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第二章

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「ありがとう」
 私はお礼をリーヴェに伝える。
「お礼を言うほどじゃないわよ、これぐらい」
 少し苦笑気味にリーヴェが言う。こういう所が律儀なんだろうな。
「さて、ゆっくりもしてられない」
 もうお昼時をとうに過ぎて、太陽はそろそろ、赤くなるんじゃないかという所。まだ、夕方ではないと言えるギリギリの時間帯だ。夜まで動きっぱなしなんて嫌だ。今日はもうあきらめるけど、本当なら、だらだら過ごしたい。
 私とリーヴェは洞窟に足を踏み入れる。
「真っ暗で何も見えないわ、こんなに暗いとはね、灯りになる物、持ってこればよかったわ」
 リーヴェには中が暗くて見えないらしい。私は問題なく暗闇でも見えていた。人間は不便だな。そんな事を思いつつ、洞窟の中を見回す。ゴブリンが見える範囲で六体いる。妖怪の小鬼に似ているな。当然あちらも見えているのだろう。こちらをゲスな笑顔で見ている。たぶん私たちが暗闇で何も見えていないと思って、優位に立っていると思ってるらしい。
「話し合いに来た」
 私はしっかりと真ん中にいるゴブリンの目を見て言った。ゴブリンは戸惑ったように身じろぐ。私と目が合った事を驚いている様だ。
「なんだお前ら」
「さっきも言ったでしょ、話し合いに来たの、あんた達がイジメたスライムの変わりに」
 今度は会話が成立した事に驚いたようだ。ゴブリン同士でざわざわとしている。これでは話が一向に進まない。
「とりあえず、驚きは一旦置いて、話をしたい」
「ス、スライム、逃げやがった奴か」
 少し戸惑いながらもゴブリンが答えた。
「そう、もう狙うのは、やめてほしい」
 私の言葉にゴブリンたちはゲラゲラと笑い始めた。
「じゃあ、他の獲物に変えよう、それでいいか?」
 いやらしい喋り方でゴブリンがそう言う。それでいいわけないだろう。私は少し苛立つ。
「よし、お前らにしよう、それで、あのスライムは助かるぞ」
 またゲラゲラと笑う声が聞こえてくる。あぁ、こいつら嫌いだ。凄く嫌いなタイプ。
「どうせ人間も穏健派も、魔王様から見つけ次第殺せと言われている、つまりおもちゃにしていいって事だよ!」
 ゴブリンたちが動き始める。襲いかかってくるつもりらしい。私は大きなため息をついた。
「どうしたのよ、何が起こってるの?」
「交渉決裂、襲いかかってくるつもりみたい」
「じゃあ、討伐ね、外に出るわよ」
 そう言いながら、リーヴェが外に向おうと私を促す。灯りもないし、人間としては、そう言う判断になって当然か。ただ私はこの状況を利用できると思う。
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