12 / 40
エキセントリック・メイドドリーム
04
しおりを挟む
私は西の塔から、城に戻ってきた。
「やぁ、首尾はどうだね?」
待ち構えていた様に、ひょっこり現れたアリーンが声をかけてくる。どうしていつも、私の居場所がわかるのか。今回は仕事と関係ないから、ローテーションから判断できないのに。まぁどうせ聞いても愛だの言って、はぐらかされるだけだから聞かないけど。
私は立ち止まって、成果を自信満々に伝える。
「とりあえず、アンデスト様は犯人ではない」
「ほほぅ、どうしてだね? 理由を聞かせておくれよ」
アリーンは挑戦的な笑みを浮かべている。私はそれに、勝ち誇った笑みを浮かべながら答えてやった。
「王様が亡くなった刻限は寝ていたらしいよ、それだけじゃない……ある話をして感じたけど、アンデスト様は犯人ではないと思う」
涙の件は、私とアンデストだけの秘密だから話さない。
「それだけで、決めつけるのかね?」
呆れたように、アリーンがそう問いかけてくる。私は少しムキになりながら返した。
「それだけって、秘密だから言えないけど、アンデスト様の態度は犯人ではありえない」
納得していないらしいアリーンが、反論の言葉を捲し立てる。
「寝ていたのを誰かが確認したのかね? 使用人が就寝時に居たのかね? 態度にしてもそうだ、何があったのかわからないが、演技の可能性だって十分にある、すべてを手に入れるためにそれくらいするかもしれない」
あれで今頃ほくそ笑んでいたら、私は人間不信で立ち直れなくなる。それくらい印象的には犯人ではない。そうは言っても、私の願望に近いという事は認めざる負えない。
「常に演技をしているベルなら、その可能性は考えるべきだね?」
「うぐぐぐぐ」
私は唸る。自分だって玉の輿を狙って、演技をして過ごしてきた。人は利益の為なら、嘘をついて演技をする。その事は自分が一番わかっている。
アリーンが勝ち誇った笑みを浮かべて、口を開いた。
「やはり、僕が一番安全ではないかね?」
こいつ。絶対どこかで、盾か囮に使ってやる。私は密かに誓いめいた物を立てながら、口を開いた。
「まだ! 犯人捜しは始まったばかりだから!」
「いつまで頑張れるか、楽しみだよ……君はいつか僕を選ぶ」
嬉しそうにそう言うアリーンを無視して、私は歩き始める。とりあえずこいつは選ばないと、今決めた。後ろからアリーンの声が聞こえてきたけど無視だ。
しばらく怒りに任せて歩いていたけど、それが冷めると私はため息をつくしかなかった。冷静に考えれば、アリーンの言っていたのは確かな事。私の希望的観測を抜きにしたら、アンデストが犯人ではないとは言い切れない。確実な証拠がないのだ。
「はぁ……」
もう一度ついたため息に反応する様に、声が聞こえてくる。
「あっ、ベルちゃん、ため息なんてついてどうしたの?」
「やぁ、首尾はどうだね?」
待ち構えていた様に、ひょっこり現れたアリーンが声をかけてくる。どうしていつも、私の居場所がわかるのか。今回は仕事と関係ないから、ローテーションから判断できないのに。まぁどうせ聞いても愛だの言って、はぐらかされるだけだから聞かないけど。
私は立ち止まって、成果を自信満々に伝える。
「とりあえず、アンデスト様は犯人ではない」
「ほほぅ、どうしてだね? 理由を聞かせておくれよ」
アリーンは挑戦的な笑みを浮かべている。私はそれに、勝ち誇った笑みを浮かべながら答えてやった。
「王様が亡くなった刻限は寝ていたらしいよ、それだけじゃない……ある話をして感じたけど、アンデスト様は犯人ではないと思う」
涙の件は、私とアンデストだけの秘密だから話さない。
「それだけで、決めつけるのかね?」
呆れたように、アリーンがそう問いかけてくる。私は少しムキになりながら返した。
「それだけって、秘密だから言えないけど、アンデスト様の態度は犯人ではありえない」
納得していないらしいアリーンが、反論の言葉を捲し立てる。
「寝ていたのを誰かが確認したのかね? 使用人が就寝時に居たのかね? 態度にしてもそうだ、何があったのかわからないが、演技の可能性だって十分にある、すべてを手に入れるためにそれくらいするかもしれない」
あれで今頃ほくそ笑んでいたら、私は人間不信で立ち直れなくなる。それくらい印象的には犯人ではない。そうは言っても、私の願望に近いという事は認めざる負えない。
「常に演技をしているベルなら、その可能性は考えるべきだね?」
「うぐぐぐぐ」
私は唸る。自分だって玉の輿を狙って、演技をして過ごしてきた。人は利益の為なら、嘘をついて演技をする。その事は自分が一番わかっている。
アリーンが勝ち誇った笑みを浮かべて、口を開いた。
「やはり、僕が一番安全ではないかね?」
こいつ。絶対どこかで、盾か囮に使ってやる。私は密かに誓いめいた物を立てながら、口を開いた。
「まだ! 犯人捜しは始まったばかりだから!」
「いつまで頑張れるか、楽しみだよ……君はいつか僕を選ぶ」
嬉しそうにそう言うアリーンを無視して、私は歩き始める。とりあえずこいつは選ばないと、今決めた。後ろからアリーンの声が聞こえてきたけど無視だ。
しばらく怒りに任せて歩いていたけど、それが冷めると私はため息をつくしかなかった。冷静に考えれば、アリーンの言っていたのは確かな事。私の希望的観測を抜きにしたら、アンデストが犯人ではないとは言い切れない。確実な証拠がないのだ。
「はぁ……」
もう一度ついたため息に反応する様に、声が聞こえてくる。
「あっ、ベルちゃん、ため息なんてついてどうしたの?」
0
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
母は、優秀な息子に家の中では自分だけを頼ってほしかったのかもしれませんが、世話ができない時のことを全く想像していなかった気がします
珠宮さくら
恋愛
オデット・エティエンヌは、色んな人たちから兄を羨ましがられ、そんな兄に国で一番の美人の婚約者ができて、更に凄い注目を浴びる2人にドン引きしていた。
だが、もっとドン引きしたのは、実の兄のことだった。外ではとても優秀な子息で将来を有望視されているイケメンだが、家の中では母が何から何までしていて、ダメ男になっていたのだ。
オデットは、母が食あたりをした時に代わりをすることになって、その酷さを知ることになったが、信じられないくらいダメさだった。
そんなところを直す気さえあればよかったのだが……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ずっとあのままでいられたら
初めての書き出し小説風
恋愛
永遠の愛なんてないのかもしれない。あの時あんな出来事が起きなかったら…
同棲して13年の結婚はしていない現在33歳の主人公「ゆうま」とパートナーである「はるか」の物語。
お互い結婚に対しても願望がなく子供もほしくない。
それでも長く一緒にいられたが、同棲10年目で「ゆうま」に起こったことがキッカケで、これまでの気持ちが変わり徐々に形が崩れていく。
またあの頃に戻れたらと苦悩しながらもさらに追い討ちをかけるように起こる普通ではない状況が、2人を引き裂いていく…
美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ
青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人
世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。
デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女
小国は栄え、大国は滅びる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる