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後宮案内と宦官の思い

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 メイユーの元に保護された私は、しばらく休息をとった。というのも気持ちではすぐにでも働くつもりでいたけど、体がついてこなかった為だ。体に影響が出てしまうほど、精神的ダメージが大きかったらしい。あるいは石を投げられ逃げ回っていた事による、身体的ダメージか。
 十分に休息は取った。私がそう申し出ると、ついにメイユー様の侍女として働き始める事になった。今日は侍女としての初日である。スッキリとよく晴れた朝。陽の光が差し込んでくる廊下を、チュウの後に続いて歩く。まずは侍女の仕事の流れを見て覚える為に、チュウの後をついて回っているのだ。
「揃いの侍女服ははないんですか?」
 疑問に思いそう問いかけると、チュウは歩みを止めずに顔をこちらに向けて、苦笑をうかべた。
「ウチはね、みんな自由なんです、メイユー様もそれを咎めませんから」
「……あぁ」
 ミンズーとユンの顔が最初に浮かんだ。あの二人が自由の筆頭な気がする。
「私としては、そういう物があった方がいいんですが」
 そう言いながら自分の格好を眺める。服はこれしかないから着てきたが、下働きをしていた時のままだ。商家での下働きだったおかげで、人前に出ても恥ずかしくない恰好ではあるけど、侍女の格好としてはどうかと言われると、甚だ疑問である。
「……揃いの侍女服はありますので、あとで用意しましょう……まぁ好きな服装でよいですよ」
 チュウは諦めた様な笑顔を浮かべる。それから前を見て、話を続けた。
「ただ、式典や儀式、その他の行事の時は全員ちゃんと侍女服を着る事になっています、それだけは守ってください」
「もちろんです……ちなみに侍女服はチュウさんが着ている物ですか?」
「はい」
 柚子殿というだけあって、黄色を基調にした服装だ。ひらひらとしていて、女性としては魅力的に見えるかもしれないが、動きにくそうだ。今着ている物の方が着慣れているから、動きやすいだろう。……むぅ。好きな服装でよいという言葉に甘えようか。
「……さてこれから忙しくなりますから、よく見ていてくださいね」
 話している間に、メイユーの寝室の前まで来ていたらしい。ここからが侍女の仕事と言わんばかりだ。
「これからメイユー様にお目覚めしていただき、身支度をして頂きます……ヨウズデンは侍女の数が少ないので、一人でその手伝いをする事になりますので、よく覚えてください」
 チュウはそれだけ言うと、寝室の扉に手をかける。
「メイユー様、朝でございます」
 チュウはそう声をかけて、返事を待たずに扉を開け放った。慣れている様子からして、返事を待つのは無駄という事だろう。チュウの突撃に私は続いた。
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