正しい魔導書の使い方

嫁葉羽華流

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 夜は明けた。
 あれから俺と木之絵馬は一部始終を見られていたと思う緑川をどうするか話し合った。
 木之絵馬は断然殺す方を推薦したが、俺が断固拒否した。
 というか、クラスメイトを殺すとか、どんな世界の法律だよ。
 結局緑川には俺が何とかして説得してあのことは黙ってもらうように手を打つことにした。
 本居島先生……いや、本居島、と言っておこうか。あんな奴、もう先生じゃない。
 先生と言うには、未熟すぎたし、とっくに狂いすぎてたんだ。
 本居島はその手の専門機関に預けられることになった。木之絵馬が責任を持って預けると言っていたので間違いはないだろう。
 そうそう。その木之絵馬なんだけど……。
「何でお前右腕戻ってるんだよ」
 翌日結局は遅くなったので木之絵馬と俺と緑川、それと魔人は反対したが、レイも含めて俺の家に泊まることになった。
 そして翌朝、日がちょうど出ていたとき。木之絵馬は起きていた。その時、木之絵馬の右腕がぴったりくっついていた。お前はトカゲかとつっこんだらグーで殴られた。
 誰がは虫類だと殴りながら木之絵馬は言った。
「私は、人造人間だ」
 ほむんくるす?
 って、よくマンガとかで出てくる人が作った人か?
「まぁ、有り体に言えばそうなるな。私は今では十七歳程度の外見ではあるが、実際には生まれて……いや、作られてから三年ほどしか経ってない」
 なるほど。実質三歳か。年齢をごまかすんじゃねぇよ。
「……予備知識の中に女性に年を聞くのは反則技ではなかったか?」
「それを言われると弱いな」
「まぁ、それはいいとして……人造人間と普通の人間と違うところは再生力だ」
 ……やっぱりトカゲじゃないか。
「違うと言ってるだろう。殴るぞ」
 はいはい。んで、それだけなのか? ていうか、普通の人間とはどう違うんだ?
「普通の人間と違うところは……そうだな。私だけかもしれないが、全ての魔導書を開くことができるし、契約者になることができる。実質一冊だけだが」
 ほう。じゃあ次の質問。あの《腕》は何なんだよ?
「あれは知り合いに無理矢理押しつけられたものだ。護身用と言っていたが」
 さいで。
 あんなものが護身用だったらたまったもんじゃねぇよ。
「それと……お前に言われたことは何とか言っておいたが……無理があるんじゃないのか? まぁ、この先便利と言えば便利だが……」
「まぁ、俺からのごほうびとお詫びって所だよ」
 今回頑張った奴に対するごほうびでもあり、俺にとってのやっかい事を増やすことになってしまった。そいつは今ぐっすりと寝ているが。
「自分に対してお詫びを入れるとは……生粋のマゾだな」
「お前実質三歳のくせしてなんて言葉知ってるんだ! ホントに三歳か?」
「もういっぺん言ってみろ。殴るぞ」
「すでに殴ってる状態で言ってるんじゃねぇよ」
 何とか木之絵馬のグーを押さえる。《腕》が復活して無くて良かった。
「ああ、それと書類を作る際、名前が必要みたいだ。どうするんだ? 名前」
「いや、第一印象で決めてたものがあるんだ」
「間違ってもドクロなんてつけるんじゃないぞ」
「誰がつけるか」
 まぁ、あいつが起きたら言ってやるとするか。
 ……あの寝ぼすけめ。叩いて起こしてやろうか。
 そうそう。遅くなったけど、あの腹黒偽メイド……もとい、レイはどうなるのか。
 木之絵馬に聞いたら本来の契約者である本居島が死ぬまでこの世界にいるらしい。
 もしくは本居島を殺して、木之絵馬が契約者になるって話もあるが、それは無理なようだ。
 木之絵馬はさすがにアレは遠慮したいみたいだ。真っ赤なものを見ると思い出すみたいで。俺は当然無理だが。あの赤いのが目にこびりついて離れない。一種のトラウマだ。
 おっと。そろそろ学校に行く時間だ。
 夜も明けたし、学校に行かなくちゃならないな。緑川も起こして、あいつも起こさないとな。
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