闘いの日々には、もうウンザリ!妖怪の王は、異世界でスローライフを目指す……が、ままならず!

高岩唯丑

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第一章

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「戦わない訳ではないです、さすがに無抵抗で、殺されることはしませんよ、ただ、穏健派は弱いモンスターがほとんどで、逃げるのが精いっぱいというか」
「なるほど」
 状況は悪くなる一方という空気を感じるな。
「ただ、僕の考えでは、平和を勝ち取るために、戦うべきと思うんです」
「……へぇ」
「戦うといっても、殺し合いではなく、立ち向かうという意味で……逃げるばかりでは変わらない、せめて人間から、攻撃されないようにするために、行動すべきです」
 なんというか穏健派っぽい考え方だ。穏健派という言葉に偽りはないらしい。スーの言葉に真剣さが帯びている。言葉ではなく直接繋がっているような状態だから、余計に思いの強さが分かる。
「その為に穏健派には、強力な指導者が必要なんですよ、サワ様?」
「あぁ、そろそろ、着くかな? 小高い丘につくかな?」
 私は小走りになって、先を急ぐ。やっぱりそれが目的か。巻き込む気満々じゃないか。やっぱり選択を間違えたか。このスライムに、着いていくべきじゃなかったか。
「そろそろですよ」
 スーのその声が聞こえたのと同時に、私の視界が急に開けた。
「わぁ」
 そこは本当に爽やかな風が吹き抜ける、小高い丘の上だった。
「スゴイ」
 私の思い描いていた、良い感じの場所そのままと言ってもいい。それぐらい私の希望にピッタリの場所だ。
「気に入りましたか?」
「うん、ここ良いよ、凄い良い」
 できる事なら自力で見つけたかった。これではスーに貸が出来てしまったと言える。これだけの良い場所を教えてくれたのだから。さすがに、もういいよ、どっか行ってなんて言って、追い払うなんてもってのほかだ。
「そうですか」
 スーの言葉が、ニヤリと笑って言ったかのように聞こえる。気にしない、気にしない。
「ところで、スローライフという事は、ここに住むという事ですか?」
「そう、私はこういう場所で平和にのんびり暮らしたいんだよ」
 私は平和にのんびりという言葉を強調する。察して、ねぇ、察して。
「いいですね、ここが拠点ですか」
 スーが拠点という言葉を強調する。それはつまり穏健派のという事か。なんかすでに、私を穏健派の指導者の様に扱っていないか。
「ううん、拠点じゃないよ、ただのお家だよ、住むだけ」
 住むだけという言葉を私は強調して返す。
「ちなみに、ここって誰かの住処だったりしないよね」
「あぁ……特にはいなかったと思いますが」
「よし!」
 私は、ガッツポーズをする。ここに私の理想の家を作ろう。私は、手を前に突き出して、妖力を手に集中させる。
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