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エキセントリック・メイドドリーム

解決編05

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「焦って、そういう持ち方をしてしまっただけかもしれないでしょ!」
 エミラは焦っているように見える。余裕がない。やっぱり犯人はエミラなんだ。自分で考えておいて、それを少し疑っていた私は心が痛む。
「はい、それもありますね、でも今から話す犯行方法なら、そういう矛盾が無いので可能性は高いですよ」
 セブリアンが少し前のめりに「どうやったんだ、犯人は」と聞いてくる。
「はい……犯人は王様にベッドへ押し倒された状態で、抱きしめるような形になり短剣を背中に刺したんだと思います」
 その場にいた使用人の何人かが、少し腕を動かす。たぶん想像して確かめているのだろう。
「その状態なら右手で自然な持ち方をした短剣は、刃の向きが右肩の方を向きます、それで刃の向きの矛盾は消えます」
「確かにそうだ……でもベッドのしわはどう説明するのかね?」
 分からないといった感じで、あごに手を添えたアリーン。私はそれに対して答えを出す。
「刺した後、王様の全体重がのしかかってきます、それから逃れるためにベッドの右側面に這い出てしわが出来た、そしてその過程で王様が仰向けになった……なってしまったのか、発見を遅らせる目的で仰向けにしたのか、それはわかりませんが」
「でも!」
 間髪入れずに、エミラが怒りを口にする。
「それが分かったから何?!」
「重要ではないですけど、消去法には使えますよ」
 私の言葉にアリーンがニヤリと笑う。
「なるほど、容疑者を絞り込むのに使えるのだね」
「犯人は女性?」
 確かめるような口調で、トールがそう口にする。少し顔色が悪かった。少しずつ母親の凶行の可能性が高まっているのを、感じているのだろう。だからといってやめる訳にいかない。
「はい……と言いたいところですが、可能性が高いというだけです」
 私は少し続きの言葉を出すか一度迷う。別に悪いという訳ではないけど、怒られやしないか少し心配だった。とりあえず、ぼやかした言い方を務めよう。
「その……王様がそういう趣味をお持ちだった可能性があるので」
「僕が知る限り、王は男色の趣味は無かったがね」
 コノヤロウ。私がわざわざぼやかした言い方をしたのに、はっきり言いやがった。私の睨みつけに、アリーンは気づく様子もなく言葉を続ける。
「まぁ、隠していた可能性はあるが……少なくとも息子を押し倒すような、人でなしではなかったのだよ」
 そこが重要だった。可能性の話でしかないけど、王子たちの無実の証明になり得る。
「つまり犯人は女性の可能性が高い、少なくとも王子たちは王様の殺害はしていない」
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