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第三章

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 私はベッドの中で目を覚ました。異様な気配を感じて。同じような朝をまた迎えた。私はベッドから体を起こして、窓を眺める。薄暗さはない朝。早朝にこういう起き方をしないだけ、マシなんだろうか。
「はぁ」
 だいぶ深めのため息をつくと、ベッドから出て、体を伸ばす。家の外にはきっと昨日のように、スライムが沢山いるんだろう。もう、無視をして過ごすか。
「もう」
 昨日の傷ついたスライムの映像が頭を過る。トラブルから逃げてきたモンスターが、またいるかもしれない。一応、顔は見ておくか。
「お人好し……だね」
 つい苦笑を浮かべて、私は家の外に出てみる。
「……種類が増えてる」
 私の家の前にたむろしているモンスターは明らかに種類が増えていた。スライムはもちろんの事、コボルドが十体ほど、さらにゴブリンが二十体ほど、スライムと合わせると、五十体はいる。
「おはようございます!」
 スーが私に気付いて、前に進み出てきた。爽やかな挨拶が、憎たらしいとさえ思ってしまう。
「これはどういう事?」
 なんとなく体の力が抜けそうになり、私は出入口の枠組みの所に左手をついて、体を支える。頭が疲れてしまったのか、右手は自然におでこを押さえていた。
「みんな穏健派で、サワ様の事を慕って」
「本当は譲りたくはないけど、話を進めるために、百歩譲って、スライムたちは良い、でもコボルドとゴブリンはなんで?」
 コボルドの方はコルと出会って、縁は出来ていた。コルが他のコボルドの穏健派に話をして、来る事になったとか、そんなものだろう。だが、ゴブリンの方はなぜだ。接点はあっただろうか。魔王軍のゴブリンしか会っていないぞ。しかも全員葬った。
「コボルドの方は、コルさんが」
「分かった、それだけで予想できる、ゴブリンの方は?」
「……助けられたと言っていますよ?」
「助けた?」
 何の話だろう。私は腕を組みながら、記憶を探す。助けたとは何だろうか。どこかで、何気ない行動がゴブリンを助けたのか。
「直接、お礼を言いたいと言っているので、話を聞いてみてはどうですか?」
「そうだね」
 スーの申し出に私は頷く。それを見てスーは体を反転させて、進み始めた。それに私も続く。少しの距離でも、モンスターたちの間を進んでいくと、嬉しそうに「サワ様」と声が聞こえてくる。無視するのも気がひけるから、一応、手を振って応える。アイドルにでもなった気分だ。
「この者たちです」
 スーが立ち止まり、ゴブリンの一団の前でそう言った。まぁ、家のドアの所から、見えてたけど。
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