婚約破棄に追放って不幸がちょっと起こりすぎじゃない?!

高岩唯丑

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 私達は息をひそめ、身を潜め。城の中を進んでいく。なぜだか、あまりにも警備が手薄というか。穴がありすぎではないかと思うほど、見つからずに移動できている。
 兵士たちも嫌気がさしているかも。だから真面目に探していない。すべてをしっかり確認して、追い詰めていく事をしていないのかもしれない。
「ねぇ、サラレド、兵士の人たちって、普段からこんな感じ?」
「こんなって?」
「今だって、本気で探してる感じがしない、警備は穴だらけな気がする」
「あぁ」
 サラレドが、申し訳なさそうに笑う。
「あの人を、カルナを、本気で守ろうとしてる人は多くないよ、領主様に対しても同じ感じ、だから今も、手を抜いてくれてるかも」
「そうなんだ」
「給料泥棒だよね」
 サラレドはそう漏らす。
「そんな事」
 申し訳なさそうに笑ったのはそういう事だったのか。

 私達は城の最下層までやってきた。警備が穴だらけと言っても見つからないように移動するのは、とても気を使う。
「もうすぐだ、もう出れる」
 さすがに正式な出入口から出る事は出来ないから、最下層の万が一の脱出用の出入口から外に出る。すぐにここから出る事は、想像できそうなものだけど、誰一人兵士がいない。罠じゃないかと疑うほどだ。
「もしかしたら、みんなが応援してくれてるかもしれない」
 サラレドが照れながら、そう言った。兵士の皆はサラレドが、私を連れて逃げた事は、多分知ってるだろう。だから、それで逃がしてくれようと、こんなに穴のある警備をしているかもしれない。兵士たちもまた被害者と言える。カルナの横暴は兵士が変りにやる場合が多いのだから。
「これから、どこに行こう」
 城から脱出できた私たちは、とりあえず、できるかぎり城から離れるように進んでいた。
「私に考えがある」
 カルナの横暴で怒りを抱えている人はたくさんいる。そういう人たちなら上手く説得すれば、かくまってくれるかもしれない。それにその先の事だって。
 今度は私が先導して、サラレドの手を引っ張る。とりあえず、城から少し離れた集落の方がいい。暗くなる前に到着出来て、可能な限り遠い所。
 私はサラレドの手の感触を確かめるように、手を握りなおす。信用できるのはサラレドだけ。それからカルナの顔が頭を過る。怒りが体の中に充満した。あいつを許さない、それにそれを放置しているこの国も腐ってる、全部許せない、壊してやる。
 私は振り返って、サラレドを見る。サラレドは微笑んで、握った手の力を強めた。
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