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第二章
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私は一応、注意だけする。転移術はいきなり場所を移動する為、初めての人は驚くし、混乱する。慣れてしまえば、便利なのだけど。
「行くよ」
リーヴェが「なに?」と疑問の言葉を口にしていたけど、気にせず、転移術を使う。景色が変わって、私の家の玄関が見える。周りには相変わらず、スライムたちが居座っていた。帰ってなかったらしい。まぁ、そうだろうな、と思っていたけど。
私はもう必要ないから、リーヴェとコボルドの手を離して、二人を見やる。二人は驚いた様子。平常心はやっぱり保たれなかったらしい。しょうがない事だけど。
「転移術だよ」
「何よそれ?」
「うーん、場所を一瞬で移動できる技かな?」
この世界には、瞬間移動する魔法はないのだろうか。リーヴェが混乱した表情を浮かべていた。
「それにスライムがいっぱい」
「ここのスライムは襲ってこないよ」
リーヴェが混乱した表情をする。しょうがないので、落ち着くまで放置しよう。
「スー、いる?」
「はい!」
一体のスライムが、私の前に進み出た。
「こちらのコボルド、穏健派なんだって、一応連れてきた」
「おぉ、そうですか、サワ様も、穏健派の救世主としての自覚が」
「出てない、そんなものは今後も出ない」
私はすぐさま、スーの言葉を否定する。そうは言っても、こうして連れて来るという行為はやっぱり、穏健派にとって有益と判断したからだろうか。スローライフを送るために、中立にならなければ。
スーが他のスライムにコボルドをまかせてから、問いかけてくる。
「それで、そちらの方は?」
リーヴェの事を気にしている様子のスー。少し、警戒している様だった。当たり前と言えば当たり前だなと思う。これまでに人間に追い回され、殺されかけた経験もあるだろう。手放しに信用できるはずもない。例え私が連れてきた人間でも。
「友達……これから、ちょっと話をするから」
私の、友達という言葉に、リーヴェが反応した。笑顔になって、私の手を握ってくる。ちょっとその反応は違うんじゃないかなと思いつつ、私は話を続けた。
「スーも話に参加して……共存への第一歩かもよ」
「そうなんですね! さすが救世主さ」
「違う」
私はスーの言葉を断ち切ってから、自分の家にリーヴェとスーを招き入れる。私は机を挟んでリーヴェと対面に着席する。床にいたままのスーを見て、私はどうしようか迷った。このままだと話し辛いし、しょうがないから机の上に置くか。私はスーを掴んで、机の上に移動させる。
「さて、まずはリーヴェに私の話からね」
「行くよ」
リーヴェが「なに?」と疑問の言葉を口にしていたけど、気にせず、転移術を使う。景色が変わって、私の家の玄関が見える。周りには相変わらず、スライムたちが居座っていた。帰ってなかったらしい。まぁ、そうだろうな、と思っていたけど。
私はもう必要ないから、リーヴェとコボルドの手を離して、二人を見やる。二人は驚いた様子。平常心はやっぱり保たれなかったらしい。しょうがない事だけど。
「転移術だよ」
「何よそれ?」
「うーん、場所を一瞬で移動できる技かな?」
この世界には、瞬間移動する魔法はないのだろうか。リーヴェが混乱した表情を浮かべていた。
「それにスライムがいっぱい」
「ここのスライムは襲ってこないよ」
リーヴェが混乱した表情をする。しょうがないので、落ち着くまで放置しよう。
「スー、いる?」
「はい!」
一体のスライムが、私の前に進み出た。
「こちらのコボルド、穏健派なんだって、一応連れてきた」
「おぉ、そうですか、サワ様も、穏健派の救世主としての自覚が」
「出てない、そんなものは今後も出ない」
私はすぐさま、スーの言葉を否定する。そうは言っても、こうして連れて来るという行為はやっぱり、穏健派にとって有益と判断したからだろうか。スローライフを送るために、中立にならなければ。
スーが他のスライムにコボルドをまかせてから、問いかけてくる。
「それで、そちらの方は?」
リーヴェの事を気にしている様子のスー。少し、警戒している様だった。当たり前と言えば当たり前だなと思う。これまでに人間に追い回され、殺されかけた経験もあるだろう。手放しに信用できるはずもない。例え私が連れてきた人間でも。
「友達……これから、ちょっと話をするから」
私の、友達という言葉に、リーヴェが反応した。笑顔になって、私の手を握ってくる。ちょっとその反応は違うんじゃないかなと思いつつ、私は話を続けた。
「スーも話に参加して……共存への第一歩かもよ」
「そうなんですね! さすが救世主さ」
「違う」
私はスーの言葉を断ち切ってから、自分の家にリーヴェとスーを招き入れる。私は机を挟んでリーヴェと対面に着席する。床にいたままのスーを見て、私はどうしようか迷った。このままだと話し辛いし、しょうがないから机の上に置くか。私はスーを掴んで、机の上に移動させる。
「さて、まずはリーヴェに私の話からね」
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