19 / 48
第二章
05
しおりを挟む
「これって、目的の薬草じゃないかしら?」
草むらの中から、雑草とは違う葉っぱの物を、リーヴェはちぎって取り上げる。
「あっ、これだね、たぶんだけど」
私は嬉しくなって、思わず笑顔になる。リーヴェも嬉しそうにしていた。お互いそれに気づいて、二人で顔を見合わせて、また笑う。
「ふふふ、ただ薬草見つけただけなのに、こんなに嬉しい物なのね」
「それなりに時間がかかってるからね」
実は探し始めて結構時間が経過していた。それでやっと一つ見つけたのだから、嬉しいに決まってる。
「そう思うと辛くなるわ……五つ以上だったわよね」
「そうだね」
「同じ時間かかったら、夜になるわ」
「まぁ頑張ろう、最悪、明日に持ち越しで」
「割に合わないわ」
リーヴェが文句を言いながら、腰につけた簡易の道具袋に薬草をしまうと、捜索を再開する。私はその姿を少し眺める。今ので打ち解けられたかな。私はそう思うと、リーヴェに声をかけていた。
「ねぇ、昔、何かあった?」
「……どうしたのかしら、急に」
リーヴェはこちらを見ずに、作業を続けたまま、そう言った。
「なんとなく、そう思ったんだよ」
人への執着が凄い。強さへの強い憧れ。ただの性格かもしれないけど、年寄りの私から見ると、ただの性格には思えない。何かが心に陰を落としている。そんな気がする。それを取り除くのは無理でも、和らげる事くらいはできるかもしれない。
「手、止まってるわよ」
私は急いで、作業に戻る。さすがに踏み込むのが早すぎたか。私はちょっと反省する。でも、執着具合を見ると、この早さで踏み込んでも問題無さそうと思ったけど。
「……サワって意外に、よく見てるのね」
「え?」
「私を危ないやつと思って、みんな逃げて行くけど、サワは、違ったでしょ」
「あ、うん」
「私もね、いけないなって思ってるのよ、でもなんか止まらなくて……誰かと一緒に居たくて」
やっぱり、何かを抱えている。陰を落としている何かがある。私もタイプが違うが経験があるから、よくわかる。
リーヴェが無言になった。手は止めていない。私も手を止めずに、リーヴェの言葉を待った。
「少し前の話になるわ」
「……うん」
「まだ私が駆け出しの冒険者の頃、あるパーティに所属していたの、みんな経験は同じくらいの、四人パーティー、弱小よ」
私は、手を止めないように努めながら、リーヴェの話に耳を傾ける。リーヴェもこちらを見ずに、手を止めずに話していたから。
「比較的、最初から強い人間が集まったおかげで、順調に、少し早すぎるくらいに、モンスターを討伐していったわ……魔王でも倒せちゃう気がしてたのよね、その時は」
草むらの中から、雑草とは違う葉っぱの物を、リーヴェはちぎって取り上げる。
「あっ、これだね、たぶんだけど」
私は嬉しくなって、思わず笑顔になる。リーヴェも嬉しそうにしていた。お互いそれに気づいて、二人で顔を見合わせて、また笑う。
「ふふふ、ただ薬草見つけただけなのに、こんなに嬉しい物なのね」
「それなりに時間がかかってるからね」
実は探し始めて結構時間が経過していた。それでやっと一つ見つけたのだから、嬉しいに決まってる。
「そう思うと辛くなるわ……五つ以上だったわよね」
「そうだね」
「同じ時間かかったら、夜になるわ」
「まぁ頑張ろう、最悪、明日に持ち越しで」
「割に合わないわ」
リーヴェが文句を言いながら、腰につけた簡易の道具袋に薬草をしまうと、捜索を再開する。私はその姿を少し眺める。今ので打ち解けられたかな。私はそう思うと、リーヴェに声をかけていた。
「ねぇ、昔、何かあった?」
「……どうしたのかしら、急に」
リーヴェはこちらを見ずに、作業を続けたまま、そう言った。
「なんとなく、そう思ったんだよ」
人への執着が凄い。強さへの強い憧れ。ただの性格かもしれないけど、年寄りの私から見ると、ただの性格には思えない。何かが心に陰を落としている。そんな気がする。それを取り除くのは無理でも、和らげる事くらいはできるかもしれない。
「手、止まってるわよ」
私は急いで、作業に戻る。さすがに踏み込むのが早すぎたか。私はちょっと反省する。でも、執着具合を見ると、この早さで踏み込んでも問題無さそうと思ったけど。
「……サワって意外に、よく見てるのね」
「え?」
「私を危ないやつと思って、みんな逃げて行くけど、サワは、違ったでしょ」
「あ、うん」
「私もね、いけないなって思ってるのよ、でもなんか止まらなくて……誰かと一緒に居たくて」
やっぱり、何かを抱えている。陰を落としている何かがある。私もタイプが違うが経験があるから、よくわかる。
リーヴェが無言になった。手は止めていない。私も手を止めずに、リーヴェの言葉を待った。
「少し前の話になるわ」
「……うん」
「まだ私が駆け出しの冒険者の頃、あるパーティに所属していたの、みんな経験は同じくらいの、四人パーティー、弱小よ」
私は、手を止めないように努めながら、リーヴェの話に耳を傾ける。リーヴェもこちらを見ずに、手を止めずに話していたから。
「比較的、最初から強い人間が集まったおかげで、順調に、少し早すぎるくらいに、モンスターを討伐していったわ……魔王でも倒せちゃう気がしてたのよね、その時は」
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる