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エキセントリック・メイドドリーム
解決編07
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「私もその手紙を見ました、手紙の中には南西の庭園の事を、シンクフォイル園と書いていました」
私はエミラを見て、言葉を続ける。
「先ほどエミラ様は南西の庭園をシンクフォイル園と言っていましたね?」
「それが?! 言ったわよ! でも庭園の名前を知っていただけで、犯人なの?!」
だいぶ追い詰められているらしく、声を荒げるエミラ。私は首を横に振ってから答える。
「……あくまで消去法のに使った、一つの手がかりです……南西の庭園の名前を知っている人は、たぶんかなり少ないと思います、少なくともこれまでに私は一度も聞いた事がありません」
「だから!」
エミラの言葉を、私は手で制してから口を開く。
「……ここで言いたいのは、犯人が、というより手紙の差出人がシンクフォイル園という名前を知っていたという事です」
「……知っていた事が重要なのか?」
よくわからないという顔で、セブリアンが呟く。その他の人たちも同じような感じだ。
「名前を知っていた人物が、手紙の差出人でしょう」
「それは分かるが……差出人を暴く事が重要なのか?」
意外と抜けているのか。まだ分かっていないらしい。セブリアンの問いかけに、私は頷いて返した。
「単刀直入に言うと、差出人はセブリアン様を一人にして、アンデスト様殺害の濡れ衣を着せようとしたという事です、王位継承権の件で容疑者になっていたので」
「そうか! そういう事か……私に罪を着せて葬ろうと……つまり差出人は犯人か、もしくは共犯者」
セブリアンはやっと理解したのか、興奮したように声をあげた。それに私は同意して補足する。
「他にどれくらい知っていたかわかりませんが、少なくともエミラ様は確実に知っていた」
私の言葉にエミラは体をワナワナと震わせ、拳を握り締めている。自分の失言を恨んでいるのか。
「次に、アンデスト様が殺害された時の状況です」
先ほどアリーンが説明してくれたおかげで、説明する手間が省けた。みんなよく理解しているはずだ。私はそのまま本題に入った。
「注目すべきは、胸の骨が折れていた事です……覆いかぶさって体重をかけたからでしょう、これって犯人像が限定されませんか?」
みんな王子たちが王位継承権を巡って殺し合ったのだ、という思い込みが消え去っているおかげで、自然と犯人像が浮かんだようだ。
「剣の腕が立つ人なら、体重をかけなくても心臓を貫けると思います、それに力の強い人も同じでしょう……つまり体が小さくて、剣の腕に覚えがない人が犯人の可能性が高い」
「ほぉ、女性か、体格の良くない使用人……その中でもベルの様な者は除外できるか」
貧しい出身……卑しい身分だから、荒事に慣れているという意味か。偏見っぽいけど、事実、私達はそこら辺の人間より力が強い場合が多い。補足する様に言ったアリーンに、私は頷く。王子たちはもちろん剣の稽古をしているから、体重をかけなくても心臓を貫けるだろう。
「そこまで考えて、動機や行動をふまえると、あるストーリーが思い浮かびました」
「ほぉ、そのストーリーとはなんだね?」
アリーンが面白そうに微笑みながら、合いの手を入れる様に問いかけてくる。
私はエミラを見て、言葉を続ける。
「先ほどエミラ様は南西の庭園をシンクフォイル園と言っていましたね?」
「それが?! 言ったわよ! でも庭園の名前を知っていただけで、犯人なの?!」
だいぶ追い詰められているらしく、声を荒げるエミラ。私は首を横に振ってから答える。
「……あくまで消去法のに使った、一つの手がかりです……南西の庭園の名前を知っている人は、たぶんかなり少ないと思います、少なくともこれまでに私は一度も聞いた事がありません」
「だから!」
エミラの言葉を、私は手で制してから口を開く。
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「……知っていた事が重要なのか?」
よくわからないという顔で、セブリアンが呟く。その他の人たちも同じような感じだ。
「名前を知っていた人物が、手紙の差出人でしょう」
「それは分かるが……差出人を暴く事が重要なのか?」
意外と抜けているのか。まだ分かっていないらしい。セブリアンの問いかけに、私は頷いて返した。
「単刀直入に言うと、差出人はセブリアン様を一人にして、アンデスト様殺害の濡れ衣を着せようとしたという事です、王位継承権の件で容疑者になっていたので」
「そうか! そういう事か……私に罪を着せて葬ろうと……つまり差出人は犯人か、もしくは共犯者」
セブリアンはやっと理解したのか、興奮したように声をあげた。それに私は同意して補足する。
「他にどれくらい知っていたかわかりませんが、少なくともエミラ様は確実に知っていた」
私の言葉にエミラは体をワナワナと震わせ、拳を握り締めている。自分の失言を恨んでいるのか。
「次に、アンデスト様が殺害された時の状況です」
先ほどアリーンが説明してくれたおかげで、説明する手間が省けた。みんなよく理解しているはずだ。私はそのまま本題に入った。
「注目すべきは、胸の骨が折れていた事です……覆いかぶさって体重をかけたからでしょう、これって犯人像が限定されませんか?」
みんな王子たちが王位継承権を巡って殺し合ったのだ、という思い込みが消え去っているおかげで、自然と犯人像が浮かんだようだ。
「剣の腕が立つ人なら、体重をかけなくても心臓を貫けると思います、それに力の強い人も同じでしょう……つまり体が小さくて、剣の腕に覚えがない人が犯人の可能性が高い」
「ほぉ、女性か、体格の良くない使用人……その中でもベルの様な者は除外できるか」
貧しい出身……卑しい身分だから、荒事に慣れているという意味か。偏見っぽいけど、事実、私達はそこら辺の人間より力が強い場合が多い。補足する様に言ったアリーンに、私は頷く。王子たちはもちろん剣の稽古をしているから、体重をかけなくても心臓を貫けるだろう。
「そこまで考えて、動機や行動をふまえると、あるストーリーが思い浮かびました」
「ほぉ、そのストーリーとはなんだね?」
アリーンが面白そうに微笑みながら、合いの手を入れる様に問いかけてくる。
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