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エキセントリック・メイドドリーム
解決編03
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「エミラ様……あなたじゃないですか?」
私の問いかけに、エミラは呆気にとられたように口を開く。
「な……え? なんで……私が突然出てくるの?」
そんなエミラの問いかけを、私は無視して話を続けた。
「私は、というより、この王城にいる人全員が、変な思い込みをしていました」
「思い込み? なんだ?」
少し息を吹き返したように、セブリアンが問いかけてくる。
「王様が殺害された時、誰もが王位継承の件を思い浮かべて、容疑者を王子三人に絞り込んでしまっていませんでしたか?」
その思い込みのせいで、セブリアンは犯人が自分ではないからトールが犯人かもしれない、と思っていたかもしれない。いろいろ頭が混乱しているせいで、セブリアンは目が白黒していた。
「確かにそうかもしれない」
何事もなくそう言ったアリーンを、私は睨みつける。こいつが元凶だ。調査は騎士団と魔法師団が行っていて、その片方のトップが発言したせいで、皆がそう思い込んだ。アリーンが言わなくても、皆が考えそうなことだけど、決定づけて固定してしまったのはアリーンのせいだ。何ならアリーンにはこの場で謝罪を要求したい。この話を聞かせたかったのも、そのためだ。でも、今はそれより。私は怒りを抑えて、口を開く。
「今回のアンデスト様殺害だって、犯行可能だった人は一杯いたはずです、セブリアン様だけではないはず、エミラ様は……どこで何をしていましたか?」
エミラは一瞬、眉間にしわを寄せる。答えようとしない。あるいは今、必死で考えているのかもしれない。私は構わず話を進めた。
「私は消去法でエミラ様を犯人ではないかと思いました、順番に容疑者を減らしていって、最後に残ったのがエミラ様という事です、今からそれを順番に話しますね」
私の言葉で、その場にいる全員が視線を向けてきた。注目されるというのは、なかなか緊張する。普段から長を務めている人間は、すごいな。アリーンも頑張ったんだな。というかなぜ、今アリーンの事を考えるのか。私は頭を振って変な思考を振りほどこうとする。今はそれどろこじゃないのだ。
私は一度深呼吸をしてから、その場にいる全員の顔を見渡す。何とかここで上手く話して、その後みんなの賛同を得て、決定的証拠を見つけ出さないといけない。王城には人が一杯いるのだから。誰かが恐れて、口をつぐんでいる可能性は充分ある。それを引き出す。じゃなきゃ私は、消されかねない。意を決して私は口を開いた。
私の問いかけに、エミラは呆気にとられたように口を開く。
「な……え? なんで……私が突然出てくるの?」
そんなエミラの問いかけを、私は無視して話を続けた。
「私は、というより、この王城にいる人全員が、変な思い込みをしていました」
「思い込み? なんだ?」
少し息を吹き返したように、セブリアンが問いかけてくる。
「王様が殺害された時、誰もが王位継承の件を思い浮かべて、容疑者を王子三人に絞り込んでしまっていませんでしたか?」
その思い込みのせいで、セブリアンは犯人が自分ではないからトールが犯人かもしれない、と思っていたかもしれない。いろいろ頭が混乱しているせいで、セブリアンは目が白黒していた。
「確かにそうかもしれない」
何事もなくそう言ったアリーンを、私は睨みつける。こいつが元凶だ。調査は騎士団と魔法師団が行っていて、その片方のトップが発言したせいで、皆がそう思い込んだ。アリーンが言わなくても、皆が考えそうなことだけど、決定づけて固定してしまったのはアリーンのせいだ。何ならアリーンにはこの場で謝罪を要求したい。この話を聞かせたかったのも、そのためだ。でも、今はそれより。私は怒りを抑えて、口を開く。
「今回のアンデスト様殺害だって、犯行可能だった人は一杯いたはずです、セブリアン様だけではないはず、エミラ様は……どこで何をしていましたか?」
エミラは一瞬、眉間にしわを寄せる。答えようとしない。あるいは今、必死で考えているのかもしれない。私は構わず話を進めた。
「私は消去法でエミラ様を犯人ではないかと思いました、順番に容疑者を減らしていって、最後に残ったのがエミラ様という事です、今からそれを順番に話しますね」
私の言葉で、その場にいる全員が視線を向けてきた。注目されるというのは、なかなか緊張する。普段から長を務めている人間は、すごいな。アリーンも頑張ったんだな。というかなぜ、今アリーンの事を考えるのか。私は頭を振って変な思考を振りほどこうとする。今はそれどろこじゃないのだ。
私は一度深呼吸をしてから、その場にいる全員の顔を見渡す。何とかここで上手く話して、その後みんなの賛同を得て、決定的証拠を見つけ出さないといけない。王城には人が一杯いるのだから。誰かが恐れて、口をつぐんでいる可能性は充分ある。それを引き出す。じゃなきゃ私は、消されかねない。意を決して私は口を開いた。
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