37 / 40
エキセントリック・メイドドリーム
エピローグ01
しおりを挟む
それからエルラが提出した衣服からアンデストの血が見つかり、王様殺害の罪に加えてアンデスト殺害の罪で、エミラは捕縛された。死罪は免れないレベルの事をしたのだけど、これを王様になったセブリアンと宰相になったトールが、二人で各方面に頭を下げて回り何とか回避された。けどさすがに、お咎めなしはありえない。という事で初めて聞く様な名前の島へと流罪になった。でもそれで解決はしなかった。身分の高い高官たちが騒いだのだ。元々獣人族かもしれない身分の低い人間を、王族に入れるのは反対だったとか言い始めて。そういう考えが、差別を生んでいるのが分からないのか。
そこでスカッとする事が起こった。トールがアリアンを妻にしたのだ。あの時勇気を出して、エミラが短剣を持っていると言ったアリアンだ。しかもアリアンは猫系獣人族にもかかわらず、側妻ではなく正妻に、だ。卑しい身分の獣人族は愛玩用というのが常だというのに、ちゃんと人間として扱ったのだ。高官たちのあごが外れたように口をあんぐりする姿を見て、爽快な気分になった。ざまぁ。
でも悔しさもある。私だって猫系獣人族だ。私でもよかったんじゃないかな、なんて。あとから聞いた話によると、前からトールとアリアンは、妙に親しかったらしい。もしかしたら結構前から、そういう関係だったのか。トールは何か決意したようだった。宰相になったのも、アリアンを正妻にしたのも、そういう事なのかな。
「どうしたのだね?」
「別にぃ」
アリーンに問いかけられて、私はそう答える。つれない態度をしたはずなのに、アリーンは少し嬉しそうに私を見ていた。
「なに、ジッと見て」
「いや……相変わらず可愛いのだよ、ベル」
「にゃっ、可愛いって……し、知ってるし」
私は反応を抑えようと、お尻の方に手を回す。尻尾が動いてしまうのを、手で押さえるのだ。獣人族というのは厄介である。感情が尻尾に出やすい。いや、別に嬉しくないけど。アリーンに言われたから、尻尾が動いてしまっている訳じゃ、断じてないし。
「そっ、それより!」
私は話題を変えるために、声を裏返してしまいながらそう声をあげて続ける。
「何の用だろう、私とアリーン、メイドと魔法師団長の組み合わせで呼び出しって、ありえない組み合わせでしょ」
現在セブリアンに呼び出されて、私とアリーンのセットで、執務室に向かっている所だった。
「ふむ……もしかしたら、僕に爵位授与の内示かもしれないのだよ!」
思いついたようにアリーンが言うと、小躍り気味に早足になる。
「いや、だったら私を呼ぶ意味が分からない」
そこでスカッとする事が起こった。トールがアリアンを妻にしたのだ。あの時勇気を出して、エミラが短剣を持っていると言ったアリアンだ。しかもアリアンは猫系獣人族にもかかわらず、側妻ではなく正妻に、だ。卑しい身分の獣人族は愛玩用というのが常だというのに、ちゃんと人間として扱ったのだ。高官たちのあごが外れたように口をあんぐりする姿を見て、爽快な気分になった。ざまぁ。
でも悔しさもある。私だって猫系獣人族だ。私でもよかったんじゃないかな、なんて。あとから聞いた話によると、前からトールとアリアンは、妙に親しかったらしい。もしかしたら結構前から、そういう関係だったのか。トールは何か決意したようだった。宰相になったのも、アリアンを正妻にしたのも、そういう事なのかな。
「どうしたのだね?」
「別にぃ」
アリーンに問いかけられて、私はそう答える。つれない態度をしたはずなのに、アリーンは少し嬉しそうに私を見ていた。
「なに、ジッと見て」
「いや……相変わらず可愛いのだよ、ベル」
「にゃっ、可愛いって……し、知ってるし」
私は反応を抑えようと、お尻の方に手を回す。尻尾が動いてしまうのを、手で押さえるのだ。獣人族というのは厄介である。感情が尻尾に出やすい。いや、別に嬉しくないけど。アリーンに言われたから、尻尾が動いてしまっている訳じゃ、断じてないし。
「そっ、それより!」
私は話題を変えるために、声を裏返してしまいながらそう声をあげて続ける。
「何の用だろう、私とアリーン、メイドと魔法師団長の組み合わせで呼び出しって、ありえない組み合わせでしょ」
現在セブリアンに呼び出されて、私とアリーンのセットで、執務室に向かっている所だった。
「ふむ……もしかしたら、僕に爵位授与の内示かもしれないのだよ!」
思いついたようにアリーンが言うと、小躍り気味に早足になる。
「いや、だったら私を呼ぶ意味が分からない」
0
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
母は、優秀な息子に家の中では自分だけを頼ってほしかったのかもしれませんが、世話ができない時のことを全く想像していなかった気がします
珠宮さくら
恋愛
オデット・エティエンヌは、色んな人たちから兄を羨ましがられ、そんな兄に国で一番の美人の婚約者ができて、更に凄い注目を浴びる2人にドン引きしていた。
だが、もっとドン引きしたのは、実の兄のことだった。外ではとても優秀な子息で将来を有望視されているイケメンだが、家の中では母が何から何までしていて、ダメ男になっていたのだ。
オデットは、母が食あたりをした時に代わりをすることになって、その酷さを知ることになったが、信じられないくらいダメさだった。
そんなところを直す気さえあればよかったのだが……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ
青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人
世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。
デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女
小国は栄え、大国は滅びる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~
華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。
突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。
襲撃を受ける元婚約者の領地。
ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!!
そんな数奇な運命をたどる女性の物語。
いざ開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる