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メイユーとチュウ
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「チュウさんは中級の貴族の娘さんよ」
「……やっぱりそうですか」
「予想してたのね」
「これまでの事と、今の話から、やっとさっき気付いたのです」
気品の良さ、育ちの良さがにじみ出ている。だから下級の貴族くらいかと思っていたが、それならメイユーもそれほど気兼ねしないのではと思う。しかし、おこがましいというのはおかしい。だとすれば考えられるのは生まれに差があるという事。メイユーは下級の貴族の出という事は、チュウはそれ以上という事になるだろう。
「……最初は大変だったわ、チュウさんの態度が悪いとかそういう事じゃなくて、お互い気まずくて」
苦笑をうかべるメイユー。気まずい雰囲気が漂う二人の姿が、なんとなく想像ができてしまう。
「しかも後宮に来る前にチュウさんに数回会った事があるのよ、その時は私が跪いて挨拶していたのに、後宮でいきなり立場が逆転してたのよ」
唯一の救いはチュウが威張っていなかった事か。そんな事をしていたら、ここで働くなんて無理だっただろう。自分自身の人の良さのおかげで、チュウは救われたのだ。
「なんとか気まずさも無くなってよかったわ……チュウさんの人の良さのおかげよ」
それだけとも思わないが。メイユーは人を引き付ける魅力がある。それのおかげでもあるのではないか。
「……それにしても中級の貴族だと、上級側妃にねじ込む事もできたのではないでしょうか、家としては侍女よりそちらの方が良かったでしょう」
「嫌だったのよきっと、好きでもない男と結婚するのは」
気持ちはとてもわかる。メイユーの決意もわかる。どちらも間違いなんて言えない。
「実際の所は聞いた事がないから分からないわ、機会があったら本人に聞いてみるといいわ」
そこまで言って、メイユーの表情が少し暗くなる。そして寂しそうに声が響いた。
「そう、本人に聞いてみないと分からないわ、心の中なんて」
「心の中?」
「……心の中ではどう思ってるか分からないわ、私に仕えてくれてるけど表面上だけかもしれない」
メイユーはチュウの方を見つめていて、表情は見えない。だがなんとなく想像が出来てしまった。
チュウはいろいろな事を隠すのが上手そうだ。普通の人間であるメイユーには分からないかもしれない。嘘の匂いや心の臓の音を聞ける私も、その事について聞いた事がないから分からない。心の中でメイユーをバカにしているとは思いたくない。というかそれはないと思う。そんな人物ではない。
「……やっぱりそうですか」
「予想してたのね」
「これまでの事と、今の話から、やっとさっき気付いたのです」
気品の良さ、育ちの良さがにじみ出ている。だから下級の貴族くらいかと思っていたが、それならメイユーもそれほど気兼ねしないのではと思う。しかし、おこがましいというのはおかしい。だとすれば考えられるのは生まれに差があるという事。メイユーは下級の貴族の出という事は、チュウはそれ以上という事になるだろう。
「……最初は大変だったわ、チュウさんの態度が悪いとかそういう事じゃなくて、お互い気まずくて」
苦笑をうかべるメイユー。気まずい雰囲気が漂う二人の姿が、なんとなく想像ができてしまう。
「しかも後宮に来る前にチュウさんに数回会った事があるのよ、その時は私が跪いて挨拶していたのに、後宮でいきなり立場が逆転してたのよ」
唯一の救いはチュウが威張っていなかった事か。そんな事をしていたら、ここで働くなんて無理だっただろう。自分自身の人の良さのおかげで、チュウは救われたのだ。
「なんとか気まずさも無くなってよかったわ……チュウさんの人の良さのおかげよ」
それだけとも思わないが。メイユーは人を引き付ける魅力がある。それのおかげでもあるのではないか。
「……それにしても中級の貴族だと、上級側妃にねじ込む事もできたのではないでしょうか、家としては侍女よりそちらの方が良かったでしょう」
「嫌だったのよきっと、好きでもない男と結婚するのは」
気持ちはとてもわかる。メイユーの決意もわかる。どちらも間違いなんて言えない。
「実際の所は聞いた事がないから分からないわ、機会があったら本人に聞いてみるといいわ」
そこまで言って、メイユーの表情が少し暗くなる。そして寂しそうに声が響いた。
「そう、本人に聞いてみないと分からないわ、心の中なんて」
「心の中?」
「……心の中ではどう思ってるか分からないわ、私に仕えてくれてるけど表面上だけかもしれない」
メイユーはチュウの方を見つめていて、表情は見えない。だがなんとなく想像が出来てしまった。
チュウはいろいろな事を隠すのが上手そうだ。普通の人間であるメイユーには分からないかもしれない。嘘の匂いや心の臓の音を聞ける私も、その事について聞いた事がないから分からない。心の中でメイユーをバカにしているとは思いたくない。というかそれはないと思う。そんな人物ではない。
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