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続・トラウマ話

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それからというもの女の子のような格好をすることはなくなり、少しづつ”姉妹”と呼ばれることも減っていったのだが…、




ここでもう一つ、僕のトラウマ話をしよう。

え、もういいって?いや、ちゃんと聞いてもらわないと話が進まないからさ、少しだけだからお願いします!


小学生に上がった僕は勿論他の男の子と同じようなズボンにシャツ。
もともと女の子の格好はしていたけど、言葉遣いとか内側的なところはちゃんと男の子だから違和感もなく、ちゃんと馴染んでる筈だった。

なのに!!!やたら可愛いだの男っぽくない女みたいだのからかわれたんだよ!!!!!!!
中にはズボンを脱がそうとしてくる悪ガキもいて、僕は自分の身を守るために護身術を習うハメになった…、運動苦手なのに…。

高学年に上がる頃にはそんな子供じみたイジメまがいのからかいは無くなったが、代わりにやたら男子からのボディタッチが増えた。
そして女子からは「紗地くんって男の子って感じしないから安心するよねー」と威力抜群の爆弾を投下された…。



まぁ、僕の初恋相手が男だったせいで自分の性癖がアブノーマルだということも自覚しているが、女子からこの発言されるって男としたら切なさしか無いでしょ…。




そうして自分の容姿が中性的だと自覚した6年間を終え、中学に上がると俺を見る好奇な目は更に勢いを増した。
セックスという単語に過剰に反応するお年頃の男子にとって、『女の子よりも可愛い男の子』の僕は丁度いい、格好の的になったってわけ。迷惑な話だよ。



学ラン姿の僕を見て「禁欲的でなんかいやらしいよなぁ」とか言われたり、「女の子が男装したら咲良みたいになるんだろうな」なんて言われたりもした。
直接的な箇所にボディタッチをしようとする奴や、キスをせがんでくる奴もいて、日々何とか受け流して学校生活を送っていたのだが、ある日クラスメイトの男子に保健室のベッドに押し倒された。

あと少しのところで保険医の先生が帰ってきたので事なきを得たのだが、すっかり自分の容姿を他人に見られることに恐怖を感じるようになってしまった。


これがもう一つのトラウマ。



それからどうしたかというと、中学校には行かずに父親の知り合いの人に家庭教師をしてもらって勉強をした。
そして僕は前髪を伸ばし、ごつい伊達メガネをかけて常に俯いて過ごすようになった。
すっかりモサ男になった僕に母は嘆いていたが、姉たちは何か悟った風だった(2人も苦労してるんだろうなぁ…)
残念ながら身長は平均やや下で止まってしまい、筋肉もつきにくい体質らしく15歳になっても中性的な印象は変わらなかったが、逆に存在感を消しやすいとポジティブに捉えることにしよう。



高校に進学と言う話になった時、知り合いのいる学校に行くのは少し怖くて、隣町にある全寮制の男子校に通うことにした。
そこは周辺でも群を抜く進学校で、この辺りの悪ガキで合格出来る奴は中々居ないだろうという家庭教師の勧めだったのだが、自分が受からないと話にならない!
猛勉強の末、見事『アシュトン学園』に合格した僕は去年の4月から寮に入り学園生活を送っている。


隣町ということもあり以前の僕のことを知ってる人は居ないし、すっかりモサ男スタイルが板についた僕には誰も色目を使わない、ダサいとイジメられることもなく、ゆったりとしたスクールライフを満喫していたのだが、一つだけ予定外なことが起きていた。


初恋の相手「左京蒼葉」が同じ学校に通っていたんだ…!

入学してしばらく経った頃に気付いたんだけど、僕の2つ隣のクラスに彼はいた。
記憶の中の少年はすっかりイケメンに成長していて、すれ違う人皆が振り返るような魅力的なオーラを纏っていた。最初は名前が同じだけの別人かな?とも思っていたんだけど、唯一あの頃と変わっていなかった笑顔を偶然見かけて確信した。

そして、確信したのと同時に、とっくの昔に散らしたはずの恋心がずっと僕の心のなかに残っていたことを思い知らされた…。

(あんなに格好良くなってるのに笑顔は昔のままとか、ズルいよー!!!)


意識せずにずるずる引きずった初恋を自覚したのはいいけれど、向こうが僕のことを覚えている確証もないし、何より彼にとって僕は『女の子の格好をした変なやつ』という認識だろうから話しかけるなんてとても出来ない…!
廊下ですれ違うことも何度かあったけれど、モサ男の僕が彼の視界に入るわけもなく、遠くから見つめるだけで1年目の高校生活が終わった。




そうして今日から2年が始まる。
僕はクラス替えの表がいい結果でありますようにと祈ってから寮を出た。
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