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第三章

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「サワ!」
 私が走っていると、後ろからリーヴェの呼び声が聞こえる。
「あっ、聞こえた?」
「えぇ、明らかに私たち以外の人の声だったわ、どういう事かしら」
 それほど遠くからの声ではなかった。そろそろ到着するはずだ。私は走るのをやめて、警戒しながら歩く。リーヴェも私と同じように警戒を始めた。
「ここの辺りなの?」
「たぶんだけど、あっ」
 警戒を始めて、少し進んだところに、冒険者が何人か剣を構えている。何かを睨みつけて、何かと対峙している様だ。
「あれって」
 ゴブリンが複数いる。その中心に普通のゴブリンより大きいゴブリン。
「ホブゴブリンね」
 リーヴェの言葉に私は疑問を投げかける。
「ゴブリンより上位って感じ?」
「そうよ」
 やっぱり、私が倒した魔王軍のゴブリンの親玉だろうか。報告を受けて仕返しに来たという事かもしれない。いや、かもしれないではなく、確実にそうなんだろう。
「はぁ」
 私は大きめにため息をつく。やっぱりこういう事になってしまうのか。ホブゴブリンはこん棒の様な物を振り回して、怒り狂っている様に見える。仲間をやられたら、そうなるよな。まぁ、自業自得だけど、あっちにしてみたら、理不尽な暴力に晒されたと思っているかもしれない。
「やっぱり、私の予想通りね」
 少し得意げにリーヴェが言った。
「何が?」
「スローライフとか無理よって言ったでしょ?」
 確かに予想通りかもしれない。こうなってしまったら、魔王軍と言っている以上、組織立ってるし、やつらも報告はしてるだろう。魔王軍に目をつけられたという事だ。
「いや、まだあきらめてないよ、スローライフ、のんびり暮らす」
 私が苦し紛れにそう言うと、リーヴェが「そう、頑張って」とニヤリと笑う。そんな事をしているうちに、ゴブリンたちを囲んでいた冒険者たちが劣勢になっていく。
「こいつら倒して、ギルドにこいつらが件のモンスターだったって報告しちゃいましょう」
「あぁ、そうか、冒険者たちも、たぶん勘違いしてるし」
 不幸中の幸いと言えるだろうか。穏健派のモンスターたちはこれで無関係。ギルドに報告されていたモンスターたちは、こいつらという事にできる。実際の所、報告にあったモンスターはこいつらの可能性もある訳だけど。まぁいいか。どっちでも。
「どう倒そうかな」
 冒険者たちがいるせいで、大がかりな技で殲滅ができない。冒険者も一緒に切り刻んでしまう。一体ずつ倒していくしかないか。
「グズグズしてられないわ! 行くわよ!」
 リーヴェが勇ましく、剣を構えて突進していく。私がそれを見ていると、暴れていたホブゴブリンがチラリとこちらを見た。
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