大和日本連合

秋田川幸政

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第壱章 旗の交わり

第質話 沖ノ鳥島遭遇

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『Prime Minister Gas, does this mean that you will reduce the amount of wheat imported in the future? This is a serious problem for our country.(瓦斯総理、ということは今後は小麦の輸入量をへらすということですか?我が国としては非常に困ります。)』
「いえ、帰国の農業機械は非常に安いですから、当面は国として輸入することで小麦輸入額を補填するつもりですから、大丈夫ですよ」
『Um‥‥(うーん‥‥)』
 
 プツッ、ツーツーツー。現在おかけになっているの電話番号は現在使用されておりません。海底ケーブルが切断されている可能性があります。テロ行為などが考えられますので注意をお願いします。The number you are calling is currently not in use. There is a possibility that the submarine cable has been cut. Please be aware of possible terrorist acts.
 電話を切れた。いや、切られた!かもしれない。

「狩野くん、これはそういうことなのか」
「いえ、1通訳者の私には分かりませんが、繋がらなくなっているというのが異常事態ということはわかります」

 電話会談は主に機密のため、海底ケーブルを通して行う。海底ケーブルは水圧では潰れないし、水生生物により切られるということもない。それに、地上でも切ることは困難だ。となるとあり得るのはここまで繋ぐ経路の陸にあるものが切られたということ。大変なテロ行為が行われたということになる。それが日本側なのか、アメリカ側なのかはわからない。もし日本側だったとしたら、国防に関わる重大問題だ。なんにせよ、何らかの対応を打ち出さなければならない。
 彼は部屋を出て、待機していた秘書官に伝える。

「緊急閣議だ。それもウイルスではなく、海底ケーブルの話だ。急ぐように」
「了解しました」

 彼はあと、復旧したら伝えるようにと言い残して閣議室へと、向かった。

 閣議室は大荒れとなった。当初の緊急閣議の内容は途中から無視され、防衛相が伝えてくる自衛隊の電波で確認し、逐次伝えてくる情報に錯乱した。
 そんな中、国土交通相から、驚嘆すべき事態が伝えられた。

「皆さん、どうやら沖ノ鳥島沖に島が確認されたとのこと」

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 現れた謎の島は占守島。しかしその出現は双方にとっても唐突の謎の島の出現である。

「こうしちゃおられん、あの船に臨検しにいくぞ!市篠田!鎮守府に繋げろ!鎮守府の連中だって行くはずだろ?便乗するぞ!」
「隊長、失礼ですが、外を見てください。もう連中はいってますよ」
「え?」

 唐突の戦友__占守島鎮守府の石原提督__の裏切りに彼は愕然とした。彼は仲間意識が高いから一緒に連れて行ってくれると甘い考えと自認しながらも思っていたのだ。


 占守島鎮守府の石原幹二《いしはらかんじ》提督は超小型艦艇(ほとんど武装漁船)に乗り、急いで突如出現した島の方向へと進んでいた。
 この自体に対する石原の対応は迅速出会った。視認するやいなや、接触を試みようとし、居合わせた職員に光信号で臨検の意思を伝えるようにと、指示したのである。モールス信号と民間人の漁船向けの巨大電光掲示板で『臨検』と伝えるようにとした。

(しっかしあの船はでかい。ここじゃ俺は見たことねえな)

 仲国の方では彼は列強の船を幾度か目にしたのであの船、ヨコハマリン号ほどの規模の船を見たことがあるかもしれない。
 しかしヨコハマリン号には武装が見えない。彼はそれを不審に思う。

「一応注意しておけ。もしかしたら仲国の手のものかもしれない」

 さすがにないとは思うが、可能性はある。眠れる象の仲国のことだ。びっくり箱の宝物庫から何か引っ張り出してきたかも知れない。

(あゝ)

 毎日の中にこの世界に染まってしまったと思える瞬間がある。そのたびに何か、思うことが浮かんでは消え、浮かんでは消えと繰り返す。

「提督、向こうの船が何か言っています」
「そうか。エンジンを低出力にして音を低くしろ」

『我々は日本国所属のヨコハマリン号です。貴船の所属を答えてください。』

 石原提督の特技の一つに大声がある。

「我々は大日本帝国所属の酒楼号だ。」

 彼らは海上でいくつかの会話をすると接触した。後にこの接触を人々は
 
 沖ノ鳥島遭遇

と呼んだ。
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