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第壱章 旗の交わり
第捌話 歩く交渉
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____未来のドキュメンタリー番組
2022年。日本は大日本帝国と名乗る当時としては謎の勢力と接触。現在は大和日本連合の構成国の一つとして存在している。交渉を開始した。
当初接触したヨコハマリン号と国土交通省との貴重なやり取りが残されている。
ヨコハマリン号:こちらヨコハマリン号。どうぞ。
担当:こちら国土交通省沖ノ鳥島計画総本部。どうぞ。
ヨコハマリン号:沖ノ鳥島南方沖に新たな島が確認された。どうぞ。
担当:海図に載っていない新島ということか。どうぞ。
ヨコハマリン号:そうだ。海図に載っていない。しかし新島としては非常に大きい。幅目算30キロメートル以上と推計される。どうぞ。
担当:報告のため、画像を本部に送り出すように。どうぞ。
ヨコハマリン号:了解。
_________________________________
「つまり、博士はこの島が出現した理由はしらないし、博士から見れば、我々が突然出現したように見えるということですか」
「はい。私たちからはそういう風に思えます」
沖ノ鳥島観測所で彼らは対面した。船に乗せるというのは危険だし、東小島北小島ともに低いので危険だからと、観測所が対話の場所として選ばれた。
博士と呼ばれている石橋としては非常に困ったものである。沖ノ鳥島のために来たのに過去の人物としか思えない人物と会ってしまったからだ。
(こういうのは蓬《よもぎ》のやつだと思うんだよな。)
石橋の専攻は土木。蓬の専攻は日本史で主に1918~1925年だ。まるで過去の遺物のような恰好をしているから、いたずらかをあいつなら矛盾を探して確認できるはずだ。
(いや。こんなところでの蜃気楼は考えられないし、集団催眠も考えることはできない。となるとこれは現実として認識したほうが良さそうだ」
「博士、考えが漏れてますが」
「おっと。それはすまんね」
「博士。ともかく、我々からすればその日本国という存在の確証が欲しいのです。便宜上日本国としていますが、皇国でもないのに日本を名乗られるというのは我慢がままならないのです」
「それなら、例えば何を提示すればいい」
今回に幸運だったのは石原がここにきているということだ。ほかの軍人だったら、まず石橋を殴っていたことだろう。
「私をそちらに連れて行ってくれればいいんですよ」
「はあ?」
石原の主張は日本本国に連れて行けというものだった。まあ、確かにここで色々見せても確証には繋がらないからそのような意見はわかりやすい。
「しかし、今日であったばかりなのですから国交も開かれてませんし、上陸は難しいかと」
「でしたら、私が呼んできますよ。多分3日後くらいにまたここに来ると思うので、待っててくださいね。私のいる占守島については鎮守府脇の港の使用許可を出しておきますので。それではまた!!」
「あっちょっと」
石原には石橋の言っていることは聞こえなかったようである。
石原は大海原を悠々と泳いでゆく。
ヨコハマリン号からは鎮守府の電光掲示板の中身は見えないも、その寂しさが見えた。
「私は一体どうすれば」
ヨコハマリン号の中で最も社会的地位が高いからというだけで話し合いに
立たされていた石橋は途方にくれた。
2022年。日本は大日本帝国と名乗る当時としては謎の勢力と接触。現在は大和日本連合の構成国の一つとして存在している。交渉を開始した。
当初接触したヨコハマリン号と国土交通省との貴重なやり取りが残されている。
ヨコハマリン号:こちらヨコハマリン号。どうぞ。
担当:こちら国土交通省沖ノ鳥島計画総本部。どうぞ。
ヨコハマリン号:沖ノ鳥島南方沖に新たな島が確認された。どうぞ。
担当:海図に載っていない新島ということか。どうぞ。
ヨコハマリン号:そうだ。海図に載っていない。しかし新島としては非常に大きい。幅目算30キロメートル以上と推計される。どうぞ。
担当:報告のため、画像を本部に送り出すように。どうぞ。
ヨコハマリン号:了解。
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「つまり、博士はこの島が出現した理由はしらないし、博士から見れば、我々が突然出現したように見えるということですか」
「はい。私たちからはそういう風に思えます」
沖ノ鳥島観測所で彼らは対面した。船に乗せるというのは危険だし、東小島北小島ともに低いので危険だからと、観測所が対話の場所として選ばれた。
博士と呼ばれている石橋としては非常に困ったものである。沖ノ鳥島のために来たのに過去の人物としか思えない人物と会ってしまったからだ。
(こういうのは蓬《よもぎ》のやつだと思うんだよな。)
石橋の専攻は土木。蓬の専攻は日本史で主に1918~1925年だ。まるで過去の遺物のような恰好をしているから、いたずらかをあいつなら矛盾を探して確認できるはずだ。
(いや。こんなところでの蜃気楼は考えられないし、集団催眠も考えることはできない。となるとこれは現実として認識したほうが良さそうだ」
「博士、考えが漏れてますが」
「おっと。それはすまんね」
「博士。ともかく、我々からすればその日本国という存在の確証が欲しいのです。便宜上日本国としていますが、皇国でもないのに日本を名乗られるというのは我慢がままならないのです」
「それなら、例えば何を提示すればいい」
今回に幸運だったのは石原がここにきているということだ。ほかの軍人だったら、まず石橋を殴っていたことだろう。
「私をそちらに連れて行ってくれればいいんですよ」
「はあ?」
石原の主張は日本本国に連れて行けというものだった。まあ、確かにここで色々見せても確証には繋がらないからそのような意見はわかりやすい。
「しかし、今日であったばかりなのですから国交も開かれてませんし、上陸は難しいかと」
「でしたら、私が呼んできますよ。多分3日後くらいにまたここに来ると思うので、待っててくださいね。私のいる占守島については鎮守府脇の港の使用許可を出しておきますので。それではまた!!」
「あっちょっと」
石原には石橋の言っていることは聞こえなかったようである。
石原は大海原を悠々と泳いでゆく。
ヨコハマリン号からは鎮守府の電光掲示板の中身は見えないも、その寂しさが見えた。
「私は一体どうすれば」
ヨコハマリン号の中で最も社会的地位が高いからというだけで話し合いに
立たされていた石橋は途方にくれた。
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