17 / 48
第二章
03
しおりを挟む
「あぁ……初心者だから、モンスター討伐がない依頼なら行ってもいい」
私は苦し紛れにそう言った。ただの問題の先送りでしかないけど、しょうがない。このまま逃げ続けても、状況は変わらない。一度でもいいから、依頼に一緒に行ってみよう。リーヴェが一瞬、嬉しそうにしつつ、何か不満げな表情に変わる。
「……まぁ、初心者だものね、慣れるためにも、しょうがないかしら」
渋々という感じではあるけど、納得してくれたらしい。とりあえず、これで満足してくれると嬉しいけど、そんな簡単じゃないかもしれない。
「でも、嬉しいわ、一緒に行けるのね」
それはそれと言った感じで、リーヴェは嬉しそうな表情を浮かべる。どちらかというと安心したような表情かもしれない。
「じゃあ、早速行きましょう」
私達は受付に立ち寄り、手ごろな薬草集めの依頼を受けると、ギルドから出て、街の外に向かう。
「楽しいわね」
相変わらず、手は放してくれないが、追いかけてきていた時の、危ない感じの空気は無くなっている。さっきの安心したような表情もそうだけど、何か抱えている物があるのかな。それにモンスターを討伐する事、とりわけ、強くなる事に拘ってる気もする。会ってから今まで、強くなろうというような言葉を何回か聞いた。
「どうしたの?」
リーヴェが私の顔を覗き込みながら、問いかけてくる。
「あぁ、ごめん、ちょっと考え事してた……緊張もあるかな」
一応、初めてだから、緊張しているという事にしておこうと、私は軽く噓をつく。実際は、緊張なんて微塵も感じていない。
「モンスターもいるかもしれないわね……でも大丈夫、私が守るわ!」
眩しいくらいの笑顔でリーヴェはそう言った。と思ったら、一瞬だけ、神妙な表情を見せて、自らの剣を握り締める。私は気づかないふりをして、声をかけた。
「頼りにしてるよ」
「サワ、弱いものね、魔力は最弱だし」
「……はは、まぁね」
まぁ、ギルドにいた冒険者全員が束になってかかってきても、一瞬で全員倒せるけど、そんな事はどうでもいい。私はリーヴェの顔を見て、思う。この子はやっぱり、最初の印象通り、いい子なんだと思う。何かを抱えている雰囲気はあるけど。私の人を見る目は、長年存在してきて、多少は良くなっているはずだ。
「なに?」
「いや、何も」
「街の外に出たら、気を引き締めましょう、街の外は危険が一杯よ」
リーヴェがウィンクをする。
「そうだね、気を引き締めないと」
私達はそう言って、街の門に向かって歩いていった。
私は苦し紛れにそう言った。ただの問題の先送りでしかないけど、しょうがない。このまま逃げ続けても、状況は変わらない。一度でもいいから、依頼に一緒に行ってみよう。リーヴェが一瞬、嬉しそうにしつつ、何か不満げな表情に変わる。
「……まぁ、初心者だものね、慣れるためにも、しょうがないかしら」
渋々という感じではあるけど、納得してくれたらしい。とりあえず、これで満足してくれると嬉しいけど、そんな簡単じゃないかもしれない。
「でも、嬉しいわ、一緒に行けるのね」
それはそれと言った感じで、リーヴェは嬉しそうな表情を浮かべる。どちらかというと安心したような表情かもしれない。
「じゃあ、早速行きましょう」
私達は受付に立ち寄り、手ごろな薬草集めの依頼を受けると、ギルドから出て、街の外に向かう。
「楽しいわね」
相変わらず、手は放してくれないが、追いかけてきていた時の、危ない感じの空気は無くなっている。さっきの安心したような表情もそうだけど、何か抱えている物があるのかな。それにモンスターを討伐する事、とりわけ、強くなる事に拘ってる気もする。会ってから今まで、強くなろうというような言葉を何回か聞いた。
「どうしたの?」
リーヴェが私の顔を覗き込みながら、問いかけてくる。
「あぁ、ごめん、ちょっと考え事してた……緊張もあるかな」
一応、初めてだから、緊張しているという事にしておこうと、私は軽く噓をつく。実際は、緊張なんて微塵も感じていない。
「モンスターもいるかもしれないわね……でも大丈夫、私が守るわ!」
眩しいくらいの笑顔でリーヴェはそう言った。と思ったら、一瞬だけ、神妙な表情を見せて、自らの剣を握り締める。私は気づかないふりをして、声をかけた。
「頼りにしてるよ」
「サワ、弱いものね、魔力は最弱だし」
「……はは、まぁね」
まぁ、ギルドにいた冒険者全員が束になってかかってきても、一瞬で全員倒せるけど、そんな事はどうでもいい。私はリーヴェの顔を見て、思う。この子はやっぱり、最初の印象通り、いい子なんだと思う。何かを抱えている雰囲気はあるけど。私の人を見る目は、長年存在してきて、多少は良くなっているはずだ。
「なに?」
「いや、何も」
「街の外に出たら、気を引き締めましょう、街の外は危険が一杯よ」
リーヴェがウィンクをする。
「そうだね、気を引き締めないと」
私達はそう言って、街の門に向かって歩いていった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる