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目覚めない病気
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「これをどうするつもりだったのですか?」
「そ、それは」
犯人は両手をギュッと握り締める。あぁ可愛らしい。愛すべきおバカさん。体の奥底がキュンキュンとしてしまう。でもまだまだ。これから追い詰めていくのだ。
「もちろん、私のフクロウに見つかる前に、処分するつもりだったのですよね? これでオルリヌ・マクベーム様の頭を殴ったのだから、そんな物を持っている事がバレたらマズイ、そう考えた、そうですよね? ……マリア・マクベーム様?」
マリアの顔が激しく歪む。体もより一層強張ったように見えた。良い表情だ。私の体の奥底が、さっきよりも反応してしまう。焦げたような感覚に切なくなってしまう。我慢をしたらもっと良くなれる。そう思って、堪え続ける。
「ふぅ……実はですね、シネヴィラさんに自白してもらいました、七日前に何が起こったのか」
シネヴィラに顔を向ける。
「奥様、申し訳ありません、約束したのに」
苦しそうに顔を歪めたシネヴィラ。そんな彼女の肩にそっと触れる。私が壁ドンして無理やり聞き出したのだ。どっちにしてもシネヴィラは悪くない。悪いのはどこまで言っても犯人であるマリアだ。あなたがそんな顔をする必要はない。
「約束したじゃない! 裏切者! なん……」
「あなたは!」
私はマリアのヒステリックな声を、少し大き目の声で遮りながら続ける。
「本当にお人好しの様ですね、騙されたというのに、シネヴィラさん」
シネヴィラは今回の事件の片棒を、自覚なく担がされていた。人が良いシネヴィラを騙すという形で利用したのだ。
「先ほども聞きましたが確認です……七日前にシネヴィラさんは館に呼び出されました、そしてマリア様からケガをして倒れているオルリヌ様を見せられたのですね?」
「……はい」
私の問いかけに、シネヴィラはやっぱり苦しそうに頷く。そのやり取りを見ていたマリアが、何か唸るような声をあげた。その瞬間シネヴィラの体が強張るのが、肩に触れている手から伝わってくる。
すでに話は聞いたと言っているのに、今話をさせない様にしても意味がないと、どうしてわからないのか。このおバカさんは❤
「それでケガをしているオルリヌ様を治したのですよね? どこをケガしていましたか?」
「後頭部を……ケガしてました、何かで殴られた酷い状態で」
マリアが我慢できなくなったらしく、こちらに向かって来ようとした。それを見たサイラスが、すぐさま前に立ちはだかる。勝てる訳がない。さすがにおバカさんでもそれを理解したのか、マリアは悔しそうに元の位置まで戻ってしまった。
サイラスは私達とマリアの間から退くと、続きをどうぞという感じで軽く頭を下げる。
「そ、それは」
犯人は両手をギュッと握り締める。あぁ可愛らしい。愛すべきおバカさん。体の奥底がキュンキュンとしてしまう。でもまだまだ。これから追い詰めていくのだ。
「もちろん、私のフクロウに見つかる前に、処分するつもりだったのですよね? これでオルリヌ・マクベーム様の頭を殴ったのだから、そんな物を持っている事がバレたらマズイ、そう考えた、そうですよね? ……マリア・マクベーム様?」
マリアの顔が激しく歪む。体もより一層強張ったように見えた。良い表情だ。私の体の奥底が、さっきよりも反応してしまう。焦げたような感覚に切なくなってしまう。我慢をしたらもっと良くなれる。そう思って、堪え続ける。
「ふぅ……実はですね、シネヴィラさんに自白してもらいました、七日前に何が起こったのか」
シネヴィラに顔を向ける。
「奥様、申し訳ありません、約束したのに」
苦しそうに顔を歪めたシネヴィラ。そんな彼女の肩にそっと触れる。私が壁ドンして無理やり聞き出したのだ。どっちにしてもシネヴィラは悪くない。悪いのはどこまで言っても犯人であるマリアだ。あなたがそんな顔をする必要はない。
「約束したじゃない! 裏切者! なん……」
「あなたは!」
私はマリアのヒステリックな声を、少し大き目の声で遮りながら続ける。
「本当にお人好しの様ですね、騙されたというのに、シネヴィラさん」
シネヴィラは今回の事件の片棒を、自覚なく担がされていた。人が良いシネヴィラを騙すという形で利用したのだ。
「先ほども聞きましたが確認です……七日前にシネヴィラさんは館に呼び出されました、そしてマリア様からケガをして倒れているオルリヌ様を見せられたのですね?」
「……はい」
私の問いかけに、シネヴィラはやっぱり苦しそうに頷く。そのやり取りを見ていたマリアが、何か唸るような声をあげた。その瞬間シネヴィラの体が強張るのが、肩に触れている手から伝わってくる。
すでに話は聞いたと言っているのに、今話をさせない様にしても意味がないと、どうしてわからないのか。このおバカさんは❤
「それでケガをしているオルリヌ様を治したのですよね? どこをケガしていましたか?」
「後頭部を……ケガしてました、何かで殴られた酷い状態で」
マリアが我慢できなくなったらしく、こちらに向かって来ようとした。それを見たサイラスが、すぐさま前に立ちはだかる。勝てる訳がない。さすがにおバカさんでもそれを理解したのか、マリアは悔しそうに元の位置まで戻ってしまった。
サイラスは私達とマリアの間から退くと、続きをどうぞという感じで軽く頭を下げる。
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