大和日本連合

秋田川幸政

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第壱章 旗の交わり

第陸話 日本、転移

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   流通学者 日本流通大学教授 柳津宇 陀緒
『2020年にアジア、今はもう国自体がないので歴史のみにでる過去の国と化しましたが、あの国発祥と言われるウイルスの蔓延が今の日本の運命を変えたといっても過言ではありません。何せそうでなければ日本で消費される製品の多くがこの転移により不足してしまうという事態が想定されますから。素人でも容易に想像がつくと思います』

   資源学者 東北資源総合大学 名誉教授 秋道石諭
『もしウイルスが世界に広まらずに2019年のように今も暮らしていたら転移時の混乱は私たちが経験したものよりひどいと思われます。おそらく転移時の石油生産量は使用量全体の0.29%ほどにとどまっていると予想されるので備蓄量と合算しても原油採掘は間に合わなかったでしょう』

   転移時に内閣総理大臣を務めていた瓦斯(ガス)秀典元総理
『もし、前任の故十志位元総理がウイルスによる中東での石油生産の停止を視野に動いてくれていなければあのときには想像を絶する混乱が起きていたのではないかと思います。十志位元総理でも、さすがにウイルスを見据えた国内の資源開発はウイルスではなく、転移に役立つのは予想できなかったでしょう』


















 アジアから広まった1つのウイルスの世界的蔓延は世界の1つの流れを破壊し、世界に1つの流れを作った。分散(生産)から自国(生産)へ。世界はグローバルを諦め、内部で完結する社会を目指すように走り始めたのである。
 その中で日本は何をしたのかというと、石油の大量備蓄の開始と資源開発の大胆な国庫補助政策である。その補助率驚異の98%である。もともと日本は資源の博物館(豊富というわけではない)だから多くの場所で掘削をすることができる。これにより、日本のエネルギー資源の採掘量は大幅に増え、エネルギー自給率は3%まで増加。まだまだ少ないが、何とか最低限の供給は可能となった。

 そして日本の周りの世界は一変した。日本転移災害、略称転災である。

「これは一体どういうことだ」
 
 沖の鳥島で北小島と東小島の補強作業と、2010年からの民首党《みんしゅとう》政権下から推し進めてきた沖ノ鳥島有人島化計画の要たる資材を積んだヨコハマリン号とともに沖ノ鳥島に来たかと思えば沖ノ鳥島の南の方に島々が見えている。
 彼は何回も目をこすった。しかし何度も何度も目に映るのは見覚えのない島々と沖ノ鳥島である。

「石橋教授、あの島わかります?」

 研究員として一緒に来ている与路場《よろば》君が投げかけてくる。無理もない。私も分からないのだからまだまだ若輩者の彼に分かるはずがない。
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