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エキセントリック・メイドドリーム
プロローグ07
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「……王子たち」
「そうなのだよ、彼らは王を殺す動機がある、王がいなくなれば全てが自分の物になるのだからね」
少し残念な表情でそう指摘したアリーン。考えない様にしていたけど、確かにそうなのだ。王がいなくなれば、富と権力が全て自分の物になる。そこまで考えて私は顔を横に振って口を開いた。
「でも、そんな事する様な人たちじゃあない」
「僕だって親しくしている人たちだ、そう信じたいがね……情は抜きにして考えなければ」
そう言いながらアリーンが人差し指を立てて、天井に向けてくるくると回す。
「まずはアンデスト様……王殺しの第一容疑者なのはわかるね?」
「うぐっ」
指摘された私は唸り声をあげる。アリーンは気にせず続けた。
「王を殺して、一番得をするのはアンデスト様、何故かわかるかね?」
「……王位継承権第一位で、王様が居なくなればアンデスト様が王様になる」
アンデストは王様が居なくなれば、この国の王になれるのだ。富と権力が、国を自分の物にできる。王がいつか死ぬと分かっていても、目が眩んで、魔がさして、殺してしまった可能性はあり得る。
「で、でも殺すとしても毒殺とかの方がありえそうな」
「自分でやったとは限らんよ?」
私の指摘に即座に言葉を被せてくるアリーン。私は何も言い返す事ができず、黙るしかない。誰かに殺させてその人物を切り捨てる。これから王になるのだから、それくらい容易い。
「次にセブリアン様……立派な容疑者候補だね」
私が何も言えないでいると、アリーンが次の容疑者をあげる。
「セブリアン様は王位継承権第二位で、一見王を殺害しても得がないように見える」
「そうだよ、アンデスト様がいるんだから殺しても自分が王になれるわけじゃない」
私が指摘した事に対して、アリーンが残念そうに首を横に振る。そうだよね。セブリアンにも動機がある。私は諦めたようにアリーンの言葉を待つ。
「アンデスト様より優秀なのに、王からは重用されていなかった、遠ざけられていたわけではないけど、何かとアンデスト様に任せていたね」
セブリアンは少し難しい人だ。プライドが高めなのだ。まぁ優秀さに見合うプライドの高さではあった。つまり兄ではあるけど自分より優秀ではないアンデストを重宝する王には、不満があったかもしれない。
「何かがあって、積年の不満が爆発してしまった可能性は、充分じゃないかね?」
私が考えた事を見通す様に、アリーンが補足の言葉を口にした。私がため息をつくとアリーンがさらに続ける。
「そうなのだよ、彼らは王を殺す動機がある、王がいなくなれば全てが自分の物になるのだからね」
少し残念な表情でそう指摘したアリーン。考えない様にしていたけど、確かにそうなのだ。王がいなくなれば、富と権力が全て自分の物になる。そこまで考えて私は顔を横に振って口を開いた。
「でも、そんな事する様な人たちじゃあない」
「僕だって親しくしている人たちだ、そう信じたいがね……情は抜きにして考えなければ」
そう言いながらアリーンが人差し指を立てて、天井に向けてくるくると回す。
「まずはアンデスト様……王殺しの第一容疑者なのはわかるね?」
「うぐっ」
指摘された私は唸り声をあげる。アリーンは気にせず続けた。
「王を殺して、一番得をするのはアンデスト様、何故かわかるかね?」
「……王位継承権第一位で、王様が居なくなればアンデスト様が王様になる」
アンデストは王様が居なくなれば、この国の王になれるのだ。富と権力が、国を自分の物にできる。王がいつか死ぬと分かっていても、目が眩んで、魔がさして、殺してしまった可能性はあり得る。
「で、でも殺すとしても毒殺とかの方がありえそうな」
「自分でやったとは限らんよ?」
私の指摘に即座に言葉を被せてくるアリーン。私は何も言い返す事ができず、黙るしかない。誰かに殺させてその人物を切り捨てる。これから王になるのだから、それくらい容易い。
「次にセブリアン様……立派な容疑者候補だね」
私が何も言えないでいると、アリーンが次の容疑者をあげる。
「セブリアン様は王位継承権第二位で、一見王を殺害しても得がないように見える」
「そうだよ、アンデスト様がいるんだから殺しても自分が王になれるわけじゃない」
私が指摘した事に対して、アリーンが残念そうに首を横に振る。そうだよね。セブリアンにも動機がある。私は諦めたようにアリーンの言葉を待つ。
「アンデスト様より優秀なのに、王からは重用されていなかった、遠ざけられていたわけではないけど、何かとアンデスト様に任せていたね」
セブリアンは少し難しい人だ。プライドが高めなのだ。まぁ優秀さに見合うプライドの高さではあった。つまり兄ではあるけど自分より優秀ではないアンデストを重宝する王には、不満があったかもしれない。
「何かがあって、積年の不満が爆発してしまった可能性は、充分じゃないかね?」
私が考えた事を見通す様に、アリーンが補足の言葉を口にした。私がため息をつくとアリーンがさらに続ける。
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