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目覚めない病気
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「さて、さっそくですが……魔法を研究しているという方に話を聞いてきたところ、オルリヌ様のあの症状、魔法で可能かもしれないという事です」
魔法という単語を、それぞれが反応で小さく呟く。聞いた事はあっても、普段は目にする事なんてない不気味な物。それが、目の前で起こっているかもしれない。どう反応していいかわからないだろう。犯人以外は。
私は犯人と目される人物の表情を伺った。犯人は、魔法なんて物でオルリヌがあんな状態になった訳ではない、と分かっている。どんな顔をして「……魔法」と呟いたのだろう。それが気になったのだ。
私は笑ってしまうのを堪える。犯人の表情は、どっちつかずの感じだ。戸惑っている様に演技しているけど、安心が顔を見せてしまっているような。悪人としては三流。ただの小悪党である。
「ふふっ」
つい笑いをこぼしてしまった。全員が不思議そうに私を見る。いけない、いけない。
「喉が少し、失礼」
そんな風に誤魔化して咳ばらいを一つする。それから言葉を続けた。
「ただ、魔法を使うには魔法陣という物が必要らしく……魔法陣とは何か気になると思いますが、今はやめておいていただけますか?」
口を開こうとしていたシネヴィラに、手のひらを向けて止める。それを受けて言葉を飲み込むようにして、開きかけた口を閉じた。
「その魔法陣が、この館のどこかにある可能性があります」
私は右掌を上に向けて、そこから聖法を使って半透明なフクロウを作り出す。
「え?! そんな事ができるんですか?!」
シネヴィラが結構な声量で声をあげる。知らなかったらしい。他の面々もシネヴィラほどではないけど、驚いている。聖女がこういう事をできるのは、あまり知られていないだろう。回復と浄化だけではないのだ。訓練を積めば意外と何でもできる。人を傷つけること以外は。とりあえず、質問攻めをしてきそうなシネヴィラを睨みつけて黙らせる。
「このフクロウを使って、館の中をくまなく捜索します」
「……捜索」
私の提案にマリアがそう呟いた。
「はい、もちろんよろしいですよね?」
特に問題は無いですよね、やましい事がなければ。私はそんな感じの事を言おうとして、寸前で我慢する。機嫌を損ねて、ダメだと言われてしまったら、罠にならない。マリアは少し考える素振りを見せた後、答える。
「えぇ、もちろんいいわ、オルリヌを救うためですから」
「ありがとうございます……不審な物を見つけたら、このフクロウが教えてくれます、ただ館全体を捜索するのに、この子一体では時間がかかりすぎますから、これから準備をしますね」
そこまで言って、窓の外に視線を移す。空は赤みがかってきていた。もう夕方だ。視線を戻して言葉を続ける。
「もう夕方ですから、皆さんがおやすみになる頃までには準備を終えて、夜の間に捜索させておきます、明日の朝、結果を皆さんにお伝えできるかと思います」
私は少し時間をかけて、全員の顔を順番に見ていく。
「皆さんはいつも通りお過ごしください、半透明のフクロウが横ぎったりすると思いますが、お気になさらず……」
証拠隠滅に勤しんでくださいね。頭の中でそんな言葉を思い浮かべる。もちろんその言葉を口にしたりしない。私は微笑みを浮かべるだけだ。
魔法という単語を、それぞれが反応で小さく呟く。聞いた事はあっても、普段は目にする事なんてない不気味な物。それが、目の前で起こっているかもしれない。どう反応していいかわからないだろう。犯人以外は。
私は犯人と目される人物の表情を伺った。犯人は、魔法なんて物でオルリヌがあんな状態になった訳ではない、と分かっている。どんな顔をして「……魔法」と呟いたのだろう。それが気になったのだ。
私は笑ってしまうのを堪える。犯人の表情は、どっちつかずの感じだ。戸惑っている様に演技しているけど、安心が顔を見せてしまっているような。悪人としては三流。ただの小悪党である。
「ふふっ」
つい笑いをこぼしてしまった。全員が不思議そうに私を見る。いけない、いけない。
「喉が少し、失礼」
そんな風に誤魔化して咳ばらいを一つする。それから言葉を続けた。
「ただ、魔法を使うには魔法陣という物が必要らしく……魔法陣とは何か気になると思いますが、今はやめておいていただけますか?」
口を開こうとしていたシネヴィラに、手のひらを向けて止める。それを受けて言葉を飲み込むようにして、開きかけた口を閉じた。
「その魔法陣が、この館のどこかにある可能性があります」
私は右掌を上に向けて、そこから聖法を使って半透明なフクロウを作り出す。
「え?! そんな事ができるんですか?!」
シネヴィラが結構な声量で声をあげる。知らなかったらしい。他の面々もシネヴィラほどではないけど、驚いている。聖女がこういう事をできるのは、あまり知られていないだろう。回復と浄化だけではないのだ。訓練を積めば意外と何でもできる。人を傷つけること以外は。とりあえず、質問攻めをしてきそうなシネヴィラを睨みつけて黙らせる。
「このフクロウを使って、館の中をくまなく捜索します」
「……捜索」
私の提案にマリアがそう呟いた。
「はい、もちろんよろしいですよね?」
特に問題は無いですよね、やましい事がなければ。私はそんな感じの事を言おうとして、寸前で我慢する。機嫌を損ねて、ダメだと言われてしまったら、罠にならない。マリアは少し考える素振りを見せた後、答える。
「えぇ、もちろんいいわ、オルリヌを救うためですから」
「ありがとうございます……不審な物を見つけたら、このフクロウが教えてくれます、ただ館全体を捜索するのに、この子一体では時間がかかりすぎますから、これから準備をしますね」
そこまで言って、窓の外に視線を移す。空は赤みがかってきていた。もう夕方だ。視線を戻して言葉を続ける。
「もう夕方ですから、皆さんがおやすみになる頃までには準備を終えて、夜の間に捜索させておきます、明日の朝、結果を皆さんにお伝えできるかと思います」
私は少し時間をかけて、全員の顔を順番に見ていく。
「皆さんはいつも通りお過ごしください、半透明のフクロウが横ぎったりすると思いますが、お気になさらず……」
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