
もしかして俺嫌がらせされた?
「・・・・解いてもらっていい?」
「どうして?」
「いや、どうしてって、・・・帰れないから??」
相変わらず状況が全く飲み込めないんだけど誰か説明して!?
それになんだか、先程から俺の顔を覗き込んでる椿の笑顔がコワイんだけど・・・こんな表情の椿見るの初めてなんだけど!?!?
「帰る必要ないよ、だって歩は今日からここで暮らすんだから」
「・・・・・・・・はい?」
「その為に俺、一生懸命部屋探したんだよ。歩との生活に妥協はしたくなかったからすっごく頑張ってここ見つけたんだ。ほめてほめて?」
んー・・・椿と言葉のキャッチボールをするどころかドッジボールで魔球を投げられてる気がするけど俺間違ってないよね?
「ごめん、話が見えないんだけど・・・俺たちさっき別れたよね?」
「別れてないよ?」
「はぁぁ?!」
いやいやいや、俺別れてって言ったよね!?椿もそっかって言ってたし、そもそも椿浮気しまくってたし!!
「椿めちゃくちゃ浮気しまくってたじゃん・・・!なのに、今更こんなことして意味わからないんだけど!!」
「俺が浮気してるってわかってからずっとそのことで頭いっぱいだったんだよね?」
「っそうだよ!!だからもう耐えきれなくて別れるって、っ」
「あぁ、もう最高に可愛い・・・」
うっとりとしたように呟きながら俺の頬に長く綺麗な指を這わせる・・・その表情は見たこともないような恍惚とした笑みを浮かべていて、俺はつい言葉が詰まってしまった。
頬を撫でていた指が少しずつ下に降りてきて親指で唇の感触を確かめるようにゆっくり撫でられる。
「俺さ、歩と付き合いだしてからずっと、気に食わないことがあったんだよね」
「きに、くわない・・・こ、と?」
「うん。それはね、一瞬でも歩が俺以外のことを考えることだよ」
俺の目の前で笑顔を浮かべる椿がまるで知らない人みたいで凄く恐いのにどうしてだか目がそらせない。
「俺は24時間歩の事で頭がいっぱいなのに歩ったらいっつも色々なこと考えてるんだもん。すごく嫉妬しちゃうよ。」
だからさ。
「歩が俺のことだけ考えるように他の子に、ちょっかいかけてたんだ。だからね、今すっごく幸せな気持ちなんだよ。ようやく歩が俺だけのものになったんだから」
「何言ってっはぅ・・・んぁっ」
やわやわと唇を撫でていた指を隙間から滑り込まされ、今度は口内を刺激される。
「勿論、俺もずっと歩のこと見てたから歩の取る行動は大体予想できたんだけどね。だから、もうそろそろじゃないかと思ってここを用意したんだよ」
「ふぇ・・?」
「ほらさっき言ったでしょ?タイミング的にちょうどいい、って。歩絶対別れ話した後俺から逃げるの分かってたからね。折角俺のことだけ考えてくれるようになったんだから逃がすわけ無いでしょ」
「んぁ、ふ・・・あぁ、ん・・・」
クチュリ…と指で口内を刺激されるとまるで舌で蹂躙されているような錯覚に陥りまともに頭が働かなくなる。
「あぁ、そんなにトロンとした顔しちゃって、歩はキスで口内めちゃくちゃに犯されるの好きだもんね。はぁぁ、俺ずっとこの時を心待ちにしてた、もう絶対に離さない。これからはずっとここで一緒だよ。これからは俺が養ってあげるし全部お世話してあげる」
ゆっくりと顔を近づけてきた椿は俺の耳元で甘い麻薬のような吐息を落としてくる。
「僕をこんなに夢中にさせてるんだから、歩がどんなに別れたいって行っても一生逃してなんてあげないよ・・・?」
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