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第二章
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私達は近場の森にたどり着いた。朝から昼に変わっていく時間帯で、日差しが少し強くなっている。でも森の中は、木々や葉っぱに遮られて、日陰になっていた。
リーヴェは、私とつないでいた手を離す。さすがにもう手をつなぎながらでは、危ないと思ったのか。
「久しぶりで上手くやれるかしら、最初の頃しか、薬草採取ってやらないから」
「そうなんだ、やっぱり入門編みたいな?」
「……うーん、どちらかというと、息抜きとか、外伝?」
「なにそれ、外伝って」
私は思わず吹き出してしまう。
「思いつかなかったのよ!」
少し照れた様子のリーヴェが言葉を続ける。
「結局、薬草採取って、やってても、強くなれないから、こなしても、依頼の受けられる上限が上がらないのよ、だから最初に慣れるために受けるか、息抜きとか、気分転換とか、そういう感じかしら」
「へぇ、だから外伝とか息抜き」
言いたい事はなんとなく理解した。
「でも、誰かが困ってたり、必要だったりで依頼がある訳だから、まぁ、やる意義はあるわよね……ついつい忘れ気味になっちゃうけど」
地味な依頼だから、みんな受けないのかもしれない。でも困っている人を助ける仕事だ。誰かがやらないといけない事だとは思う。
私はギルドで見た薬草のイラストを思い浮かべる。それと同じものを見つければいいのだ。私はしゃがみ込んで、生えている草をかき分ける。リーヴェも私から少し離れたところで、しゃがみ込んだ。
「無いわ」
リーヴェが一度だけ草をかき分けて、すぐに諦める。
「早い、もっと時間をかけて」
私の言葉にリーヴェがもう一度、草をかき分け始める。私はそれを見て、自分の手元に視線を戻した。そういえば、薬草の知識とか、あった方がいいかもしれない。薬草を栽培して、薬を作って売ったりすれば、お金も入るし、スローライフっぽい。
「お香とコラボしてもいいかも」
お香の知識はあるけど、材料は完全に新たな物を使わないといけない。でも、出来ない事も無いだろう。それに加えて薬草の知識があれば、薬膳お香みたいな物を作れるのでは。のんびりそういう研究もいいかもしれない。
「何ブツブツ言ってるのよ」
「あぁ、ちょっと考え事してて」
声に出ていたらしい。別に聞かれて困る物ではないからいいけど。
「見つかったかしら?」
リーヴェが私の隣にしゃがみ込んで、そう聞いてきた。
「無い……というか、同じところで探したら、非効率だよ」
「まぁいいじゃない」
そう言って、リーヴェが無意味に、体をくっつけてきた。それほど暑くないけど、人とくっついていたらさすがに暑く感じる。
「あっ」
ふいにリーヴェの驚く声が響いた。
リーヴェは、私とつないでいた手を離す。さすがにもう手をつなぎながらでは、危ないと思ったのか。
「久しぶりで上手くやれるかしら、最初の頃しか、薬草採取ってやらないから」
「そうなんだ、やっぱり入門編みたいな?」
「……うーん、どちらかというと、息抜きとか、外伝?」
「なにそれ、外伝って」
私は思わず吹き出してしまう。
「思いつかなかったのよ!」
少し照れた様子のリーヴェが言葉を続ける。
「結局、薬草採取って、やってても、強くなれないから、こなしても、依頼の受けられる上限が上がらないのよ、だから最初に慣れるために受けるか、息抜きとか、気分転換とか、そういう感じかしら」
「へぇ、だから外伝とか息抜き」
言いたい事はなんとなく理解した。
「でも、誰かが困ってたり、必要だったりで依頼がある訳だから、まぁ、やる意義はあるわよね……ついつい忘れ気味になっちゃうけど」
地味な依頼だから、みんな受けないのかもしれない。でも困っている人を助ける仕事だ。誰かがやらないといけない事だとは思う。
私はギルドで見た薬草のイラストを思い浮かべる。それと同じものを見つければいいのだ。私はしゃがみ込んで、生えている草をかき分ける。リーヴェも私から少し離れたところで、しゃがみ込んだ。
「無いわ」
リーヴェが一度だけ草をかき分けて、すぐに諦める。
「早い、もっと時間をかけて」
私の言葉にリーヴェがもう一度、草をかき分け始める。私はそれを見て、自分の手元に視線を戻した。そういえば、薬草の知識とか、あった方がいいかもしれない。薬草を栽培して、薬を作って売ったりすれば、お金も入るし、スローライフっぽい。
「お香とコラボしてもいいかも」
お香の知識はあるけど、材料は完全に新たな物を使わないといけない。でも、出来ない事も無いだろう。それに加えて薬草の知識があれば、薬膳お香みたいな物を作れるのでは。のんびりそういう研究もいいかもしれない。
「何ブツブツ言ってるのよ」
「あぁ、ちょっと考え事してて」
声に出ていたらしい。別に聞かれて困る物ではないからいいけど。
「見つかったかしら?」
リーヴェが私の隣にしゃがみ込んで、そう聞いてきた。
「無い……というか、同じところで探したら、非効率だよ」
「まぁいいじゃない」
そう言って、リーヴェが無意味に、体をくっつけてきた。それほど暑くないけど、人とくっついていたらさすがに暑く感じる。
「あっ」
ふいにリーヴェの驚く声が響いた。
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