玉の輿がしたいだけなのに!~毎度事件が起こる上に、興味のない平民魔法師団長から溺愛されるメイドの事件手帳~

高岩唯丑

文字の大きさ
上 下
26 / 40
エキセントリック・メイドドリーム

解決編03

しおりを挟む
「エミラ様……あなたじゃないですか?」
 私の問いかけに、エミラは呆気にとられたように口を開く。
「な……え? なんで……私が突然出てくるの?」
 そんなエミラの問いかけを、私は無視して話を続けた。
「私は、というより、この王城にいる人全員が、変な思い込みをしていました」
「思い込み? なんだ?」
 少し息を吹き返したように、セブリアンが問いかけてくる。
「王様が殺害された時、誰もが王位継承の件を思い浮かべて、容疑者を王子三人に絞り込んでしまっていませんでしたか?」
 その思い込みのせいで、セブリアンは犯人が自分ではないからトールが犯人かもしれない、と思っていたかもしれない。いろいろ頭が混乱しているせいで、セブリアンは目が白黒していた。
「確かにそうかもしれない」
 何事もなくそう言ったアリーンを、私は睨みつける。こいつが元凶だ。調査は騎士団と魔法師団が行っていて、その片方のトップが発言したせいで、皆がそう思い込んだ。アリーンが言わなくても、皆が考えそうなことだけど、決定づけて固定してしまったのはアリーンのせいだ。何ならアリーンにはこの場で謝罪を要求したい。この話を聞かせたかったのも、そのためだ。でも、今はそれより。私は怒りを抑えて、口を開く。
「今回のアンデスト様殺害だって、犯行可能だった人は一杯いたはずです、セブリアン様だけではないはず、エミラ様は……どこで何をしていましたか?」
 エミラは一瞬、眉間にしわを寄せる。答えようとしない。あるいは今、必死で考えているのかもしれない。私は構わず話を進めた。
「私は消去法でエミラ様を犯人ではないかと思いました、順番に容疑者を減らしていって、最後に残ったのがエミラ様という事です、今からそれを順番に話しますね」
 私の言葉で、その場にいる全員が視線を向けてきた。注目されるというのは、なかなか緊張する。普段から長を務めている人間は、すごいな。アリーンも頑張ったんだな。というかなぜ、今アリーンの事を考えるのか。私は頭を振って変な思考を振りほどこうとする。今はそれどろこじゃないのだ。
 私は一度深呼吸をしてから、その場にいる全員の顔を見渡す。何とかここで上手く話して、その後みんなの賛同を得て、決定的証拠を見つけ出さないといけない。王城には人が一杯いるのだから。誰かが恐れて、口をつぐんでいる可能性は充分ある。それを引き出す。じゃなきゃ私は、消されかねない。意を決して私は口を開いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

『捨てられダイヤは輝かない』貧相を理由に婚約破棄されたので、綺麗な靴もドレスも捨てて神都で自由に暮らします

三崎こはく
恋愛
 婚約者クロシュラに突如として婚約破棄を告げられたダイナ。悲しみに暮れるダイナは手持ちの靴とドレスを全て焼き払い、単身国家の中心地である神都を目指す。どうにか手にしたカフェ店員としての職、小さな住まい。慎ましやかな生活を送るダイナの元に、ある日一風変わった客人が現れる。  紫紺の髪の、無表情で偉そうな客。それがその客人の第一印象。  さくっと読める異世界ラブストーリー☆★ ※ネタバレありの感想を一部そのまま公開してしまったため、本文未読の方は閲覧ご注意ください ※2022.5.7完結♪同日HOT女性向け1位、恋愛2位ありがとうございます♪ ※表紙画像は岡保佐優様に描いていただきました♪

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【外伝・完結】神獣の花嫁〜刻まれし罪の印〜

一茅苑呼
恋愛
『神獣の花嫁シリーズ』第三作目です。 前作『〜かの者に捧ぐ〜』『〜さだめられし出逢い〜』をお読みいただかなくとも楽しんでいただけるかと思いますが、お読みいただければさらに面白い! はずです。 ☆☆☆☆☆ ❖百合子(ゆりこ) 大正生まれの女学生。 義兄に家族を惨殺された直後、陽ノ元に召喚された。 気難しい性格と口調で近寄りがたい。 ❖黒虎(こくこ)・闘十郎(とうじゅうろう) 下総ノ国の黒い神獣。通称『コク』。 貴族=民のためと、力を奮う日々に疑問を感じている。自らの花嫁として召喚された百合子にひとめ惚れ。 ※表紙絵は前作の主人公・咲耶とハクです。 黒冴様https://estar.jp/users/106303235に描いていただきました。 ────あらすじ──── 「私を、元の世界に戻してくれ!」 兄の凶行に我を失い、記憶を無くしてしまう百合子。 「……これで、人としてのおぬしは死んだ。この瞬間から、おぬしの神獣の花嫁としての生が始まる。 それが良いことかどうかは、わしには分からぬ」 コクは百合子を自らの花嫁とするが、それは仮初めの間柄。 彼女を元の世界に返すことを優先し、己の想いは二の次とする。 ───これは、罪を背負った神獣と、その花嫁の話。

ずっとあのままでいられたら

初めての書き出し小説風
恋愛
永遠の愛なんてないのかもしれない。あの時あんな出来事が起きなかったら… 同棲して13年の結婚はしていない現在33歳の主人公「ゆうま」とパートナーである「はるか」の物語。 お互い結婚に対しても願望がなく子供もほしくない。 それでも長く一緒にいられたが、同棲10年目で「ゆうま」に起こったことがキッカケで、これまでの気持ちが変わり徐々に形が崩れていく。 またあの頃に戻れたらと苦悩しながらもさらに追い討ちをかけるように起こる普通ではない状況が、2人を引き裂いていく…

美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ

青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人 世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。 デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女 小国は栄え、大国は滅びる。

処理中です...