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エキセントリック・メイドドリーム
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私がそう問いかけると、アンデストは少し驚いたような表情を浮かべて聞いてくる。
「もしかして、事件を調べようと? 危ないし、やめておいた方が……」
至極もっともな話である。王様を殺した犯人が王城内にいる訳だし、短剣で刺すという凶暴な部類に入る殺害方法を選んだ相手だ。危険というのは確かだと思う。心配してもらった事を嬉しく思いながら、私は慌てて言い訳を口にする。
「私が調べるんじゃなくて……そう、アリーン様に関係者に話を聞いてくるように言われて」
アンデストは呆れたようにため息をつく。私は心の中でアリーンに詫びた。アリーンよ、ごめんね。
「やらないと私が怒られてしまうので」
様子を伺うように私が言うと、アンデストが体をこちらに向けて正座する。
「危険だと思ったら、ちゃんと逃げるんだよ? アリーンを盾にしても、囮にしてもかまわないから、私が許可する」
真剣な表情でアンデストは、すごい事を言っている気がする。私を含めアリーンの扱いに少し同情した。アリーンって、意外と皆からの扱いがぞんざいな気がする。それだけ信頼されている証だろうか。親しみがあるからか。
私は正座をしているアンデストと向き合って、同じように正座をする。
「わかりました」
遠慮なく盾か、囮として使わせてもらおう。アリーンはあれで魔法師団長だ。魔法で何とかするだろう。あぁ、でも弱い部類の人間だっけ。まぁいいか。
少しふざけた雰囲気に区切りをつけるべく、私はコホンと一度咳払いをしてからアンデストに問いかける。
「王様が亡くなったのが、昨日の一の刻から三の刻くらいらしいんですが、何をしていましたか?」
「あぁ……」
あごに手を添えて、少しの間考える様にするアンデスト。ややあって答えてくれる。
「もう寝ていたかな、確か、刻限を気にしていなかったから少し曖昧だけど」
その時間なら当然と言える答え。もう少し突っ込んで聞いてみる。
「一人でしたか? 使用人は?」
「一人だよ、使用人は、もうかなり前にさがってもらっていた」
これで女性と夜を共にしていた、とか言われたら立ち直れなかった。私が勝手に安心していると、アンデストが悲しそうな表情になる。どうしたんだろうと私が首を傾げると、アンデストは少し暗い声を出した。
「これだと、私は容疑者になるのかな……一人だったわけだし、本当だと証明できない」
そうなってしまうけど、この時間ならほとんどの人間が同じ答えだと思う。城内を徘徊してました、なんていう人はいないだろう。
私はアンデストの言葉を否定する様に、首を思いっきり横に振る。
「そんな! こんな悲しんでいるんだから、犯人の訳がありません!」
私を見て、アンデストが力無く笑う。
「ありがとう……信じてくれて」
「アリーン様には、私の受けた印象的に犯人ではないと、伝えておきますので!」
私の言葉にアンデストは苦笑しながら返してくる。
「信じてくれないだろうな」
大丈夫。アリーンは関わっていない。私はそんな事を思いながら口を開く。
「他の方にも話を聞きにいかないといけないので、そろそろ行きますね」
私はそう言って頭を下げる。
「……くれぐれも気を付けて、私はもう少しここにいるよ」
アンデストが笑ってそう言った。私は立ち上がって部屋を出た。
「もしかして、事件を調べようと? 危ないし、やめておいた方が……」
至極もっともな話である。王様を殺した犯人が王城内にいる訳だし、短剣で刺すという凶暴な部類に入る殺害方法を選んだ相手だ。危険というのは確かだと思う。心配してもらった事を嬉しく思いながら、私は慌てて言い訳を口にする。
「私が調べるんじゃなくて……そう、アリーン様に関係者に話を聞いてくるように言われて」
アンデストは呆れたようにため息をつく。私は心の中でアリーンに詫びた。アリーンよ、ごめんね。
「やらないと私が怒られてしまうので」
様子を伺うように私が言うと、アンデストが体をこちらに向けて正座する。
「危険だと思ったら、ちゃんと逃げるんだよ? アリーンを盾にしても、囮にしてもかまわないから、私が許可する」
真剣な表情でアンデストは、すごい事を言っている気がする。私を含めアリーンの扱いに少し同情した。アリーンって、意外と皆からの扱いがぞんざいな気がする。それだけ信頼されている証だろうか。親しみがあるからか。
私は正座をしているアンデストと向き合って、同じように正座をする。
「わかりました」
遠慮なく盾か、囮として使わせてもらおう。アリーンはあれで魔法師団長だ。魔法で何とかするだろう。あぁ、でも弱い部類の人間だっけ。まぁいいか。
少しふざけた雰囲気に区切りをつけるべく、私はコホンと一度咳払いをしてからアンデストに問いかける。
「王様が亡くなったのが、昨日の一の刻から三の刻くらいらしいんですが、何をしていましたか?」
「あぁ……」
あごに手を添えて、少しの間考える様にするアンデスト。ややあって答えてくれる。
「もう寝ていたかな、確か、刻限を気にしていなかったから少し曖昧だけど」
その時間なら当然と言える答え。もう少し突っ込んで聞いてみる。
「一人でしたか? 使用人は?」
「一人だよ、使用人は、もうかなり前にさがってもらっていた」
これで女性と夜を共にしていた、とか言われたら立ち直れなかった。私が勝手に安心していると、アンデストが悲しそうな表情になる。どうしたんだろうと私が首を傾げると、アンデストは少し暗い声を出した。
「これだと、私は容疑者になるのかな……一人だったわけだし、本当だと証明できない」
そうなってしまうけど、この時間ならほとんどの人間が同じ答えだと思う。城内を徘徊してました、なんていう人はいないだろう。
私はアンデストの言葉を否定する様に、首を思いっきり横に振る。
「そんな! こんな悲しんでいるんだから、犯人の訳がありません!」
私を見て、アンデストが力無く笑う。
「ありがとう……信じてくれて」
「アリーン様には、私の受けた印象的に犯人ではないと、伝えておきますので!」
私の言葉にアンデストは苦笑しながら返してくる。
「信じてくれないだろうな」
大丈夫。アリーンは関わっていない。私はそんな事を思いながら口を開く。
「他の方にも話を聞きにいかないといけないので、そろそろ行きますね」
私はそう言って頭を下げる。
「……くれぐれも気を付けて、私はもう少しここにいるよ」
アンデストが笑ってそう言った。私は立ち上がって部屋を出た。
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