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目覚めない病気
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「……聖法は回復と浄化が得意分野です、回復はわかりますね? 浄化は簡単に言うと、不浄な物を消し去る物……毒や汚れを綺麗にできる物です」
「あっ」
シネヴィラは気づいたようだ。さすがに自分の使える力に関する事だから、気付いて当たり前か。でもマリアの方は、まだわからないという感じだった。どこまでいっても、人の気持ちを鑑みる事ができない自己中心的な人なのだろう。
「何が言いたいかというと、血で汚れた物も綺麗にできてしまうのですよ……オルリヌ様の傷だけでなく、服やその他の血痕も無くなっていた事に気付くべきでしたね」
誰かに殴られたという事を隠してほしい、とシネヴィラは頼まれた。つまり床についた血痕や服の血痕を、浄化でキレイにしているはずだ。
マリアは目を見開いて、私が持っている花瓶を見つめている。血で汚れた花瓶とシルクの服を。
「やっとお気づきになったようですね……そうですよ、シネヴィラさんが花瓶を使ってオルリヌ様を殴ったとして、その後、その花瓶とこの服を浄化でキレイにしないのは不自然なのです」
床や服の血痕を綺麗にしているのに、凶器と着ていた服に付着した血痕だけはそのままにしておく。そんなの不自然極まりない。マリアに濡れ衣を着せるつもりだったとも考えられるけど、それならマリアにオルリヌを発見させて、そのタイミングで誰かを呼び、マリアがオルリヌを殴ったと告発してしまった方が手っ取り早い。あるいはシネヴィラの立場なら、オルリヌを治した際、凶器を含めてすべて綺麗にしてしまって、無かった事にしてしまった方が、まだ疑われない。後に残るのは謎の不審死をとげたオルリヌだけなのだから。
まぁ、いろいろ考えられるけど、そもそもこのシルクのワンピース型の肌着は、シネヴィラのサイズに合っていない。この段階で破綻している。
「あぁ、それとお爺さんに確認しましたが、オルリヌ様は来ていないという事でした」
本当にその場だけの、すぐバレる嘘だった。まぁもしかしたら、話も聞かずにお爺さんを捕えて、オルリヌに変な魔法をかけた犯人、という事にしてしまうつもりだったのかもしれない。そして、すぐさま処刑してしまえば、終わりにできると考えたか。でも私が話しを聞きに行ってしまったために、その嘘が逆に自分の首を絞める結果になった。そんな感じだろうか。
マリアは小刻みに震えていた。もうどうやっても言い逃れできない。それに恐れをなしているのか。愛しい悪人さんだ❤
「さて、ではそろそろまとめと行きましょうか」
声が上擦りそうになるのを、堪えて続ける。
「あっ」
シネヴィラは気づいたようだ。さすがに自分の使える力に関する事だから、気付いて当たり前か。でもマリアの方は、まだわからないという感じだった。どこまでいっても、人の気持ちを鑑みる事ができない自己中心的な人なのだろう。
「何が言いたいかというと、血で汚れた物も綺麗にできてしまうのですよ……オルリヌ様の傷だけでなく、服やその他の血痕も無くなっていた事に気付くべきでしたね」
誰かに殴られたという事を隠してほしい、とシネヴィラは頼まれた。つまり床についた血痕や服の血痕を、浄化でキレイにしているはずだ。
マリアは目を見開いて、私が持っている花瓶を見つめている。血で汚れた花瓶とシルクの服を。
「やっとお気づきになったようですね……そうですよ、シネヴィラさんが花瓶を使ってオルリヌ様を殴ったとして、その後、その花瓶とこの服を浄化でキレイにしないのは不自然なのです」
床や服の血痕を綺麗にしているのに、凶器と着ていた服に付着した血痕だけはそのままにしておく。そんなの不自然極まりない。マリアに濡れ衣を着せるつもりだったとも考えられるけど、それならマリアにオルリヌを発見させて、そのタイミングで誰かを呼び、マリアがオルリヌを殴ったと告発してしまった方が手っ取り早い。あるいはシネヴィラの立場なら、オルリヌを治した際、凶器を含めてすべて綺麗にしてしまって、無かった事にしてしまった方が、まだ疑われない。後に残るのは謎の不審死をとげたオルリヌだけなのだから。
まぁ、いろいろ考えられるけど、そもそもこのシルクのワンピース型の肌着は、シネヴィラのサイズに合っていない。この段階で破綻している。
「あぁ、それとお爺さんに確認しましたが、オルリヌ様は来ていないという事でした」
本当にその場だけの、すぐバレる嘘だった。まぁもしかしたら、話も聞かずにお爺さんを捕えて、オルリヌに変な魔法をかけた犯人、という事にしてしまうつもりだったのかもしれない。そして、すぐさま処刑してしまえば、終わりにできると考えたか。でも私が話しを聞きに行ってしまったために、その嘘が逆に自分の首を絞める結果になった。そんな感じだろうか。
マリアは小刻みに震えていた。もうどうやっても言い逃れできない。それに恐れをなしているのか。愛しい悪人さんだ❤
「さて、ではそろそろまとめと行きましょうか」
声が上擦りそうになるのを、堪えて続ける。
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