大和日本連合

秋田川幸政

文字の大きさ
上 下
2 / 13
第壱章 旗の交わり

第弐話 占守島の異変と日常

しおりを挟む
 扉がガンガンとたたかれているな。せっかく気持ちよく寝ていたのに。



「正孔中尉、正孔中尉!緊急電報です!」

「何、しばし待て」



 緊急電報なら急いで受け取らなくては。いそいそと着替える中、はたと気付く。



(一昨日の‘’アレ‘’関連のことかな。だとしたら現地に行くのはやだな。キヨさんと会えなくなるし)



 しかし電報配達担当者はいつになく焦っている。まあ緊急電報だしな。



「はいよっと」



 ドアを開けて担当者と対面する。走ってきたのか少し息が上がっている。



「正孔中尉、電報です。中身と発令下は絶対に明かさないように第一種守秘命令が貴官には届けられています。絶対に明かさないようにしてください。今言いましたからね。私に迷惑はかけないでくださいよ。本当に今言いましたからね」



 緊迫感持ちつつ早口で行ってきた。緊急電報といえどそこまで機密の内容というわけではないはずだ。それなのにこんなに注意してくるということは非常に機密性の高い命令ということだ。



「お、おう」

 えっと何々、北方方面軍統合参謀本部発……参謀本部!?参謀本部ってあの参謀本部か!?え、俺左遷されるの。いやでも特に何かをしたということではないし、電報担当者は守秘義務が有るといっていたし、きっと重大な移動とかそういの何だろうな。

 内容の確認のためにビリビリと封を開ける。



_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 北方方面軍統合参謀本部

 正孔幸一中尉に占守島守備隊への移動を命じる。これに対する守秘義務をかす。出航日は参日後とする。

 瀬戸日史北方方面軍統合参謀本部人事局長

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



(え、どういうこと?)



 占守島の方には特に何も無いからただの後方への配置転換なだけのはずだし、何か資源が見つかって重要地域になったわけでもないし。一体何が起きたんだろうか。ともかく命令には従わないと。

 はあ。キヨさんと会えなくなるのか。寂しくなるな。出立の船は参日後とあるからそれまでにキヨさんといっぱい話しておくか。



「キヨさんおはようございます。一昨日はどうでしたか?」

「幸一さんおはようございます。一昨日は結局父が吐いてそのまま玄関で寝てしまったので母さんと一緒に寝室まで運びましたよ」



 その後、キヨさんと楽しく歓談した。



「そういえば今日は軍服を着ていませんけれど今日休みでしたっけ」

「ああ、今日は休みなんですよ。考えはあっていますよ。キヨさん」



 少し離れたところから同僚の吉家が走ってきて手前で止った。



「幸一、将軍閣下から執務室に来るように言われているぞ。おまえ、何かしたのか滅多に人を呼ばない閣下から呼ばれるなんて」



 ああ、移動のことかな。



「大丈夫大丈夫。何もしていないぞ。キヨさんも安心してください」



 キヨさんが不安げだ。



「それでは私は各課の執務室に向かいます。吉家、ありがとう。キヨさん、ではまた」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

わがまま令嬢の末路

遺灰
ファンタジー
清く正しく美しく、頑張って生きた先に待っていたのは断頭台でした。 悪役令嬢として死んだ私は、今度は自分勝手に我がままに生きると決めた。我慢なんてしないし、欲しいものは必ず手に入れてみせる。 あの薄暗い牢獄で夢見た未来も、あの子も必ずこの手にーーー。 *** これは悪役令嬢が人生をやり直すチャンスを手に入れ、自由を目指して生きる物語。彼女が辿り着くのは、地獄か天国か。例えどんな結末を迎えようとも、それを決めるのは彼女自身だ。 (※内容は小説家になろうに投稿されているものと同一)

鉄格子のゆりかご

永久(時永)めぐる
恋愛
下働きとして雇われた千代は、座敷牢の主である朝霧の世話を任される。 お互いを気遣い合う穏やかな日々。 それはずっと続くと思っていたのに……。  ※五話完結。 ※2015年8月に発行した同人誌に収録した短編を加筆修正のうえ投稿しました。 ※小説家になろうさん、魔法のiらんどさんにも投稿しています。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...